やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

55. 抗力中心か、揚力利用か?

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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1.なぜ、《匍匐プル》《薙ぎりストローク》の2種類なのか?(補足)


例えば、これら2つの動作の中間はないのだろうか?という疑問もあるだろう。しかし、この2つにおいては、推進力を発揮する機序が、そもそも異なっている。
薙ぎりストロークにおいては、動かす手の周りに定常的な渦ができ、手の背側に減圧を生じさせ、手の平側では圧力が上昇することによって揚力が生じる。
これに対して、匍匐プルのように直線的に水を掻く場合は、手の両側から交互に回転方向が逆の渦が放出され(カルマン渦と呼ぶ)、手の背側の圧力が低下するとともに、手の平側は水が当たることによって圧力が上昇するので、結果的に手の裏と表の間の圧力差によって抗力が発生する。

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しかし、薙ぎりストロークにおいて、CやSの文字のように、手の進行方向を変える場合がある。そもそも、前から後ろまで、斜めに薙ぎり続けることはできない。

このとき、右左に方向が変わる局面においては、方向の異なる渦が同時に放出され、手の背側の圧力が急激に低下して、瞬間的に非定常的に大きな揚力が発生することが観察されている。
したがって、2つの動作の中間はないが、匍匐プルのような直線的な動きは、薙ぎりストロークの方向転換を限りなく速く繰り返していった極限の動作ということはできるかもしれない。もちろん、そのような疲れることは、現実的にはできないが。

ところで、直線プルにおいても、実際は、左右の振動が生じる。指の間を少し空けるようにするのは、その対策でもある。

 

2.《匍匐プル》《薙ぎりストローク》のどっちが速いのか?


これは、従来から続いているS字とI字のストロークのどちらが速いのかという論争でもある。
速いというのは、距離に対しての所要時間の評価である。それゆえ、距離を決めないと、話が進まないことになる。

それでは、25mなのか? 100mなのか? それとも、400m? 800m? 1500m? 5km?

お分かりのように、距離によって、泳ぎ方も、そのペースも変わることが予想されるであろう。

同じ泳ぎ方をする限り、その泳速を上げていくためには、腕を回すピッチを速くする必要がある。

一般に、エネルギー効率だけからいうと、肘を曲げてS字に掻くような薙ぎりストロークが良い。

しかし、薙ぎるスピードを速め、ピッチが速くなってくると、肩まわりの筋力の限界から、現実的に曲線的に掻くことができなくなる。だから、結果的に、真っ直ぐ掻くことになってしまうのではないだろうか。

したがって、より少ない力で推進力を得ることが求められる中・長距離では、薙ぎりストロークを多用し、短距離で効率より速度が重視される場合には直線的に掻いた方が良いということであろう。

そもそも、「そこそこスイミング」のレベルでは、力泳ぎはしない。だから、それぞれの特徴のいいとこどりをするのである。

 ちなみに、あのマイケル・フェルプスも、息継ぎ側の右ではI字プル、左はS時プルだ。

 

次の記事を読む 56. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(バタフライ編)

 

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