やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

26. 身体的特徴と水泳

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身体的特徴と個性

泳ぐために生まれてきたような人もいる。例えば、イアン・ソープのような人。彼は、速く泳ぐために生まれてきたような人だ。背が高く、柔軟で、手足もヒレのようだ。

速くなくてもいい、泳ぐのが好きという人もいるだろう。

反対に、泳ぐのはつらいという人もいる。

鼻や耳に水が入って嫌だという人は多い。

単に水泳に慣れていないというだけなら良いが、私の妻などは、手の平がボロボロになって痛痒い難病を持っており、かわいそうなことに、水仕事や、プールに漬かったりすると、これがひどくなって、どうしようもなくなる。

そうなると、とても泳ぐどころの話ではない。

私個人のことでいえば、肩関節の柔軟性があまりなく、腕が上がらないということは、このブログで、しばしば書いた。肩だけでなく、足首の柔軟性もないし、私の身体は競泳スタイルには向いていない。

そもそも、私は競泳などしたくない。もしかしたら、「すっぱい葡萄」なのかもしれないが、でも、やはり、する気はない。競争というのは、自らの限界に挑むことであり、オリンピックでもサスケでも、見るにはおもしろいが、自分がやるとなれば、犠牲も大きく、健康のためにも良いとは、とても思えないのだ。

それは、ともかくとして、さまざまな身体的特徴を持った人は多い。

いや、誰しも、障害と名をつけようがつけまいが、目に見えるか否かは別として、身体的特徴はもっているのだ。それは、個性にすぎない

事故で片腕を失った人。病気のために、半身が動かなくなった人。片腕や足が動かしにくいとか、首が回りにくいとか、そもそも、どこかが痛いだとか、いくらでもあるだろう。先天的なものもあるし、後天的なものもあるだろう。

物理的な形や可動域に限らず、精神的なものもある。

「正常な」という概念は怪しい。正常な身体とか、正常な精神というものは定義できるものでもないし、する必要もない。

「平均的な」という概念だってそうだ。平均的な身体というものもない。もちろん、一定集団における平均身長や平均体重といったものはある。しかし、例えば、平均的な視力ということになると怪しい。見え方というのは、視力検査ですむ問題ではなく、見るものにもよるし、見るためには脳での判断がともなうことから、平均的なという概念は、あやしくなってくる。

ましてや、平均的な精神力とか、平均的な集中力など。あるはずもない。

だれでも、みんな、心身に個性を持っているのだ。

個性と水泳

「水泳をしたい」というときに、その目的は、何であってもよい。

泳げばよい。ただし、公共プールやジムのプールでは、ある程度、他人の運動の妨げにならないようにしたいものだ。

ゆっくり泳ぎ、壁際でゆっくり休むのもよい。

その場所でのルールを守って、一方通行で、隣の人の領分に、はみ出さずに泳げばいいのだ。

だから、泳ぐスピードだってそんなに気にすることはない。速い人は速い人同士泳ぐか、遅い人に合わせればよい。

でも、おそらく、多くの人は、ラクに、できれば、そこそこ速く泳ぎたいと思っているのではないだろうか。そして、できることなら、自分の決めた運動時間中、ジョギングのように継続して泳ぐこともしたいと。

人によっては、リハビリの目的があるかもしれない。人によっては、陸上での運動に支障があり、膝や肘や、どこかに痛みがあるのかもしれない。

しかし、見てると、どのような個性を持っている人であれ、いわゆる、一般的な4泳法といわれる、クロール、平泳、背泳、バタフライを無理して泳いでいるような気がする。いわゆる、スクールで教えている泳ぎだ。

別に、それは、それでよいのだけれど、でも、もっと自分の個性にあった泳ぎがあってよいのではないかとも思う。

このブログでは、これまで、肩があまり上まで挙がらない人や、らくに泳ぎたい人を対象に、いろいろ工夫してオリジナル泳法を紹介してきた。要するに、私の自由形に過ぎないものだ。

今後は、もっと色々な場合を想定して、泳ぎ方を工夫していきたいと思う。

例えば、私自身、肩を故障することも時々ある。

思えば、そもそも、3年前に水泳を運動に取り入れたのは、左肩を故障したからであった。水泳は無理のない運動だと考えたからである。そして、痛くない範囲で動かし、1年かけて治した。

しかし、痛いときには、思うようには動かせないし、動かさないほうが良いときもある。

だから、例えば、片腕の動きに支障があったり、痛みがある場合や、足に麻痺がある等々、一般の4泳法を泳ぐのに支障がある場合を想定してである。

 片腕が動かなくても、充分、泳げるのだ。

足が動かなくても何の問題もなく、これまで紹介した殆どの泳法で泳ぐことができる。

問題は、おそらく、例えば、腕が単に動かないというだけでなく、その原因を含めた問題が泳ぐ際にどう作用するかということだが、それは、個別に対応する必要がある。

個別の問題は想像するしかないが、このブログでは、当面は、最初は、単純に、片腕だけや、半身を使って泳ぐといった想定で、これまでの泳ぎや新しい泳ぎを紹介していこうと思っている。

 

次の記事を読む 27. 片腕シリーズ 概論

 

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25. らくらくバタフライ 

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まだ、私にとってバタフライは、それほどラクな泳ぎではない。もっとも、他の泳ぎでは、ほとんど力を込めていないので、それらと比べるからかもしれないが、でも、第1の理由は、まだ修行が足りないのだろう。そして、第2の理由は、やはり、私の肩間接の稼動範囲の狭さに起因するようだ。

私の場合、水に真っ直ぐ浮かんで腕を前に伸ばしたとき、腕が水面と平行にならず、30度くらい下方に落ちてしまう。それを持ち上げて無理に平行にすれば、大きく胸を張ってしまう。だから、何を泳ぐにしろ前方に対する抵抗が大きい。まあ、そんなハンディがあっても、何とか、まったりした、力まない泳ぎを工夫するように努力している。

いつまで経っても、らくに長距離を泳げるようにはなりそうもないので、これまでの成果を、この辺で、記録として一旦整理しておくことにする。

一応、「らくらくシリーズ」に合わせて「らくらくバタフライ」として、3種類の泳ぎかたを追加しておこう。

とにかく、バタフライは、イルカみたいで、とても、爽快感がある。少しくらい疲れても、やったことのない人は、一度は挑戦したいであろう。

しかし、「らくらく」の範囲である。25mを30秒くらいで、ゆっくり泳げればよいというものにすぎない。

0.総論

バタフライの苦手な人の泳ぎでは、最初は良くても、だんだん、顔が上がらなくなり、また、胸から落ちて大きな抵抗になっていく泳ぎを、よく見かける。

これは、上体が上がりにくかったり、息継ぎが遅くなって、胸から落ちるようになり、その結果、水を縫う動きが阻害されてしまうのが原因だと思われる。

そのためには、息継ぎがラクであること、早めに息つぎができること、充分高い位置エネルギーを確保して、重力を利用してこれを前方への推力に変えていくことが大事だと思う。

これを確保するためには、このらくらくバタフライでは、つぎの3項目を重視している。

(1)水を縫うように、確実に前方に頭から飛び込むこと

(2)肺の浮力で浮上して水の上にラクに飛び出すために、ある程度しっかり胸を沈ませること

(3)腕や手の平の角度で、スカルやプルにおいて揚力を活用し、腹筋と広背筋を使って、余裕を持って、上体を水上に押し上げること

プルだけで水上に飛び出るのは余りに疲れる。深みから浮力を利用してブリをつけなければ、われら還暦スイマーにとって、やっていけそうもない。

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1.らくらくバタフライ 潜水3キック泳法

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この泳法は、チャックさんのグライドバタフライの変形である。最初は、チャックさんのバタフライを目指したのだが、結局、私の肩関節の柔軟性では、そのとおりは無理であった。最も重要な点であるところの、腕を水面と水平にしたグライドができないからである。そこで、私なりの泳ぎに改造させていただくこととした。肩関節が柔らかい人 は、チャックさんのサイトをごらん頂いて、グライドバタフライそのものを目指していただきたい。

ともあれ、肩間接の可動域の限界の差異は、しかたがないことなので、私の場合は、その1で示した方法で代用している。

すなわち、私は、前方にグライドするとき、伸ばす腕の、肘だけ落とし、手の平だけ頭の前に水平に揃えている。曲げた腕に抵抗を受けるのはやむを得ない。身体を真っ直ぐにすることが大事だ。その分、目一杯リラックスしてグライドすることにした。およそ、水面から30cmほどの深さで潜行する。沈まなければ、勢いよく浮き上がることもできないから、深めに潜行するのだ。

減速してきたら、やおら、顔を上げる。身体は真っ直ぐ伸ばしたままだが、上体は水面に向かって浮上しはじめる。そのとき、(腕を前に水平に伸ばせる人は一旦腕の力を抜くと、)肘が軽く曲がっているが、水平に伸びたその前腕や手の甲に水流を感じるはずだ。そこで、腹筋を締め、広背筋を使って、そのまま、両腕をほぼ平行に、下向きに弧を描いてプルする。真下を過ぎたらすぐ左右に分けて横に腕を抜き、力を抜いて、手の平を下にして、すばやく前方に水面すれすれに前方に落とす。

このプルは、ハの字のストロークだが、実際は水を深く抉る円弧を描いており、揚力も得ている。

リリースで腕を横に抜く前(少なくとも意識的には)に、息継ぎを済ませませてしまう。できれば下を向いて。

そして、すばやく腕を振り戻すことによって、障害物を越えるように前方に滑り込む

重要なので、ここでも繰り返すが、プルは身体と直角になった時点で、左右に開いて、横に弧を描いてリリースをすること。これにより、前方への飛び込みに間に合い、推力が確保できる。

プルで、横に弧を描くときは、揚力を得るように、抵抗を確かめながら、あわてずにゆっくり行う。広背筋に力を込め、腹も締めるのは、プルを始めて真下までの間だ。あとは、全てリラックスして行いたい。

キックも、プル時に1つ打つ。キックは、前方に飛び込む瞬間(第1キック)と、潜り込んで水平潜行に入る前に打つ(第2キック)。第1キックは無意識に打たれるはずだが、第2キックは、前進させるために、意識的に打つ。そして、プル時のキックは、第3キックとなる。都合3つも打つのである。

3つも打ったら、疲れるのではないかと思われる向きもあるだろうが、私は、この第3キックを打つことによって、非常に、ラクになった。

ようやく、曲がりなりにも、バタフライにも「らくらく」をつけた所以である。

 

2.らくらくバタフライ  なでプル泳法

上記の「潜水3キック泳法」は、普通でないと敬遠される方には、普通のバタフライで、少しラクになる、ゆったりして泳ぐ方法を紹介しよう。

一連の動き

最初に壁を蹴って、前方にドボンとイルカみたいに飛び込んだところを想定して説明を始めよう。もちろん、息は吸っているはずだが、できれば、肋骨は上げているほうが良い。浮力が大きく違うからだ。

両腕は、真っ直ぐ前に伸ばせる人は、両腕の間に頭を挟み、目線はプール底に落ちている。私は、真っ直ぐ伸ばせないので、肘だけ落とし、手の平だけ頭の前に揃えている。身体を真っ直ぐに保ち、ラクな姿勢をとるためには抵抗は受けてもやむを得ない。とにかく、ラクに前後に身体を伸ばして水面に並行に滑っていこう。

さて、減速してきたら、胸を張るように顔を上げて、身体(腰)は反らないように真っ直ぐ伸ばしたまま、ゆっくり肩をすくめて両腕を伸ばす。これは、アウトスカルである。このとき、外側を向いた両手の甲のなす角度は平行ではなく、直角とする。手の平を水底に対して45度くらいに保つということだ。これは、上体を浮かすためである。ゆっくりがよい

バンザイするくらいまで開いたら、今度は全身を緩める。すると、身体は丸まり、両膝は緩み、そして、両腕は内向きになって目の前に引きつけられてくるはずだ。このときの手の平も、水底に対して45度を保っておこう。

両手がハの字に近づいたら、今度はプルだ。しかし、大腿の方に抜くのではない。

両腕を楽にし、腋を開いて、腹筋を締め、広背筋を使って肩甲骨を下げ、腕は斜め後ろに左右に大きく開いて水上に抜く。このとき、手の甲を自分で見えるような角度にしておき、実際に見ること。

キックは、私は、アウトスカルのときに行っている。自然に打ってしまうのだ。

この一連のゆっくりしたプルで、上体が楽に水面に上がってくる。ここからはリカバーに移るのだが、できるだけ素早く行う

両手を抜く前に、(できるだけ肋骨は上げたまま)一気に息を吐いて(といっても半分ほどになるが)、頭を少しもたげて水面を見ながら、素早く息継ぎをする。(口が水面に出ない場合は、素早く、喉を真っ直ぐにして正面を見て行う。)息継ぎが終わり次第、前方に飛び込むために、直ちに、頭を垂れる

身体と直角に真横に抜いた腕は、肩を楽にして、手の平を水面に向け、水面すれすれに、弧を描いて前方に回して入水させる。このときは、肩甲骨を回そうと思わないこと。却って、肩がすくんでしまう。この動きは、水面に浮かんだ棒切れを飛び越えて前方に飛び込む意識をもつことだ。それゆえ、頭は下げて、腕は素早く前に振らなければならない。この時、同時に、もうひとつキックが自然に打たれる。

一体、普通のS字のバタフライとどこが違うのか?

ひとつは、プルの軌跡をゆっくり長く取ることだ。これによって、力の配分や上体の位置をゆっくり調整することができる。もうひとつは、手の平の水底に対する角度である。常に45度を保とうとするのだ。水をなでるように押し下げることによって、上体を浮かせることができ、息継ぎがラクになる。だから、「なでプル泳法」だ。スピードは少し落ちるが、われら還暦スイマーには十分だ。息がラクにできることと、形を安定させることが一番なのだ。

これは、ゆっくりとやるのが特徴だ。ゆっくりでも、見た目には、結構豪快に見えるはずだ。

 

3.らくらくバタフライ 跳び箱泳法

上記の「なでなで泳法」では、スカルを多用したが、ついでに、もうひとつ、スカルをしないやりかたも紹介しておく。

最初は同じである。大きく息を吸って、前方にドボンとイルカみたいに飛び込んだところから説明を始めよう。もちろん、肋骨は上げているほうが良い。浮力が大きく違う。

両腕を真っ直ぐ前に伸ばせる人は、両腕の間に頭を挟み、目線はプール底に落とす。私は、例によって、腕を真っ直ぐ伸ばせないので、肘だけ落とし、手の平だけ頭の前に揃えている。とにかく、ラクに前後に身体を伸ばして水面に並行に滑っていこう。

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(1)プル

減速してきたら、胸を張るように顔を上げて、身体は反らないように真っ直ぐ伸ばしたまま、プルに入る。動きは、両手の力を一旦抜いて、手の平だけ招き猫にし、やおら、腕を、跳び箱に手を突いて飛び出す気持ちで、下向きに両腕を平行にしたまま弧を描いて腹筋を締め広背筋でプルする。真下を過ぎたらすぐ左右に分けて横に腕を抜き、手の平を下にして、すばやく前方に水面すれすれに前方に落とす。腹筋を締め広背筋でプルすると、背中が丸くなるはずだ。

この泳法も、早く顔が上がる。そして、その1と同様、腕を抜く前(少なくとも意識的には)息継ぎをすませてしまう。力を抜いて、すばやく腕を振り戻すことによって、障害物を越えるように前方に跳び込む。このプルは上から見るとやはりハの字だが、実際は水を深く抉る円弧を描いており、揚力も使っている。

繰り返すが、プルは身体と直角になった時点で、横に弧を描いてリリースをすること。これにより、飛び込みに間に合うだけのリカバリと推力を確保する。横に弧を描くときは、揚力を得るように、抵抗を確かめながら、あわてずにゆっくり行う。力を込め、腹も締めるのは、プルを始めて真下までの間だ。あとは、全てリラックスして行う。

(2)キック

キックは、したがって、プルを始めた瞬間と、飛び込む瞬間の2回だが、これらは無意識に打たれるはずだ。

(3)タイミング

跳び込んだら、柔らかく水を縫って頭をもたげる。胸を張るように顔を上げて、最初に戻ってプルを行う。

最初は、ゆっくり、少し深いくらい潜って浮き上がってこよう。なれてきたら、前へ前へと伸びれば良い

 

4.あとがき

以上の3つの泳ぎは、どれにしても、ラクラクだが、私自身は、50m以上は余り泳ぐ気がしないというのが本音のところだ。しかし、いずれ距離を伸ばして行きたいとは思っている。ひとえに、まだ、私の修練が足りない。

どれだけ力を使うか、どのような形でプルするかについては、速度や、かっこ良さ、距離などに依る。目的と手段を、それぞれの方の個性に合わせて選んでほしい。

 この泳ぎでのテンポやスピードは、25mを壁を蹴らずに、9ストローク、30秒くらいである。潜水3キックでは、グライドが長いので、5ストロークくらいである。

もちろん、もっと、緩急をつけることもできる。しかし、速くすれば、やはり、それだけ息が切れる。もっとゆっくりという場合には、深くしなければならないし、あまり、間隔が長くなっても、やはり息が続かなくなることもある。

チャックさんは、バタフライで2kmも泳がれるそうであるが、まだまだ、とうてい、その域には達せそうもない。

 

 

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24.2ビートのらくらく背泳ぎ もっとラクにする煽り足

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このブログで一番アクセスの多いページのひとつが「05. 背泳編 2ビートのらくらく背泳ぎ」である。

2ビートにご興味があるということだろう。

そこで、もし、まだ、2ビートに慣れないという方に、お勧めしたいキックを紹介しよう。

それは、「煽り足」を使うことだ。

煽り足は、普通、キックとは呼ばない。前後に挟むからだ。

これを使うことにより、らくらく背泳ぎが、もっともっとラクになる。そして、2ビート導入の練習にもなる。

とりあえず、以下に、動作の説明を簡単にしておこう。

1. 足の動作

煽り足は、足を前後に大きく開き、これを閉じることによって推力を得る。

「伸し」などでは、コースロープに向かって身体を横たえて使い、開く足は上の足を前に、下の足を後ろに開く。

らくらく背泳ぎでは、どちらでも良いのだが、とりあえず、その逆、つまり、ロールしたときの、上の足を後ろに、下の足を前に開くこととしよう。この方が容易だろう。

その動作は3拍子だ。

・膝を曲げて、踵を尻に近づける。

・前後に開く

・閉じる

最初は、この3動作を意識してやってみると良い。慣れれば、滑らかに動かし、もっと慣れれば、開く幅を狭くして欲しい。

2. プルとの連携

説明するまでもないが、以下のとおり。

煽り足は横を向いて行うので、必然的に、下側の腕がプルの腕となる。

その方法は、腕相撲の動きだが、詳細は、「05. 背泳編 2ビートのらくらく背泳ぎ」を読んで欲しい。

プルと煽り足(そして、もう一方の腕のリカバー)を同時に終えたら、暫くはグライドの時間だ。

リカバーは、少なくとも天頂までは迅速に、あとはゆっくり下ろす。この間はグライドの時間だ。ロールが戻って、リカバーの手が着水したら、逆側のコースロープに対面しているはずだ。

今度は、足の開きを逆にして煽り足を行う。

3. 評価・総論、2ビートへの移行

私にとって、らくらく背泳ぎは気持ちの良い泳ぎである。うつ伏せの泳ぎに飽きたり、疲れたりしたら、らくらく背泳ぎをする。焼き魚に限らず、人間だって表を焼いたら、裏も焼いたほうが良い。おかげで、私は全身真っ黒である。このラクチンさをまだ味わっていない方には、是非、もっと楽な煽り足を使ってみて欲しい。

煽り足は、動作がゆっくりと明確である。そして、推進力も大きい。それゆえ、かなり泳ぎがラクになるはずである。

ただし、前後に開く足の開き加減を大きくすると、開いた時に減速することと、力を多めに使うだろう。従って、初めは3拍子で良いが、踝の引きつけは次第に無くし、開き加減も小さくして様子を見て欲しい

これで、気持ちよく泳げる人は、この泳ぎ方で泳いでいれば良いとも思う。

それぞれの個性に合わせて、一番気持ちの良い泳ぎをすればよいのだ。

ただ、2ビートを目指したい方は、この煽り足の幅を、だんだん狭くしていって見て欲しい。どうなるか?

どんどん、2ビートに近くなるのである。2ビートでは、足の甲での内股キックしか意識していないが、この煽り足を小さくすれば自然と2ビート内股キックになっていくのだ。そうして、蹴った後、足首を重ねてグライドできるようになるまではすぐのことだ。

ところで、このラクチンな煽り足での泳速であるが、抵抗と推進が相殺されて、普通の2ビートと同じか、少し速いであろう。あとは、ご自分の個性に合わせた開き加減で、一番ラクで速い点を見つけていただければ良い。

ところで、煽り足を使用しても、背泳ルールには抵触しないはずである。もっとも、ラクな水泳を楽しみたい方で、競技を目指す方は、まず、おられないとは思うが。

もし、背泳ぎの初心者で、らくらく背泳ぎの練習方法について説明の必要な方がおられれば、書き足してみるのでお知らせ願いたい。

 

 

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23. 閑話休題 オリジナル・メドレー

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まあ、次々と、色んなろくでもない泳ぎ方を紹介するもんだとあきれておられる方もおられるかもしれない。

私自身も、よくもまあ、と思わないでもない。

しかし、それぞれの泳法には、それぞれの特徴があって、どれも捨てがたく、さりとて、どれが、一番良いか決めればよいといった問題でもない。

だが、特にお勧めしたい泳法を強いてあげるならば、らくらくクロールでは、円月泳法、鉤腕泳法、招き猫泳法、八の字泳法だ。そして、らくらくクロール全てに適用できるやぎロールだ。

そのほかの泳法では、らくらく2ビート背泳ぎ、それから、全く異種なものとして、煽りイルカ泳ぎについても、是非、試してみられたらどうだろうか。

私は、健康のための運動として水泳を、ほぼ毎日1時間ほど、行っている。

こ れまで紹介したらくらくクロール泳法とそのやぎロール版、キックなし版、その他、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ、古式泳法などを含めて、数十種類の泳法を泳ぎ分けてい る。それゆえ、各泳法50mとしても、これら泳法をメドレーで泳ぐと、すぐ1kmを超えてしまう。

また、いろいろ、考えながら泳いでいると、すぐ新しい泳ぎ方のパターンが頭に浮かんでくる。これが、泳ぎを毎日継続できる動機付けにもなっているのである。

競技にでる訳ではない。他人に迷惑をかけない限り、何の制約もない。

毎日、適度の運動ができて、楽しく健康を維持できれば、これに越したことはない。

 

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22. らくらくクロール その8 八の字泳法

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単純で、ラクな泳ぎを紹介する。

八の字泳法

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と勝手に呼ぶことにするが、このような泳法は、これまでにあっただろうとは思うのだが、調べるつもりがないので、勝手に紹介させていただく。

これは、ゆっくり歩くようなリズムで、水中散歩をしている感覚がある。

とても簡単だ。

とても単純だ。また、肩が余り上まで上がらない方でも、充分できる。手が額くらいまで上がればできるのだから。

プルの腕の練習

プルの範囲

泳ぐ前に、プルの腕の動きを練習しよう。まず、陸上でもプールの中でも、壁に背を向けて、尻を壁にぴたりとつけていただきたい。

上体を前傾させ、前腕を額の少し斜め前方下に水平に「ハの字」の形に置く。これが基本姿勢だ。(図上)

まず、左腕から、ハの字の払いを延長する方向に、左斜め後方に、肘を伸ばさずに払う。手や肘が壁にぶつからないように、横に払い、肘の角度を常に直角近くに保ったまま、もとのハの字の位置に、静かに下ろす。(図下)

ハの字が揃ったら、今度は、右腕で逆方向に同じことを行う。前に置いた腕は肩とくっついて、上体のローリングと連動して動くが、その腕の形状は保つようにすること。

これを、慣れるまで、何回も繰り返し練習する。

壁を背にして練習する理由は、2つある。

 

ひとつは、肘を伸ばさない訓練をするためである。肘を伸ばすと上腕三頭筋疲労するだけでなく、後ろに回す時間が無駄になってしまうからである。泳 速を上げるにつれて、前腕が流れて肘が伸びてしまうことはありうるが、あくまで、力を込めるのは臍付近までで終わりにし、肘は伸ばさない。

ふたつめの理由は、身体の面より、腕が背中側に回らないようにするためである。腕を背中側に回すと、肩の筋肉や関節を傷めるおそれがある。それゆ え、腕を横に払う過程では軽く肩を後ろに引いてローリングを行う。そのとき、前に残したハの字の片割れの前腕の形状は変えないこと。ただし、上体の大きな 揺れに従って深く水底に向かって押しこむ動きは自然である。

さて、充分に感覚をつかんだら、実際に泳いでみよう。

まず、壁を蹴って、蹴伸びしてから、腕をハの字にする姿勢を取ってほしい。そして、以下の1、2で説明する腕のプルと足のキックを同時に左右交互に行う。下肢はピンとは伸ばさない。弛緩している方が良い。

腕の動き

壁際で練習したとおり、まず、右の腕で、ハの字の払いを延長する方向にプルを開始し、壁があるつもりで、右斜め後方に、肘を伸ばさずに払う。

腋を開けて、手先はだらんと垂らし、指先が水面を這うようにリカバリーし、元のハの字になるよう、水面と平行に静かに腕を下ろす。ハの字に揃った ら、今度は、左手で同じように、ハの字のはらいを延長するように、斜め後方に、肘を伸ばすことなく払う。こうして、左右交互に、ハの字に静かに置いては払 う。

ただ、このプルだけでは、最初はあまり進まないかもしれない。25m泳ぐのに、30回くらいストロークを要するかもしれない。この泳ぎは、次に紹介 するキックと非常に相性がよいのだ。このキックと合わせて、ゆっくり泳げば、半分くらいのストローク数で、楽に到達するだろう。さらに、後に詳述するが、 肋骨を引き上げて、重心を前に移動すれば、さらに楽に進む。慣れてくれば、キックなしでも充分に進むようになる。

キック

足は片足ずつ、腕のプルに合わせて、腕のストロークと同じ側の足を、腕を緩めた時に大きく膝を曲げて、腕が腹にかかる時にゆっくり蹴る。蹴るとは書 いたが、むしろ、押す、あるいは、伸ばして足先を揃えると考えたほうが良い。足によるプッシュなのだ。腕では、プルだけを行い、足では、プッシュを行うの だ。

この「キック」は、プルの腕と同じ側の足で同時に行う。一応、2ビートだ。

このプッシュの効果を知るために、とにかく、こんなに膝を曲げていいのと思うくらい、最初は特に深く蹴る。浅くすることは、いつでもできる。膝を曲 げきった時には、水流の抵抗を感じるだろう。この時に滞留する水がキャッチされ、足でのプッシュの威力も増すのだ。これが、通常のキックと大きく異なる。

図のように、蹴る足のくるぶしを、もう一方の足に沿って、その足膝の横にくるぶしが当たるくらいまで引きつけて、後ろにゆっくりズズドーンと押す(踵を もう一方の足より後ろに持って行ってはならない)。腹筋に力を入れて、身体を伸ばし、足先を揃えるという意識がよい。膝を曲げるときも、膝を腹に引きつけ るくらいの気持ちで行う。これにより、腰が浮き、上体が前に押し出される。また、ローリングも加速される。

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足首から下は、いつも脱力していること。また、蹴らない足も脱力しているが、蹴る足と一緒に動いても構わないし、そのほうが、推進力も増す。むし ろ、両足が仲良くしている方が、楽しく、気持ちが良いかもしれない。その場合は、傍目には、ドルフィンキックのように見えるだろうが、意識的に力が入るの は片側だけである。なお、蹴る足も膝が伸びきる前に脱力すること。

これだけ深く膝を曲げるためには、曲げる準備の時間も必要だ。それゆえ、蹴るとき以外は、足の緊張を常に解いておくほうがやりやすいし、疲労も少ない。

この「キック」を、今後の説明のために「散歩キック」と名づけておこう。

散歩キックとハの字プルを、水の抵抗を確かめるように、ゆっくりと、同時に行うと、前のめりというか、前方に回転するような感じを受けるはずだ。そして、これが気持ちの良い推進力になっていくことが体感できると思う。

散歩キックを初めて見る人は、こんなに膝を曲げるなんて見たこともないと、いかがわしく思うかもしれない。しかし、何よりも、散歩キックは、手足の動きが一致して自然であり、腰が浮き、推進力とローリングが加速されるすぐれものだ。

もちろん、高速泳法には向かない。そもそも、2ビートは楽に泳ぐためのものだ。大きく曲げる膝は、水の抵抗にはなるが、下肢を浮かす効果を持っている。

これは、体重を前へと移動することになり、抵抗により揚力をも生じさせるからだ。腰を浮かせて身体を水平にすることは、非常に大事なことだ。大きな 面積の胴体を斜めにするより、太ももを斜めにするほうが、余程ましだ。膝を大きく曲げても、その欠点を補完する効果もあるのだ。このことは、蹴伸びして片 方の膝を大きく曲げてみれば、その抵抗が然程でないことがわかると思う。

息継ぎ

同時に行うストロークとキックは、身体をゆっくり持ち上げる効果があるので、この時、そちら側に少し顔を回せば、楽に息ができるはずだ。 ただ、次の段階のことを考慮して、上体の浮き沈みも利用してみよう。同時に行うストロークとキックのバランスを調整することにより、上体をゆっくり持ち上げたり、上体を沈み込ませたりするのである。

右腕の前腕を前方に置く際、左足のキックを若干大きくして、置いた右腕に頭の重さを加えて体重をかけて前方に飛び込むようにしてみよう。そうする と、前方の斜め下方に上体が沈み込みつつ、反対に下肢が浮き上がる。あたかも、右受け身に飛び込んでいく感じで、ローリングしながら時計回りにねじ込み、 滑っていく感じがある。

左腕は、ローリングに引っ張られて、すばやくプルが行われ、腋を大きく開けて水上に抜き去られてリカバリーされる。そして、前のめりに加速感をもっ て滑っていく間に上体が沈んでいく。次に、その左腕をハの字に押しこんでいくが、今度は、右腕でプルし、右足でキックする番である。この動作を、前方斜め 上めがけて浮上する心持ちで行うと、スーッと上体が浮かんでくるので、右側に少し顔を回すだけで楽に息継ぎができるはずだ。

八の字泳法の評価と注意点

八の字泳法は、動きが単純で、ラクであるにもかかわらず、その速度は、速くはないが、遅いものでもない。壁を蹴らないで、25mを16ストローク、35秒前後くらいのペースであろう。小一時間で2kmは泳げる。力を入れて泳げば、25mを14ストローク、25秒前後だ。

散歩のストロークは、ハの字に斜めに払う。また、散歩では、意識的な大きなロールはしないが、腕のリカバリーは胸の平面を越えて後ろに回すと肩を痛 める虞があるので、壁を背にした練習での腕の動きでリカバリーができるぐらいの上体のローリングは必要だ。また、浮き沈みを効果的に使う場合には、積極的 にローリングしたほうが上手に沈みこめるだろう。

それに、もうひとつ、ローリングの重要な効用がある。それは、キャッチだ。ハの字に置いて、残した腕の前腕は、もう一方の腕がリカバーしてくるとき に、自然とローリングに引きずられて水流を斜めに遮る形になり、これが、水をつかむキャッチとなっているのである。したがって、これに続くプルが効果的に 水を引っ張れる結果となっている。

プルとキックの効果

散歩でのキックの方法は、すでに説明したとおりであるが、このキックは、腰や下肢を浮かす効果と、前進力を生む効果がある。

小さく蹴れば、水流に対して、膝を緩めた時の抵抗が小さくて済むが、上記効果も小さくなる。大きく蹴れば、その逆である。

その効果の違いを、コースの行き帰りで、実際に、大きく蹴ったり、小さく蹴ってみて確かめよう。当然であるが、そのときのプルは、キックのスピードや強さと同期させて行おう。

また、ゆっくりと弱く蹴ったり、強く蹴ったりして、その効果の違いも確かめよう。

大きく蹴ったり、強く蹴れば、下肢の浮きが良くなり、身体が水平に近くなり、推進力も高まる。

小さく蹴ったり、弱くゆっくり蹴れば、下半身が沈みがちで、推進力も弱まるはずである。

ピッチも、意識的に、速くしたり、ゆっくりしたりすることによって、その効果や、疲労の程度も確認しておこう。

どのようなキックが、自分にとって、らくな範囲で泳げるか、その時のキックの大きさやスピード、強さを確認しておこう。人にもよるが、おそらく、最も楽で、そこそこの効果があるのは、大きく、ゆっくり蹴った場合であろう。

重心移動、浮沈の効果とらくな息継ぎ

重心を前に移動する練習

基本原則で述べたが、バタ足をしなければ、通常、足が沈んでいくものだ。普通、自然に浮かんだら、前に手を出していても足は沈んでいく。

キックを弱くすれば、やはり、下肢が沈みがちになる。

 

前進するための抵抗を少なくするためには、より水平に身体を保つ必要がある。当然、より速く泳ぎたいときも同じだ。

沈みがちな下肢を浮かすためには、なるべく身体の重心を頭の方に引き上げるようにすればよい。身体の浮力の中心より重心が前に来れば、シーソーのよ うに頭が沈んで足が浮くというわけである。そのように努力すれば、足が浮くようになり、キックなどしなくてもクロールや背泳が楽にできるようになる。

その方法として、一番効果的なものが2つあることを、既に、基本原則2で述べた。

(1) なるべく、前方に腕を残す時間を多くとる。

(2) 肋骨を上に引き上げ、胃を肋骨の中にしまい、お腹を細くする。

散歩では、このうち、(1)については、両前腕をハの字に置くことによって、腕を前方に残す時間を多くしている。その効果を確認するために、試し に、リカバリーした腕を前方にハの字に置く前に、もう一方の腕のストロークを始めてみると良い。前方に重心を置く効果が薄れ、下肢が下がり気味になること が確認できるであろう。

次に、(2)について、練習してみよう。これは、少し修練が必要であるが、非常に有用な技術だ。何より、腹が締まって、スタイルが良くなる。がんばってみよう。

まずは、陸上での練習として、空気を肺一杯吸って、その肋骨の形を維持して、空気を思い切り吐く。腹だけがしぼむはずだ。

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できるだけ、胃を肋骨の中にしまうように腹筋を使う。これは、腹筋運動で使う腹直筋ではなく、腹の横の筋肉(腹斜筋)を若干緊張させる。

これができるようになると、実際に、この姿勢で、散歩を泳いでみて欲しい。そして、そうしないときと、そのようにするときの違いを確かめて欲しい。

肋骨を上げる(胸郭を広げる)ことができるようになると、体全体が浮きやすくなると同時に、極めて容易に下肢が浮くようになり、浮くためのキックは 不要なほどになる。こうなると、動作の緩急のピッチはどのようにでもなり、ゆっくりした動作で、そこそこ速く泳ぐことができるようになる。

息継ぎは、肋骨を上げたまま、腹を膨らませて、空気を吸う。

すなわち、いつも胸郭が広がっているので、息継ぎをする時は腹式呼吸で行うのだ。水の中で胸を膨らませるよりは楽なはずである。とはいえ、胸郭が広がって いるので交換できる空気の量は、肺の半分ほどになるが、これには、すぐに慣れる。また、普通、息継ぎの直前に息を吐くほうが、浮力を十分に活用できて良い のであるが、苦しければ、息継ぎしない側でのプルのときに少し吐いても構わない。ここで、重要なことは、そうした動作の有無による結果の違いを認識し、適 宜に動作を選択し、コントロールできるようにすることだ。

浮沈の効果とらくな息継ぎ

次に、上体の浮き沈みを利用する練習をしてみよう。同時に行うストロークとキックの強さのバランスを調整することにより、上体をゆっくり持ち上げたり、上 体を沈み込ませたりする練習である。これは、これは、すべての泳法に共通で、非常に重要な動きなので、習得できるまで、しっかり練習しよう。

ここでは、右側で息継ぎをする場合を想定して説明する。

右腕の前腕を額の前方水面にハの字に置く際、左腕のプルを行いつつ、同時に行う左足のキックを若干大きくして、水面に置いた右前腕に上体の体重をか けて、頭を下げて押し込んでみよう。そうすると、下肢が浮き、上体が前方斜め下方に沈み込みつつ加速が得られるようになる。次に、既にリカバリーを終えて 一緒に水没してきている左腕をハの字に戻すが、右腕のプルと右足のキックを、頭を上げ気味に前方斜め上めがけて浮上する心持ちで行うと、スーッと上体が浮 かんでくるので、右側に少し顔を回せば楽に息継ぎができるはずだ。

この浮き沈みを、最初は大きく行い、深さの感覚を確認してみよう。

この浮き沈みの運動は、息継ぎが楽になるだけでなく、推進力を増加させる働きもあることを確認しよう。

前進しながら、上体を沈ませたり、浮かせる場合は、ことさら肋骨を引き上げなくても、結構、楽に姿勢を制御できるようになるが、肋骨を引き上げると、浮力がまして、より確実に制御しやすくなる。

下肢は、両足とも、なるべく脱力して、蹴る足だけに必要な時間、必要な力を加えよう。

  

 

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20. 古式泳法とのコラボ泳法  煽りイルカ泳ぎ

 このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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今回は、趣向を変えて、古式泳法をとりいれてみた。

古式泳法には、多く「煽り足」が使われている。

抜き手には、いろんな流派もあるようだが、基本は、煽り足と腕の抜き手を連携させた泳法である。

今回、開発した泳法は、煽り足とドルフィンキックを交互に入れて、その度に、抜き手を入れた。これも「らくらく泳法」である。

泳速も25mを30秒程度と、そこそこである。腕のストローク数は、16ストロークほどか。

また、クロールの単調さに比べて、楽しいし、気持ちも良い。是非、試してみられることを奨める?

「煽りイルカ泳ぎ」と呼んでいる。

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1. 一連の動作の概要

壁を一蹴り、まずは、蹴伸びの姿勢をとろう。

やおら、上体を右にロールさせ、

(1) 右足を上にした煽り足を行いつつ、右手で円月泳法のプルを行う。

(2) 動作が完了したら、両手を前方に揃え(軽く菱形状で良い)、今度は左手で円月泳法のプルをしつつ、ドルフィンキックをひとつ入れる。

(3) 体勢を左に向け、今度は、左足を上にした煽り足を行いつつ、もうひとつ左の円月泳法のプルを行う。

(4) 動作が完了したら、両手を前方に揃え(軽く菱形状で良い)、今度は右手で円月泳法のプルをしつつ、ドルフィンキックをひとつ入れる。

このように、左右の円月泳法のプルを2回ずつ、その度に、ドルフィンキックと煽り足を1回ずつ行う。

左右2回ずつのストロークを行うのは、「ヤギロール」08. 究極の、らくらくやぎさんオリジナル泳法 やぎロール - やぎさんのオリジナル泳法のすすめのプルの特徴である。

これまでの、やぎロールは、キックに煽り足を入れたことがなかったが、今回初めて入れた。結構、相性が良い。

なお、円月泳法のプルについては、過去記事を参照されたい。

2.具体的な動作のポイント解説

(1)煽り足

「煽り足」は横泳ぎでおなじみとは思うが、古式泳法の「伸し(ノシと読む)」や「抜き手」などで多用されている。ご存じない方に、一応説明を加えておこう。

煽り足は、次に3拍子で行う。

(イ)両足の膝を曲げて、尻に引きつけ、

(ロ)前後(上の足が前)に大きく開脚して、

(ハ)伸ばしながら、閉じる。

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脚が、平泳ぎのように横に開かないように注意すること。

(イ)(ロ)では、水流の抵抗を受けるが、(ハ)では、大きく進む。

この煽り足は、縦(水面に垂直方向)でも使えるが、後ろ足が水面に出てしまうので、体を斜めに立てて足を深く沈めなければならなくなる。したがって、伸しや横泳ぎのように、横にしたほうが、抵抗を少なくすることができる。この煽りイルカ泳ぎでは、完全に横にした。

(2) 抜き手

「抜き手」という言葉自体は、足の動きも含めた古式泳法における一般的な名称だと思うが、泳ぎ方の種類は、大抜き手や早抜き手など色々ある。

ここで、なぜ、抜き手という言葉を出すかというと、古式泳法のこの腕の動きが、円月泳法のプルに似ているからだ。

抜き手は、煽り足と円月泳法のプルの組み合わせを一方あるいは、両方で繰り返す。そのテンポや、体勢の角度などは様々であるが、このプルの組み合わせは、ともあれ、典型的な抜き手の形といって間違いはないであろう。

抜き手の腕の動きは、前方に伸ばした手を、一旦、目の前に腕を鉤型にして水平近くに保ち、それから、やおら、腕を引いて腹から横に抜く。円月泳法では、手を前方にいっぱい伸ばすかどうかはどちらでもよく、また、ことさらに、もっと円く振りぬくこととしているが、抜き手の動きとかなり似ている。

3. ドルフィンキックを入れる理由

古式泳法の大抜き手では、上記の抜き手の煽り足とプルの組み合わせを、左右交互に行う。

ところが、左右に調子よく交互に行うということは、結構難しい。煽り足を180度完全に反転させて行うというのが、少なくとも私にとっては、難しいのだ。

そこで、一旦、ドルフィンを真ん中に入れて、体勢を万全にして反転することにしたのである。これは、実に相性が良かったと思っている。これにより、忙しかった動きが、きわめてゆったりとできることになり、動きにも変化が出てくるので、泳ぎもラクに、楽しいものとなった。

対抗泳者や隣のコースに気を配って泳いでいただけたら幸いである。

 

 

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