やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

03. らくらくクロール その1 円月泳法のすすめ

私は、目的によって、クロールの泳ぎかたを変えている。ストロークを少なくして静かに泳ぐにはクワガタ泳法、楽に早く泳ぐには、円月泳法とその泳ぎ方を命名している。また、おいおい紹介する、鉤腕泳法などや、TIの泳ぎ方でも泳いでいる。

私のクロールは、壁を蹴らないで、クワガタ泳法、鉤腕泳法では25mを、25~35秒程度で16~9ストローク、円月泳法では、特にストローク数を減らす努力はしないので、15ストローク前後で25~30秒程度で泳ぐ。キックなしでは、16ストローク、30秒程度である。

ここでは、簡単かつラクで楽しく、そこそこ速く泳げる円月泳法を中心に紹介しよう。円月泳法といっても、私の勝手な命名で、おそらくオリジナルというわけでもないかもしれないが、とても自由度の高い泳ぎかただ。

 

円月泳法

1. 基本姿勢

円月泳法は、リズミカルに 32ストロークくらいで50mを50秒ほどで泳げ、息もあがらない。円月泳法の基本形は、両腕で直径50cm程度の大きなボールを抱えるようなつもりでまるく高く掲げる。このとき、肩は思い切り引き上げるのであるが、胸は張らずにむしろくぼんだ状態である。つまり、背は反らない。肩を上げれば、腹が凹む。このまま息を大きく吸い込んで止める(息をつめない)。足は細く閉じる。そう、遠くにいる人に身振りでOKを知らせるときの姿勢、下の図のように、腕を円形に保った形が基本だ。

f:id:mehme:20160106151742g:plain

 

2. 腕の動き

さて、泳ぐときの腕の動きであるが、これは、円を描く

両腕で作った円の内側を、片腕ずつもう一方の腕の内側に沿って腕の形を変えずに肩で大きく一周回す。ぐるっと一周して両手の指先が合ったところで、今度は反対の腕をぐるっと回すのだ。この両腕の基本的な動きは極めて単純だ。左右両腕のこの動きは、目の前のひとつの円を交互に逆方向に円を描くだけだが、実際には、リズミカルに大きくローリングするので、例えばプールの底から見ているとすれば、その軌跡は、無限大記号(∞)の ように、二つの円が接した形となる。そして腕は回してはいるが、そのプルの実際は、上から見るとストレートに近い。しかし、そのプルは、水中を深く抉る動きであり、腹からそのまま外側に抜き払って惰性で円を描いて戻る

f:id:mehme:20160106151859g:plain

f:id:mehme:20160106151909g:plain

水中での動きは次のようになる。①円く抱えた腕のまま、まず左側にロールして沈み込み、

右腕の手先が、左腕の内側をなぞり顔の前を通過し、左胸、腹へと弧を描いて降りるようにすれば、実態として右腕は右肩ごとストレートに腹に下りる。手が臍まで到達した時点では肩が下がりきっているので、

③そのまま、惰性で腕を大きく回して円を描いて、ゆっくり水面に抜ききり、元の両腕が作る円月形に戻す。見た目には、腕が勢いよく外側に弧を描いて水から飛び出して、指先から前方水面にスプーンでゼリーを掬うように腕が刺さっていき、今度は右側が大きく沈み込んでいくことになる。この状態は左側の①に移行する。できれば、このスプーンの角度及び前腕の丸みは、スピードによって調節したほうが良い。基本形の腕の位置まで腕を突きこんでいく動作は、揚力を生む。前進と身体を浮かせる方向の力だ。手のひらと腕の迎角は泳速によって効果が変わるのだ。できれば抵抗を受けるのはキャッチの瞬間に留めるのが上策だ。そして、身体がロールしてプールの底を向く瞬間に、反対側の左腕の運動へと移行し、キックと共に、左腕の肘を意識した回転を始める(②)。それから後先になるが、円を描いてゆっくりと水面に抜き切る腕の手のひらの角度も重要だ。ここでのじわっと効いてくる揚力は爽快な加速を生むので、これらの角度は実際に体感して決めて欲しい。

プルの腕が、腋から腹に落ちるときには、ぐっと力が一瞬入れやすい時だ。そして、もう一方の腕は前方下方に弧を描いて突きこんでいく。この動きは、背中を丸めて重力で突き込む、そう、柔道などの前受け身をするつもりで前に移動するのだ。

さて、この一連のくるっと輪を描く一動作で、とても重要なことは、肘から先の部分、すなわち前腕を、体の後ろに回さないことだ。常に視野の中にひじを含めて腕全体を入れておかなければならない。手を後ろに流して内転させすぎると肩を痛めてしまうおそれがあるし、三頭筋も使って疲れ、リカバーも遅れるので良いことはない。この肩や腕の動きができているかは、陸上で次のようにして確かめられる。それは、円を描くとき両手を組んでみることだ。つまり、右腕で円を描くときに、左手の指を右のそれにからませて右手についていくのである。そうすると、右腕の動く範囲は限定されるはずで、その範囲内で「肘」ができるだけ大きな円を描くように、「肩甲骨」を使って回すのだ。

f:id:mehme:20160106152036g:plain

前腕はむしろ脱力する。まずは、地上でこの動きを思い切り大きく行って、肩を使って肘をぶん回して確かめて欲しい。その間、右腕の形は、ほぼ最初から元に戻るまで同じ半月、あるいはフック状を保っているのがわかるだろう。そして、進行方向に対する前腕の角度は常に変わらないはずで、身体の前面を通過する時、すなわち、水を掻くときには水流に対して前腕をほぼ直角に保ち、腕全体で効果的に水を押していることが確認できるであろう。この動きは、意識的に水を掻くのではない。上腕は、単に、肩で肘をぶん回す動きに引きずられ、ロールし ていく身体にまつわって動いているに過ぎない。力を一瞬入れるのは、掻くのではなく、「脇をしめる」または、「腕をおろす」感覚だ。したがって、このとき使われる筋肉は広背筋であって、すぐ疲れる三頭筋などの腕の筋肉は殆ど使っていない。つまりは、らくちんなのである。ただし、肩をぶん回すといっても、肩甲骨に意識を入れるのは、プルの瞬間だけ良い。リカバーしてきた腕は惰性であり、もう一方の腕が次のプルを始めるときに肩甲骨を下げるので、先ほどリカバーして戻った腕の肩甲骨を反作用としてこっちも意識して上げるのである。

なお、円形のプルは、前方からの水流の影響を差し引いて、揚力と抗力を最大効率で得られる迎角でプルすることができる。この適切な実質の角度は30度程度である。円形のプルでは、この迎角で 前半を掻き、胸の前では暫時ストレートプルになって最大抗力を得ることができ、後半のプルで斜めに抜き去るまでの迎角も最大効率の揚抗力を得ることができ る。

ただし、この最大効率を得られる迎角は、当然、泳速によって変化する。自分にとっての見かけのプルの角度を泳速によって補正しなければならないからだ。それゆえ、一番効率が高い迎角の目安を30度程度とすると、円形であれば45度くらいで掻く意識だが、仮に、壁を蹴らずに、25mを30秒、16ストロークく らいで泳ぐならば、円月の円弧はもう少し縦に伸ばして楕円にしていく必要があるだろう。水流に対して直角に保った手の平や前腕を、見かけで斜めに降ろしていく時の水に対する角度を50度くらいになるような楕円にすれば良い。

次のアニメ動画は、ロール角を少なくしたときの円月泳法

f:id:mehme:20160101154342g:plain

次は、ロール角を大きく、前に伸びて、深いキックを使った場合の円月泳法

f:id:mehme:20160101154429g:plain

3. 足の動き

さて、足のことに触れていないが、極限すれば、これはどうでもよい。好きにしたらよいのだ。両腕の前方にある時間が長ければ、下肢は沈まない。沈まなければ、ロールするスピードや腕の回転のテンポは、速くも遅くも自在にコントロールできる。

できるだけ足先をぴったり閉じて抵抗のないようにsて流していればば、キックなしでも十分らくに泳げるし、ドルフィンで波に乗るのも気持ちが良いものだ。

ビートを打つならば、リズミカルに泳ぐため、またロールを加速するために、2ビートで行うことを推奨する。キックのタイミングは右腕を前に突っ込む時に「内股で」左足を「小さく鋭くしなやかに」蹴り、すぐ両足先をぴったり合わせて抵抗をなくすことだ。これによって右ロールが早く行われ、上体から下肢へと波のようにうねる身体で加速することができる。また、内股で蹴ると、蹴っている時間はまっすぐ打つ時に比べて長くなり、水面に浮きあがる力が得られるため、リズミックに浮遊感を感じられて、気持ちが良い。このとき、右足をキックする「なんば」蹴りもある。このほうが力は入るが、ロールが遅くなるので対角の左のほうが良い感じだ。

ビートを鋭く打てば、必ず、腹筋をしめる効果があるはずだ。いや、これは意識したほうがよい。円月泳法では、殆ど身体は弛緩させているが、キックの一瞬だけ緊張させる。それによって、キックによるローリングの加速、脇をしめる時の効果的なプル、そしてまっすぐ丸太のように伸びた身体を実現している。背を反らせないように、できれば丸めるくらいの気持ちが必要だ。キックの脚は、力まず、抵抗のない形がよいのだが、膝はすこし緩んでいるくらいの余裕を持って良い。

前進の加速が欲しいときは、斜め後方に向けた深い蹴りが効果的だ。これは、膝を大きく緩めてしなやかに後方に向かって蹴る。方向は、真っ直ぐでも内股でも良い。その場合でも、背や腰は反らず、丸め気味にしておくこと。ただし、力を込めれば、それだけ疲れるのは仕方がない。特に足には大きな筋肉が付いているからなおさらだ。私は、このキックを散歩キックと呼んでいる。

f:id:mehme:20160106152452g:plain

散歩キック

4. 頭の位置

さて、これまで頭の位置に触れなかったことにお気づきだろうか?

円月泳法では、両腕を肩もろともに視野の上の部分まであげることが重要であることを記した。しかし、その時、頭はどうなっているのかである。結論を先に言うと、速度に関する限り、体験的にはあまり関係がないようで、これもお好きにどうぞ、といってもよい。それほど、この泳法は簡単で自由度が高いのだ。しかし、一応、これまで得た経験で解説しておこう。

頭の位置については、具体的には、抜き手のように頭を上げたければ上げればよいが、その場合、首が若干疲れるはずだし、肩が回し難くなるはずだ。それに加え、最初身体は反らないようにを記したのに反して、若干そり気味になりがちなので、長く泳げば、おそらく腰が痛くなるかもしれないし、抵抗をも受ける。また、胸を張れば、それだけ胸に対する水の抵抗が増す。しかし、より、リズミカルに水上に乗り上げるように滑ってうねる感じや、下肢が吹流しのように流れていく感じに爽快感があり、視界も良好だ。なので、顔をあげることに対しては、推奨はしないが、決して反対はしない。また、足を緩めてキックを大きく歩くように打つと、散歩をしているようで気持ちが良い。

では、逆に、胸の抵抗や腰、肩、首の負荷を少なくするために頭を下げたらどうか。この場合は、上記の爽快感がなくなる代わりに、腰、肩、首の負荷がなくなる。胸に当たる水の抵抗は少なくなるが、今度は円く抱えた腕の上面(前進方向)に受けることになる。なぜかというと、首をあげた場合は、腕は殆ど水面に平行近くに突き出される格好になるはずであって、抵抗が少なくなっているからである。だから、首の力を抜けば頭が下がり、従って目線が下がり、腕は沈み、その角度は水面から30~45度くらい下になるはずだ。あるいは、極端にもっと腕の力を抜いていれば、腕はもっと下がるだろう。あまり下がると、水流をまともに腕全体に受け、水流の抵抗が大きくなるし、腕を支えるために三頭筋も疲れてしまうから、速度や疲労感を適当なところで折り合いをつけ、この角度を選択することになろう。ともあれ、腕に受ける水流の抵抗と胸に受けるその抵抗は反比例するが、おそらく、胸に受ける抵抗のほうが大きく、長時間の泳ぎや速度の将来性を考えれば、頭はあまり上げないほうが良いのではないだろうか。つまり、身体が丸太のようにまっすぐになっていて、抵抗がない状態であれば、腕が前方に下方に突き出されていても全体抵抗としては少ないのだ。もし、肩が柔軟であれば、疲れることなく、もっと前に突き出すことが可能で腕の抵抗を減らすこともできる。

水流の抵抗は、水上にでればなくなるのだから、空中に出ているほうが良いに決まっているが、それにスピードがつかなければ無理だ。所詮、われわれ還暦スイマーは、結局のところ、水面すれすれで、一番、造波抵抗の大きい深さで泳ぐ結果になるのだから、そうなのであれば、水面に出ないほうが抵抗による負荷は少な い。

息継ぎは、顔を沈めて泳ぐ場合は、真横にロールした時に、息ができるところまで顎を引き気味に頭を少し回転させて、吐いて吸う。必要なら、真上まで向けばよいが、すぐ水面近くで息ができるようになるだろう。このとき、肋骨は上げたままで行う。従って、肺は半分くらいしか息を吐けないが、全部吐いてしまうと、肺がしぼみ、沈みがちになるので肋骨は上げておき、浮力と前加重を確保する。

5. 水の抵抗を利用する

円く掲げた腕は、進行方向からの水流の抵抗を生じる。水を円く掲げた腕の内外に滞留させるからである。それゆえ、泳速を上げる場合は、それに従って、この円を、縦の楕円に伸ばしていった方が良い。その極限は、真っ直ぐ進行方向に腕を伸ばすことだ。また、真っ直ぐ伸ばして疲れない人であれば、そもそも基本姿勢を、いつも一直線に取れば良い。

しかし、どの泳法にしてもそうだが、水を掻く時は、直前に腕の力をゆるめて、一瞬、楕円の状態を作るほうが良い。この一瞬がキャッチとなるのだ。これにより、水が一瞬固定されて、あたかも腕が固体を押しているかのごとく、水の「引っかかりが良い」のである。ゆえに、円月の形は、いつもキャッチしていることになるが、低速では、それで困ることはない。キャッチが確実にできている方が良い。

冒頭で、基本姿勢のときの腕の高さについて触れた。右図のAの場合は、Bに比べて、腕の上面に、推進方向からの水流抵抗を生じる。しかし、この抵抗は、単に不利益になるわけではないのだ。

実は、手の甲や腕が前方から斜めの水流の抵抗を受けると、腕が押し下げられ、身体の重心の反対側で下肢が持ち上げられる効果がある。そして、前方に湾曲して伸ばした両手の手の甲の向きや角度を調節することによって、水平、左右の身体のバランスをとり身体のぶれをなくし全体の水流の抵抗を軽減させることができる。この泳法が、キックなしで泳ぐ時にも、姿勢を整えてくれ、下肢がぶれることがないという特徴を有しているゆえんである。

6 泳速を上げる円月プルと、その効率

上記したように、円く掲げた腕は、進行方向からの水流の抵抗を生じる。それゆえ、泳速を上げていくためには、円月の腕を縦に長く楕円にしていく。

次の動画は、少し縦長にプルを行い、散歩キックで、ローリングも深くして対面泳者にぶつからない程度のリカバリーを行った場合である。

f:id:mehme:20160101154429g:plain

この場合は、水流の抵抗を少なくなるので、当然、下肢を浮かす効果は薄れる。それゆえ、肋骨を上げ、お腹を締めるようにすると、格段に抵抗のない姿勢になるばかりか、キックの効果も増すであろう。

楕円を長くして、前に弧状に伸ばす腕は、速度を増しても、一般のクロールと異なり、動画のようにローエルボーである。すなわち、肘はプールの底の方向に一番下がっている。しかし、これで、確実に水をキャッチできるばかりか、肘の関節に無理強いすることなく、楽にキャッチでき、しかも、ストロークを長く取ることが可能な、身体の一番前でキャッチできていることに気がつくだろう。

しかも、このキャッチから、身体に巻きつけるように降ろしていく前腕と手の平の位置は、ほとんど直線(ストレートプル)に近くなってくる。これ以上望めないような、最大抗力が得られるプルの形だ。そして、腋を開けて静かに水面に抜いていく手の平は、無理に内転しない限り、小指の方から斜めに水を切っていく最大効率の揚抗力が得られるプルとなっている。

こうして見ると、円月泳法は、ロール角が小さいときと、大きいときでは、随分異なるプルを行っていることになる。しかし、そのギャップは、非効率なものでなく、連続的に、効率の良いバランスを保って行うプルとなっており、泳速と泳ぐ姿勢の調和がとれた泳法だといえる。

泳速を上げるために楕円を伸ばせる方は、そうすれば良いと思う。しかし、肩関節周りが固い場合は、伸ばせる範囲で円月を描けばよい。前方に腕を伸ばせなくても、次の動画のように充分に泳げる。下肢を浮かせるために、肋骨は引き上げたほうが良いが、これも、できる範囲でやればよい。

f:id:mehme:20160112162534g:plain

7. 個性に合ったスタイルを

いずれにしても、人の体は様々だし、好みもある。基本を崩さなければ、好きなスタイルを選択したら良いのではないかと思う。

 また、もう少し速く泳ぎたい方は、次の段階に移ることもできる。そもそも、泳速が上がれば、揚力を得るための角度も変わる

単に、テンポを早くすることによって、25mを20秒くらいで泳ぐことは、このスタイルでも十分できる。

しかし、他の泳法に移行していくことも可能だ。泳ぐ原理は同じだからである。単に、自分の個性にあった「ラクな」泳ぎと「充実感」を手に入れればよいのだ。

例えば、肩の柔らかい人は、変化として、前方への突きを取り入れたらよいだろう。この場合は、腕を回転するタイミングで、残す腕を一度前方に突く。突きっぱなしの場合は、リカバーしてきた前腕をさめのポーズとして水面すれすれで止める。これは、体重を前にかけ、しかも、水流の抵抗を受けない姿勢として、滑る姿勢としては最上である。そして、一呼吸おいて、突いた腕を元のフック状に「ゆるめ」、サメのポーズの腕を前方に突きこむと同時にゆるめた腕は回転している。突きこむのが疲れたら、またすぐ円月泳法の基本形にもどせばよい。

ただし、どのように泳ぐにせよ、惰性としてリカバーしてきた腕の肩甲骨は、もう一方の腕のプルが始まったと同時に、反作用として上に上がることになるので、突くつもりはなくても肩甲骨と一緒に自然に突かれることになる。要は、プルに意識を集中するか突きに意識を集中するか、どちらでも良いのだが、どちらがラクかは、おそらく個性に依存するのではないだろうか。空手やボクシングでは、よく「引き」に意識を喚起されることが多いが、これは突きが目的だから、引きが同じくらい重要ですよということで、水泳の場合は、引き(プル)が目的なのだけど、これに意識を集中するのではなく、却って突きに注意をすると結果的に知らずにプルができますということであろう。本当は、突きに集中できれば、そのほうが良いと私も思う。より速く泳げるようになるだろうし、何より水に対する抵抗のない姿勢がとれるようになるからだ。

TIの泳法も意識の重点が異なるだけで、基本はおそらく変わらないのだ。TI等では、可能な限り抵抗のない形を作り、できるだけ長く維持することに力点をおく。リカバリーした手を水面上に残して止めればTIのサメ のポーズであり、チャックさんは、前方に空手のように突く意識を強く持つことの重要性を強調している。

私は、私にとって一番ラクな姿勢や動きに力点を置く。結果としての、おそらく一番大きな違いは、スピードだ。わたしの泳法は、そこそこしかでないが、それで良いとおもっている。もちろん、らくにTIの泳ぎができる方は、最初からそちらを選択するのが良いだろう。円形を主体とする私の泳法の動きとストレートな動きを主体とするものでは、特徴が違うものの、もとより排他的なものではないのだ。

前記したように、速度を上げたい場合は、もっと前方にまっすぐ突く方が効果的だ。身体のリズムやバランスを感じながら、ストレートでもフックでも、個性に合わせて、いろいろ試してみると良いだろう。

これと対照的な泳ぎとして、これまた、非常にラクで、意外にそこそこ速い「鉤腕泳法」も紹介している(記事11)。たぶん、試していただく価値はあると思う。