56. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(バタフライ編)
このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。
そこそこバタフライ
腕や体を、艫のように使って、揚力を活用し、力を入れやすいところでは抗力中心に推進するという動きを4泳法に適用して「そこそこスイミング」にしていこう。
もちろん、ここでいう4泳法は、断るまでもないが、私の我流である。
まず、一番理解しやすい左右対称の泳法から始めよう。今回は、まず、バタフライだ。
1. 体幹の動き
常に、頭は水平におき、これが先導して上体が上下に水を押して浮沈することによって、うねる。
胸から後方の足先までは、胸の動きに付いていくものとして、脚でキックする感じは意識してするものではない。
ただし、骨盤の動きについては知っていたほうが良い。
骨盤を前傾させたり後傾させてうねるのである。といってもわかりにくだろうから、骨盤のすぐ上の背中の部分に注目して説明しよう。ここの腰の背骨は、普通にしていると若干凹んでいるはずだ。この凹みを後ろに押し出すと、腰の背骨は平らになるか、後ろに張り出す。このとき骨盤は後傾している。逆に、この凹みを深くしてやると、お腹が出てくる。このとき骨盤が前傾するのだ。この動きを意識的に連続して行うが、そのタイミングは胸の張りと凹みの動作に引きずられて波のように伝播させるのだ。
両腕を前方に突きこむときと、お腹の付近で力強くプルをするとき、一瞬、腹筋と臀筋に力をグッと入れて腰の背骨を後ろに張り出させ、次の瞬間には、胸を張って胸の後ろの背骨を凹ませ、間断を置かず、その凹みを下に伝播させると腹が出て腰の背骨が後ろに張る。この動きがうねりだ。この動き、脚に伝わり膝に伝わると、自然に、しなやかに、ドルフィンキックが打たれる。これが、うねりの機序だ。
最初の腕の前方への突きこみで背中を丸めて、背中へ水を呼び込む感じを意識すること。そして、間髪をいれず、逆に胸を張って胸を沈める感じだ。そうすると、上体は滑りあがって浮いていく。
ただ、沈み込みの角度は、あまり大きくはせず、前へ、前へと身体を引っ張ること。
次に、腕に最も力を入れてプルするときに、再度、腹筋と臀筋に力をグッと入れる。
そして、斜め後ろに腕を振りぬく瞬間は脱力し、意識するものではないが、胸が張り、腰の背骨は凹む。
この2回の、胸の動きに先導された、骨盤の前傾・後傾の連続が、優雅なうねりを生むのだ。これは結果的にこうなるというのではなく、早めに早めに、水を上下にじわっと意識的に押すことの連鎖によるうねりだからこそ、推進力になり、イルカになれるのだ。
足は、以下に説明する腕の動きに連動して、自覚しなくても、自然に2度、しなやかに打たれるはずだ。だから、ここではキックについて、ことさら触れることはしないでおこう。
2. 腕の動き
これは、4つの動きとなる。(a) 外向き薙ぎりストローク、(b) 反転、内向きストローク、(c) 匍匐プル、(d) 外向き薙ぎりストロークからリカバリーの4つである。もちろん、これらは、連続して、なめらかに行われる。
(a) 外向き薙ぎりストローク
プルの終わりで、回すように水から抜いた両腕を、力を抜いて、水平に振り出し、前方に両腕を突きこむときが、沈み込みの始まるときである。この一瞬は、腕の間に頭を埋め、背を円くする。突きこんだら、すぐに、頭をもたげて胸を張り、水面方向に滑りあがる。
この上昇していくとき、揃えた両腕の手首を曲げて手の平は若干外向きにし、外向きに、薙ぎりストロークで薙ぎりながら開いていく。このとき肘は伸ばしたままで、両腕が万歳の方向を指すまで開く。この間に、首筋の力を抜いてゆく。開き終わるときが、腰の背骨も凹み骨盤も前傾し終わるときだ。
(b) 反転、内向きストローク
そこで、手の平を若干内向きにして、方向を反転し、今度は内側に向かうが、上腕は動かさずに、肘を曲げて前腕を動かすだけで薙ぎる。そうすると、顔の前まで両手が下がってきて、蟹のはさみのような形になる。ここまでの動きは、肩に力を入れることができないので、どの関節にも負担がかからないように留意すること。したがって、この動きは、ゆったりして、全身の力は緩んでいる。首の力も抜いて、頭の天頂は真っ直ぐ前に向かっている。
(c) 匍匐プル
さて、前腕が、蟹のハサミのように目の前に下りてきた。上腕は万歳の方向を向いている。ようやく、力を効果的にこめることができる位置まで前腕が降りて来たわけである。
「そこそこ」に泳ぐためには、ここで、少し頑張ることにしよう。「匍匐プル」の出番である。
一瞬で良い。両前腕で水を掻き込みながら、腹筋、臀筋、大胸筋、広背筋に力をぐっと入れて水を臍めがけてたたきつけるのだ。骨盤は勝手に後傾し腰の背骨は後ろに張り、連鎖してしなやかなキックが打たれているはずだ。これによって、身体が水からスポンと抜き出される。
臍まで来たら、ご苦労様である。そのまま、斜め後方に開いて滑らかに前方まで回転させるのだ。
このとき、手の平を下に向け、水面と平行にすばやく前方に放り出す。この過程は、リラックスタイムだ。空中にあるこのときに息継ぎを行うが、できれば、下を向いたまま水面すれすれで行いたいものだ。
前へ、前へと向かうのだ。だから、例え前を向いて息継ぎをしたとしても、すぐに首の力を抜いて下を向こう。
以上であるが、クロールでは、片手ずつ最初から万歳の方向に腕を突きこみ、ローリングするところがバタフライと違うものの、バタフライの万歳からのプル(b)(c)は、クロールのそれと同じであることに留意されたい。
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