やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

28. 片腕シリーズ 片腕バタフライ

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【片腕バタフライ】

片手バタフライは、記事「07.2 らくらく時間差バタフライ」ですでに説明したが、「片手」の場合は、プルしない手は前方に伸ばしている。それゆえ、ここで説明する「片腕」バタフライは、手を前方に伸ばせない場合のことである。

それゆえ、片腕バタフライとは書いたが、両腕でないことから、左右対称でない。つまり、すでに本来のバタフライにはなっていないので、ご了承願いたい。標題に矛盾があるということだが、そこはご寛恕いただきたい。

本題に入る。

この泳ぎは、動く腕を上にして、真横を向く。使用しない腕は、下肢の方向に垂らすことになるが、できれば、胴にぴたりとつける方が抵抗が少なくて良い。(片手バタフライができる方は、何の問題もないので、伏せて泳ぐも、横を向いて泳ぐのも、片手を前方に伸ばすも、体側につけるのもいかようにでもできるだろう。)

なお、どちらかの半身の動きが悪い場合も、基本的に問題なく、以下の泳ぎ方が可能である。さらに、下肢が動かないという場合でも、片腕だけでも泳ぐことは可能だ。

1. 基本的な姿勢と動き

横向きに、コースロープに対面するような姿勢をとる。

動きは、真横を向いて、片手バタフライをする感覚でうねる。

前進するにつれ、沈み込みによる体幹での推進力を利用し、浮上するときにラクに息継ぎを行う

2. プル

身体は横を向けたままで、バタフライのようにうねる。すなわち、前方に腕を突きこむときには、顔をうつむき加減に背中の力を緩めて丸め、突き込み終わる瞬間に胸を張る。突きこむ方向は深みに向けたほうがよい。胸を沈め込むのだ。そうすると浮力が増し、反動で浮き上がってくるので、これに合わせて、身体に巻きつけるように円月泳法のプルを行って、口を水面上に出す。これは、前に出すのではなく、真横あるいは少し顎を引いてクロールと同じように息継ぎをする。やりにくかったら、自由に吸えるまで真上に向いて行ってもかまわない。

腕を抜き切ったら、上体の力を抜きつつ、腕を水上で前方に回して、最初に戻り、イルカが呼吸を追えて前方に沈み込むことを連想しながら、上体を前方に沈み込ませつつ腕を突きこむ。

身体は真横に向けるが、意識的には少し上を向く感じのほうが沈みやすいかもしれない。これは個人の身体の特性によるので、角度は調整していただきたい。

3. 体幹の「うねり」と浮き沈み

からだのうねりは、胸と腕の動きにつれて、身体全体が下肢まで自然に波打つはずだ。バタフライと同じである。意識するならば、腕の突き込みにあわせた第1キック、プルに合わせた第2キックである。キックはドルフィンになるが、半身が動き肉場合は、片足だけのキックとなるが、問題はない。

うなぎのような身体のしなりがあれば、すいすい行くが、なかなかそうは行かない場合もあるだろう。腕だけではきついが、身体が動きにくいほど、浮き沈みに注力して欲しい。

最初から、ある程度、泳速が出ればいうことがないが、息継ぎで疲れるという方も、沈み込みに注力して欲しい。沈めばその分勢い良く浮き上がれる

うまく水に乗れば、充分泳いでいるという感じを持つはずだ。

前進している感じをしっかりもって、ラクであれば速度などはどうでもよいが、ちなみに、私の場合、ゆっくり泳いで、25mを10ストロークで35秒ほどで泳いでいる。

 

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31. イルカ泳ぎ イルカのように自由に泳ごう

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古式泳法とバタフライのコラボレーションとでもいおうか。

豪快にイルカが水上に息継ぎに出てくるように、浮き沈みを楽しみながら自由の泳ぐものである。それゆえ、イルカ泳ぎと命名する。

ぜひ、イルカやカジキになったつもりで楽しんで欲しい。

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古式泳法に「伸し(ノシ)」というものがある。その泳法では煽り足を使うが、この泳法では足を、ドルフィン、というか、バタフライのうねりで泳ぐのである。ほぼ、横になって泳ぐ。両手は、伸し、というか、片抜き手というものに近い。上の手を水上でリカバーするものだ。

ドルフィンキックのタイミングは、バタフライと同じく、左右それぞれのプルを1サイクルとしてキックは2回である。

しかし、あまりドルフィンキックとは言いたくはない。バタフライもそうだが、キックを打つ意識はあまりないのだ。上体のうねりを使って身体全体をイルカのようにしならせるだけだ。鞭のように、尻尾まで、いや、足先まで到達した、しなやかなうねりがドルフィンキックとなるという感覚だ。

バタフライの練習のひとつに、この動きを横になって行う練習がある。

これに合わせて、右腕と左腕で、それぞれに異なるプルを順次行うコースロープに向かって横になった姿勢で泳いでみよう。

 泳ぐリズムは、バタフライと同じである。

両手の平をあわせて頭の上あたりに伸ばし、腕の動きに古式泳法の「伸し」を取り入れて、横向きに泳いでみよう。

2. 一連の動き

(1) 一旦全身の力を抜いてから、水面側に伸ばした右手を身体にまつわりつかせるようにプルする。円月泳法と同じプルだ。広背筋でプルする。左手は、前方に突き伸ばす。同時に第1キックが入る。息継ぎは、ここで行う。

(2) プルが終わって、片抜き手のように、腕の力を抜いて水上に抜き去って前方にリカバーし、水中に突きこむが、その突きこむ動作と同時に、水中前方に伸ばしていた左腕を連動させて伸しのようにプルする。この左腕は、軽く肘を伸ばしたままで行い、身体がロールしないように角度を調節する。必要があれば水面と平行近くでプルする。できるだけ広背筋で引く。このとき、第2キックが同時に入る。このときは前方の深みにずーんと斜めに沈んでいくようにする。プルした左手を、腹から胸に水流を避けて這わせて、左耳の横辺りに位置づける。

この(1)(2)の動作を1パターンとして、これを連続して行う。

3. 全体の連携と浮沈

要するに、両手は伸しや横泳ぎと似た動作を行いつつ、体幹と下肢はバタフライのような動きで泳ぐのである。

このブログではつねに、息継ぎの前の動作では、意識的に潜るように推奨している。こうすると、推進力が増すだけでなく、次の動作で浮かびやすくなり息継ぎが楽になる。それに加え、動作にメリハリがつくので、イルカになったような気分で楽しいし、飽きない。

このイルカ泳法でも、同様に、浮沈のメリハリをつけることを推奨する。息継ぎをし、水上でリカバーした腕を突きこんでいくとき、思い切って、水圧を感じるまでずーんと沈み込んで欲しい。その浮き沈みの爽快さは鯨になった気分だ。プルは、浮き沈みを助けるように体幹で動かすだけなので、力を要するものではない。少し上向き気味の方が沈みやすいかもしれない。

イルカ泳法では、ほぼ横向きで泳ぐ。身体全体のうねりを最大限発揮しやすいと思うからだ。しかし、左腕のプルを巻きつけるように引くと、身体は自然とロールする。それでも良いと思う。自分の好きな角度で、効果的にうねることができるように調整していただきたい。

しかし、もし、このローリングを下に向くまで行うと、元に戻しにくくなり、プルした手を、逆側(左)の水面に抜いてリカバーしたくなるだろう。そのようにすると、次のように左右交互にバランス良く泳ぐこともできる。

4. 左右交互のイルカ泳ぎ

(1)右向きで、右手を前方に沈めつつ、左腕をプルして、前方に沈み込む。

(2)左手を身体に沿わせて顎まで戻してから前方に突き出しつつ、前方に伸ばしていた右腕を身体に沿わせながらプルし、このとき息継ぎをする。

(3)左腕の力を抜き、右腕を大きくリカバリしつつ前方に突き込み、同時に左腕を腹の方に巻き込みながらプルする。身体は大きく沈み込みながらローリングする。

(4)左を向いたら、左腕を水面上でリカバリをし、前方に持ってくるときに右腕を身体の前でプルをする。これは(1)の動作終了後の左右逆の状態と同じである。

(5)今度は(2)~(4)の動作を左右逆に行う。

こうして左右のイルカ泳ぎがバランスよく継続できることになる。

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ただ、このパターンで泳ぐと、3ストロークに1回の息継ぎということになる。これでは、息が、ちょっと続かないという方には、下の動画のように、一 度、やぎロールで左右変換してから、すぐ連続して同じ側をプルして息継ぎをするのもよい。つまり、やぎロールに片側イルカを加えることと同じである。そうす れば、2ストローク1息継ぎで、左右均等の泳ぎができる。

これは、一応、「やぎイルカ泳ぎ」と呼んでおこう。

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いちいち紹介はしないが、この泳ぎには、いろんな変化もあるし、姿勢も一様に決まったものがあるわけではない。

たとえば、(3)のときは下向きになって左右の変換を行うが、このとき、上向きになって、らくらく2ビート背泳ぎの形を経て左右変換を行うこともできる。

また、(2)の動きは何回も続けて行ってもよい。つまり、姿勢が安定するまで続けたり、行きは右、帰りは左などとしてもよいだろう。

また、やぎロール等へと移行するのも良し、上向きを取り入れたり、また、キックをいろいろ変化させて泳ぐのもよい。

ともあれ、いろいろな泳ぎをとりまぜて自由に泳ぐと、実に、イルカになった気分で、楽しいこと、この上ない。

 なお、イルカ泳ぎでの速度は、片手バタフライより速く、時間差バタフライと同程度である。ちなみに、わたしは、25mを、6回ほど潜って浮き上がることで、30秒前後で泳いでいる。このタイムで泳ぐ場合、他のどの泳法より楽かもしれない。
 

27. 片腕シリーズ 概論

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私自身、広背筋でプルせずに、つい腕に力を入れて泳いだりすると、肩が痛くなることがある。そんなときは、その腕に負担をかけないで泳ぐように工夫をする。

普通は、その腕の力を完全に抜いて身体にまつわりつくようにプルすれば問題ないが、今回は、何らかの都合で完全に片腕が使えない場合、あるいは、半身が使えない場合の泳ぎ方について書いてみたい。

このときは、使えない腕を、前方に伸ばせるか、伸ばせないか、足も動かないかということで、泳ぎが異なってくる場合がある。

1. らくらくクロールでの片腕泳法

通常のクロールでも、らくらくクロールでも、一方の手だけでクロールをすることは可能であり、そうした練習方法もある。しかし、2ビートに合わせて、2回片手でプルを続けるのも結構しんどいものだ。また、プルを一回休むようにすると、バランスをとりにくい。

ここでは、当ブログで紹介してきた「らくらくクロール」シリーズで、比較的ラクに泳げる方法を紹介したい。

それは、らくらくクロールをやぎロールで泳ぐことを想定し、その片側を連続して泳ぐ方法だ。

もちろん、プルする腕が片側だけになるので、その腕が両腕でプルするのに比べて疲れるのはしかたがないことだが、ゆっくり泳げばよいのだ。息継ぎにもゆっくりが良い。決して、あわてないこと。あわてると苦しくなる。

特に、浮き、沈みを充分活用することだ。

つまり、2回プルする間に、一回目は意識的に沈みこむようにし、2回目に肺の浮力で浮き上がってくる勢いで、ラクに顔を出して息継ぎをするのだ。

これを容易にするために、そして、安定した体勢を保つためには、殆ど横を向くほうが良い。何しろ、ロールをしない「やぎロール」にすることになるから、180度ローリングのまま、つまり、真横を向いたままにするのだ。

下方に伏せると、片腕のプルでは姿勢の制御が難しい。それゆえ、真横あるいは、少し天井に向くくらいが良い。使わない腕は、前方に伸ばしても、後方にあっても良いが、後方の場合は、できれば、身体にぴったり付けるほうが良い。前方にあれば、重心を前にもっていくことができるが、後方であれば、下肢が浮きにくくなる。しかし、浮き沈みを利用すれば、下肢の浮きかたは、さほど問題にならなくなる。

特に、キックは、ドルフィンにしてしまった方が良い身体の制御は、左右の足の力加減で調節する。また、片腕だけでなく、同じ側の足が使えない場合、つまり、半身が動きにくいという場合も、上側の足をキックするだけで問題なく泳げる。

さらに加えれば、身体のうねりを利用することだ。しかし、これについての詳細は、「片腕バタフライ」として、別記事として立てることにしよう。

2. らくらく背泳ぎでの片腕泳法

2ビートのらくらく背泳ぎで、動かない片腕を前方に伸ばしたまま行うのは、結構、難しい。ただし、肩関節が柔軟であり、腕が前方に楽に伸ばせる人にとっては可能であろう。しかし、おそらく、動かない腕ならば、それを前方に伸ばすこと自体難しいであろうし、また、私のように肩関節の可動域が狭い者にとっては、腕は後方に下ろしてしまったほうが簡単だ。できれば、抵抗を少なくするために、体側に付けておきたい。

基本的に、片手でも、2ビートらくらく背泳ぎで泳ぐのに何の支障もない。ただし、動かない側へのローリングが小さく、下肢が沈みがちになるから、若干、キックを大きくし、プルの最後の押さえをちゃんと行うようにして欲しい。つまり、腕相撲のようにプルの腕を腰まで倒した後、大腿の横でプールの底めがけて軽く押さえる、または、スナップするのだ。そうすると、動かないほうにも確実にロールするので、腕のリカバーが落ち着いてできるようになる。

もし、2ビートらくらく背泳ぎでは苦しいという人は、記事「24.2ビートのらくらく背泳ぎ もっとラクにする煽り足」で紹介した「煽り足」を使うと楽である。ただし、煽るように足の動きを大きくすると、返すローリングをしっかり行う必要が増すので、手のスナップが重要になる。この場合、煽り足は、片側だけ一回で1ストロークである。

また、もっと楽にする方法もある。

それは、煽り足でプルし、リカバーするときに、かえる足を挟むことだ。

(半身でのらくらく背泳ぎ)

また、片腕だけでなく、同じ側の足が使えない場合は、片足キックとなるので、これは、ちょっと注意が必要だ。

普通、プルとキックは対角で行うが、この場合は、半身が動かない想定なので、プルの足と同じ側を蹴ることになる。そして、この体勢でローリングしなければならない。

そうするためには、キックの方向は内股より、真っ直ぐに打つほうがよいかもしれない。その方向は個人の状況に鑑みていろいろ試して欲しい。手首のスナップは意識して行うこと。

こうすることによって、片側の手足で、らくらく背泳ぎが安定して泳げるだろう。なにごとも、あわてないでゆっくりやること。

また、慣れれば、キックなしでも、片腕だけで泳ぐこともできるようになる。

3. らくらく平泳ぎでの片腕泳法

らくらく平泳ぎで片手を使って泳ぐ場合、左右のバランスを保つことに留意すればよい。

まず、動かない片腕のほうであるが、これは、肘を曲げて手の平を水面と平行にし、顔の前方に保つか、前方に伸ばす。しかし、前方に伸ばしにくい事情も多いであろうから、その場合は、体側に付ける。要は、水流の抵抗になりにくいようにする。

さて、もう一方の動く手だけで、平泳ぎのプルをするわけであるが、体勢の左右の均衡をとるためには、普通にプルはできない。

そこで、プルの腕は、もっと真ん中に位置づける必要がある。つまり、蹴伸びで伸ばした腕の力を一旦抜いたとき、肘がゆるんで前腕が目の前に横になって近づいてくるが、その手首あたりを、顔の正面あたりに位置づける。

そして、手の平の角度を下向きに傾けてプルを行う。つまり、顔や上体を上げやすくするために、下になでるように水を押し付ける(揚力を利用する)のである。プルは、基本的に肩甲骨を下げるように、広背筋等を使う。両腕の時よりは、少し大きくプルすることになるだろうから、胸を通過したら、蹴りと共に、片手で拝ぐようにし、前方に突いて伸ばす。

あるいは、掻き方は上記のやり方でなく、もっと水中深く弧を描いても良い。これは、いろいろ試して、自分に合った掻き方を探せばよいだろう。

また、片腕だけでなく、同じ側の足が使えない場合は、少し厳しい。つまり、この平泳ぎは、推力をかえる足によって得ており、片手では、上体を息継ぎのために持ち上げるくらいのものだからである。

したがって、片足のかえる足でも訓練すれば泳げるが、そこまで無理しなくても、「片腕バタフライ」や「らくらく背泳ぎ」で泳いだほうが良いと思われる。

なお、前方に伸ばす手は、伸ばしきった瞬間は、手の平を水底に向け、手の甲で水を上に押すと良い。これは、下肢を浮かすと同時に、キャッチとして

プルしやすくなる

 

4. 片腕バタフライ

バタフライについては、そもそも、片手バタフライという練習がある。これは、記事「07.2 らくらく時間差バタフライ」の中で説明したので、これを参照していただきたい。

片手バタフライでは、使用しない片手は、前方に伸ばしきるのであるが、腕が動かないことを前提とすれば、体側に付けることになる。

こうなると、もはや、片手バタフライとは異なるので、これから説明する泳ぎ方を、とりあえず、

片腕バタフライ

と呼んでおこう。

単に片手バタフライの片手を体側につけれだけでも充分泳げはするのだが、推奨したいのは、身体の姿勢を真横にすることだ。

これは、実は、上記1のクロールの項の最後で、別記事として詳しく紹介するものと全く同じになる。説明が長くなる虞があるので、ここでは詳細を割愛するが、ご自分でやってみれば、すぐにできるはずだ。

その場合、浮き沈み、うねりを意識し、自分の個性に合った、泳ぎやすく効果的な姿勢やプルの方法を確立していただきたい。

これは、基本的に片手バタフライの変化形に過ぎないので、楽であるし速い。ただし、横を向いていると鼻に水が入るので、いつも鼻から少し息を出している必要があるだろう。

5. その他の泳ぎ方

四泳法の範疇に入らない泳ぎ方については、おいおい、個別に記事を立てて紹介することにしたい。

 

次の記事を読む 28. 片腕シリーズ 片腕バタフライ

 

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26. 身体的特徴と水泳

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身体的特徴と個性

泳ぐために生まれてきたような人もいる。例えば、イアン・ソープのような人。彼は、速く泳ぐために生まれてきたような人だ。背が高く、柔軟で、手足もヒレのようだ。

速くなくてもいい、泳ぐのが好きという人もいるだろう。

反対に、泳ぐのはつらいという人もいる。

鼻や耳に水が入って嫌だという人は多い。

単に水泳に慣れていないというだけなら良いが、私の妻などは、手の平がボロボロになって痛痒い難病を持っており、かわいそうなことに、水仕事や、プールに漬かったりすると、これがひどくなって、どうしようもなくなる。

そうなると、とても泳ぐどころの話ではない。

私個人のことでいえば、肩関節の柔軟性があまりなく、腕が上がらないということは、このブログで、しばしば書いた。肩だけでなく、足首の柔軟性もないし、私の身体は競泳スタイルには向いていない。

そもそも、私は競泳などしたくない。もしかしたら、「すっぱい葡萄」なのかもしれないが、でも、やはり、する気はない。競争というのは、自らの限界に挑むことであり、オリンピックでもサスケでも、見るにはおもしろいが、自分がやるとなれば、犠牲も大きく、健康のためにも良いとは、とても思えないのだ。

それは、ともかくとして、さまざまな身体的特徴を持った人は多い。

いや、誰しも、障害と名をつけようがつけまいが、目に見えるか否かは別として、身体的特徴はもっているのだ。それは、個性にすぎない

事故で片腕を失った人。病気のために、半身が動かなくなった人。片腕や足が動かしにくいとか、首が回りにくいとか、そもそも、どこかが痛いだとか、いくらでもあるだろう。先天的なものもあるし、後天的なものもあるだろう。

物理的な形や可動域に限らず、精神的なものもある。

「正常な」という概念は怪しい。正常な身体とか、正常な精神というものは定義できるものでもないし、する必要もない。

「平均的な」という概念だってそうだ。平均的な身体というものもない。もちろん、一定集団における平均身長や平均体重といったものはある。しかし、例えば、平均的な視力ということになると怪しい。見え方というのは、視力検査ですむ問題ではなく、見るものにもよるし、見るためには脳での判断がともなうことから、平均的なという概念は、あやしくなってくる。

ましてや、平均的な精神力とか、平均的な集中力など。あるはずもない。

だれでも、みんな、心身に個性を持っているのだ。

個性と水泳

「水泳をしたい」というときに、その目的は、何であってもよい。

泳げばよい。ただし、公共プールやジムのプールでは、ある程度、他人の運動の妨げにならないようにしたいものだ。

ゆっくり泳ぎ、壁際でゆっくり休むのもよい。

その場所でのルールを守って、一方通行で、隣の人の領分に、はみ出さずに泳げばいいのだ。

だから、泳ぐスピードだってそんなに気にすることはない。速い人は速い人同士泳ぐか、遅い人に合わせればよい。

でも、おそらく、多くの人は、ラクに、できれば、そこそこ速く泳ぎたいと思っているのではないだろうか。そして、できることなら、自分の決めた運動時間中、ジョギングのように継続して泳ぐこともしたいと。

人によっては、リハビリの目的があるかもしれない。人によっては、陸上での運動に支障があり、膝や肘や、どこかに痛みがあるのかもしれない。

しかし、見てると、どのような個性を持っている人であれ、いわゆる、一般的な4泳法といわれる、クロール、平泳、背泳、バタフライを無理して泳いでいるような気がする。いわゆる、スクールで教えている泳ぎだ。

別に、それは、それでよいのだけれど、でも、もっと自分の個性にあった泳ぎがあってよいのではないかとも思う。

このブログでは、これまで、肩があまり上まで挙がらない人や、らくに泳ぎたい人を対象に、いろいろ工夫してオリジナル泳法を紹介してきた。要するに、私の自由形に過ぎないものだ。

今後は、もっと色々な場合を想定して、泳ぎ方を工夫していきたいと思う。

例えば、私自身、肩を故障することも時々ある。

思えば、そもそも、3年前に水泳を運動に取り入れたのは、左肩を故障したからであった。水泳は無理のない運動だと考えたからである。そして、痛くない範囲で動かし、1年かけて治した。

しかし、痛いときには、思うようには動かせないし、動かさないほうが良いときもある。

だから、例えば、片腕の動きに支障があったり、痛みがある場合や、足に麻痺がある等々、一般の4泳法を泳ぐのに支障がある場合を想定してである。

 片腕が動かなくても、充分、泳げるのだ。

足が動かなくても何の問題もなく、これまで紹介した殆どの泳法で泳ぐことができる。

問題は、おそらく、例えば、腕が単に動かないというだけでなく、その原因を含めた問題が泳ぐ際にどう作用するかということだが、それは、個別に対応する必要がある。

個別の問題は想像するしかないが、このブログでは、当面は、最初は、単純に、片腕だけや、半身を使って泳ぐといった想定で、これまでの泳ぎや新しい泳ぎを紹介していこうと思っている。

 

次の記事を読む 27. 片腕シリーズ 概論

 

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25. らくらくバタフライ 

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まだ、私にとってバタフライは、それほどラクな泳ぎではない。もっとも、他の泳ぎでは、ほとんど力を込めていないので、それらと比べるからかもしれないが、でも、第1の理由は、まだ修行が足りないのだろう。そして、第2の理由は、やはり、私の肩間接の稼動範囲の狭さに起因するようだ。

私の場合、水に真っ直ぐ浮かんで腕を前に伸ばしたとき、腕が水面と平行にならず、30度くらい下方に落ちてしまう。それを持ち上げて無理に平行にすれば、大きく胸を張ってしまう。だから、何を泳ぐにしろ前方に対する抵抗が大きい。まあ、そんなハンディがあっても、何とか、まったりした、力まない泳ぎを工夫するように努力している。

いつまで経っても、らくに長距離を泳げるようにはなりそうもないので、これまでの成果を、この辺で、記録として一旦整理しておくことにする。

一応、「らくらくシリーズ」に合わせて「らくらくバタフライ」として、3種類の泳ぎかたを追加しておこう。

とにかく、バタフライは、イルカみたいで、とても、爽快感がある。少しくらい疲れても、やったことのない人は、一度は挑戦したいであろう。

しかし、「らくらく」の範囲である。25mを30秒くらいで、ゆっくり泳げればよいというものにすぎない。

0.総論

バタフライの苦手な人の泳ぎでは、最初は良くても、だんだん、顔が上がらなくなり、また、胸から落ちて大きな抵抗になっていく泳ぎを、よく見かける。

これは、上体が上がりにくかったり、息継ぎが遅くなって、胸から落ちるようになり、その結果、水を縫う動きが阻害されてしまうのが原因だと思われる。

そのためには、息継ぎがラクであること、早めに息つぎができること、充分高い位置エネルギーを確保して、重力を利用してこれを前方への推力に変えていくことが大事だと思う。

これを確保するためには、このらくらくバタフライでは、つぎの3項目を重視している。

(1)水を縫うように、確実に前方に頭から飛び込むこと

(2)肺の浮力で浮上して水の上にラクに飛び出すために、ある程度しっかり胸を沈ませること

(3)腕や手の平の角度で、スカルやプルにおいて揚力を活用し、腹筋と広背筋を使って、余裕を持って、上体を水上に押し上げること

プルだけで水上に飛び出るのは余りに疲れる。深みから浮力を利用してブリをつけなければ、われら還暦スイマーにとって、やっていけそうもない。

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1.らくらくバタフライ 潜水3キック泳法

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この泳法は、チャックさんのグライドバタフライの変形である。最初は、チャックさんのバタフライを目指したのだが、結局、私の肩関節の柔軟性では、そのとおりは無理であった。最も重要な点であるところの、腕を水面と水平にしたグライドができないからである。そこで、私なりの泳ぎに改造させていただくこととした。肩関節が柔らかい人 は、チャックさんのサイトをごらん頂いて、グライドバタフライそのものを目指していただきたい。

ともあれ、肩間接の可動域の限界の差異は、しかたがないことなので、私の場合は、その1で示した方法で代用している。

すなわち、私は、前方にグライドするとき、伸ばす腕の、肘だけ落とし、手の平だけ頭の前に水平に揃えている。曲げた腕に抵抗を受けるのはやむを得ない。身体を真っ直ぐにすることが大事だ。その分、目一杯リラックスしてグライドすることにした。およそ、水面から30cmほどの深さで潜行する。沈まなければ、勢いよく浮き上がることもできないから、深めに潜行するのだ。

減速してきたら、やおら、顔を上げる。身体は真っ直ぐ伸ばしたままだが、上体は水面に向かって浮上しはじめる。そのとき、(腕を前に水平に伸ばせる人は一旦腕の力を抜くと、)肘が軽く曲がっているが、水平に伸びたその前腕や手の甲に水流を感じるはずだ。そこで、腹筋を締め、広背筋を使って、そのまま、両腕をほぼ平行に、下向きに弧を描いてプルする。真下を過ぎたらすぐ左右に分けて横に腕を抜き、力を抜いて、手の平を下にして、すばやく前方に水面すれすれに前方に落とす。

このプルは、ハの字のストロークだが、実際は水を深く抉る円弧を描いており、揚力も得ている。

リリースで腕を横に抜く前(少なくとも意識的には)に、息継ぎを済ませませてしまう。できれば下を向いて。

そして、すばやく腕を振り戻すことによって、障害物を越えるように前方に滑り込む

重要なので、ここでも繰り返すが、プルは身体と直角になった時点で、左右に開いて、横に弧を描いてリリースをすること。これにより、前方への飛び込みに間に合い、推力が確保できる。

プルで、横に弧を描くときは、揚力を得るように、抵抗を確かめながら、あわてずにゆっくり行う。広背筋に力を込め、腹も締めるのは、プルを始めて真下までの間だ。あとは、全てリラックスして行いたい。

キックも、プル時に1つ打つ。キックは、前方に飛び込む瞬間(第1キック)と、潜り込んで水平潜行に入る前に打つ(第2キック)。第1キックは無意識に打たれるはずだが、第2キックは、前進させるために、意識的に打つ。そして、プル時のキックは、第3キックとなる。都合3つも打つのである。

3つも打ったら、疲れるのではないかと思われる向きもあるだろうが、私は、この第3キックを打つことによって、非常に、ラクになった。

ようやく、曲がりなりにも、バタフライにも「らくらく」をつけた所以である。

 

2.らくらくバタフライ  なでプル泳法

上記の「潜水3キック泳法」は、普通でないと敬遠される方には、普通のバタフライで、少しラクになる、ゆったりして泳ぐ方法を紹介しよう。

一連の動き

最初に壁を蹴って、前方にドボンとイルカみたいに飛び込んだところを想定して説明を始めよう。もちろん、息は吸っているはずだが、できれば、肋骨は上げているほうが良い。浮力が大きく違うからだ。

両腕は、真っ直ぐ前に伸ばせる人は、両腕の間に頭を挟み、目線はプール底に落ちている。私は、真っ直ぐ伸ばせないので、肘だけ落とし、手の平だけ頭の前に揃えている。身体を真っ直ぐに保ち、ラクな姿勢をとるためには抵抗は受けてもやむを得ない。とにかく、ラクに前後に身体を伸ばして水面に並行に滑っていこう。

さて、減速してきたら、胸を張るように顔を上げて、身体(腰)は反らないように真っ直ぐ伸ばしたまま、ゆっくり肩をすくめて両腕を伸ばす。これは、アウトスカルである。このとき、外側を向いた両手の甲のなす角度は平行ではなく、直角とする。手の平を水底に対して45度くらいに保つということだ。これは、上体を浮かすためである。ゆっくりがよい

バンザイするくらいまで開いたら、今度は全身を緩める。すると、身体は丸まり、両膝は緩み、そして、両腕は内向きになって目の前に引きつけられてくるはずだ。このときの手の平も、水底に対して45度を保っておこう。

両手がハの字に近づいたら、今度はプルだ。しかし、大腿の方に抜くのではない。

両腕を楽にし、腋を開いて、腹筋を締め、広背筋を使って肩甲骨を下げ、腕は斜め後ろに左右に大きく開いて水上に抜く。このとき、手の甲を自分で見えるような角度にしておき、実際に見ること。

キックは、私は、アウトスカルのときに行っている。自然に打ってしまうのだ。

この一連のゆっくりしたプルで、上体が楽に水面に上がってくる。ここからはリカバーに移るのだが、できるだけ素早く行う

両手を抜く前に、(できるだけ肋骨は上げたまま)一気に息を吐いて(といっても半分ほどになるが)、頭を少しもたげて水面を見ながら、素早く息継ぎをする。(口が水面に出ない場合は、素早く、喉を真っ直ぐにして正面を見て行う。)息継ぎが終わり次第、前方に飛び込むために、直ちに、頭を垂れる

身体と直角に真横に抜いた腕は、肩を楽にして、手の平を水面に向け、水面すれすれに、弧を描いて前方に回して入水させる。このときは、肩甲骨を回そうと思わないこと。却って、肩がすくんでしまう。この動きは、水面に浮かんだ棒切れを飛び越えて前方に飛び込む意識をもつことだ。それゆえ、頭は下げて、腕は素早く前に振らなければならない。この時、同時に、もうひとつキックが自然に打たれる。

一体、普通のS字のバタフライとどこが違うのか?

ひとつは、プルの軌跡をゆっくり長く取ることだ。これによって、力の配分や上体の位置をゆっくり調整することができる。もうひとつは、手の平の水底に対する角度である。常に45度を保とうとするのだ。水をなでるように押し下げることによって、上体を浮かせることができ、息継ぎがラクになる。だから、「なでプル泳法」だ。スピードは少し落ちるが、われら還暦スイマーには十分だ。息がラクにできることと、形を安定させることが一番なのだ。

これは、ゆっくりとやるのが特徴だ。ゆっくりでも、見た目には、結構豪快に見えるはずだ。

 

3.らくらくバタフライ 跳び箱泳法

上記の「なでなで泳法」では、スカルを多用したが、ついでに、もうひとつ、スカルをしないやりかたも紹介しておく。

最初は同じである。大きく息を吸って、前方にドボンとイルカみたいに飛び込んだところから説明を始めよう。もちろん、肋骨は上げているほうが良い。浮力が大きく違う。

両腕を真っ直ぐ前に伸ばせる人は、両腕の間に頭を挟み、目線はプール底に落とす。私は、例によって、腕を真っ直ぐ伸ばせないので、肘だけ落とし、手の平だけ頭の前に揃えている。とにかく、ラクに前後に身体を伸ばして水面に並行に滑っていこう。

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(1)プル

減速してきたら、胸を張るように顔を上げて、身体は反らないように真っ直ぐ伸ばしたまま、プルに入る。動きは、両手の力を一旦抜いて、手の平だけ招き猫にし、やおら、腕を、跳び箱に手を突いて飛び出す気持ちで、下向きに両腕を平行にしたまま弧を描いて腹筋を締め広背筋でプルする。真下を過ぎたらすぐ左右に分けて横に腕を抜き、手の平を下にして、すばやく前方に水面すれすれに前方に落とす。腹筋を締め広背筋でプルすると、背中が丸くなるはずだ。

この泳法も、早く顔が上がる。そして、その1と同様、腕を抜く前(少なくとも意識的には)息継ぎをすませてしまう。力を抜いて、すばやく腕を振り戻すことによって、障害物を越えるように前方に跳び込む。このプルは上から見るとやはりハの字だが、実際は水を深く抉る円弧を描いており、揚力も使っている。

繰り返すが、プルは身体と直角になった時点で、横に弧を描いてリリースをすること。これにより、飛び込みに間に合うだけのリカバリと推力を確保する。横に弧を描くときは、揚力を得るように、抵抗を確かめながら、あわてずにゆっくり行う。力を込め、腹も締めるのは、プルを始めて真下までの間だ。あとは、全てリラックスして行う。

(2)キック

キックは、したがって、プルを始めた瞬間と、飛び込む瞬間の2回だが、これらは無意識に打たれるはずだ。

(3)タイミング

跳び込んだら、柔らかく水を縫って頭をもたげる。胸を張るように顔を上げて、最初に戻ってプルを行う。

最初は、ゆっくり、少し深いくらい潜って浮き上がってこよう。なれてきたら、前へ前へと伸びれば良い

 

4.あとがき

以上の3つの泳ぎは、どれにしても、ラクラクだが、私自身は、50m以上は余り泳ぐ気がしないというのが本音のところだ。しかし、いずれ距離を伸ばして行きたいとは思っている。ひとえに、まだ、私の修練が足りない。

どれだけ力を使うか、どのような形でプルするかについては、速度や、かっこ良さ、距離などに依る。目的と手段を、それぞれの方の個性に合わせて選んでほしい。

 この泳ぎでのテンポやスピードは、25mを壁を蹴らずに、9ストローク、30秒くらいである。潜水3キックでは、グライドが長いので、5ストロークくらいである。

もちろん、もっと、緩急をつけることもできる。しかし、速くすれば、やはり、それだけ息が切れる。もっとゆっくりという場合には、深くしなければならないし、あまり、間隔が長くなっても、やはり息が続かなくなることもある。

チャックさんは、バタフライで2kmも泳がれるそうであるが、まだまだ、とうてい、その域には達せそうもない。

 

 

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24.2ビートのらくらく背泳ぎ もっとラクにする煽り足

 このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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このブログで一番アクセスの多いページのひとつが「05. 背泳編 2ビートのらくらく背泳ぎ」である。

2ビートにご興味があるということだろう。

そこで、もし、まだ、2ビートに慣れないという方に、お勧めしたいキックを紹介しよう。

それは、「煽り足」を使うことだ。

煽り足は、普通、キックとは呼ばない。前後に挟むからだ。

これを使うことにより、らくらく背泳ぎが、もっともっとラクになる。そして、2ビート導入の練習にもなる。

とりあえず、以下に、動作の説明を簡単にしておこう。

1. 足の動作

煽り足は、足を前後に大きく開き、これを閉じることによって推力を得る。

「伸し」などでは、コースロープに向かって身体を横たえて使い、開く足は上の足を前に、下の足を後ろに開く。

らくらく背泳ぎでは、どちらでも良いのだが、とりあえず、その逆、つまり、ロールしたときの、上の足を後ろに、下の足を前に開くこととしよう。この方が容易だろう。

その動作は3拍子だ。

・膝を曲げて、踵を尻に近づける。

・前後に開く

・閉じる

最初は、この3動作を意識してやってみると良い。慣れれば、滑らかに動かし、もっと慣れれば、開く幅を狭くして欲しい。

2. プルとの連携

説明するまでもないが、以下のとおり。

煽り足は横を向いて行うので、必然的に、下側の腕がプルの腕となる。

その方法は、腕相撲の動きだが、詳細は、「05. 背泳編 2ビートのらくらく背泳ぎ」を読んで欲しい。

プルと煽り足(そして、もう一方の腕のリカバー)を同時に終えたら、暫くはグライドの時間だ。

リカバーは、少なくとも天頂までは迅速に、あとはゆっくり下ろす。この間はグライドの時間だ。ロールが戻って、リカバーの手が着水したら、逆側のコースロープに対面しているはずだ。

今度は、足の開きを逆にして煽り足を行う。

3. 評価・総論、2ビートへの移行

私にとって、らくらく背泳ぎは気持ちの良い泳ぎである。うつ伏せの泳ぎに飽きたり、疲れたりしたら、らくらく背泳ぎをする。焼き魚に限らず、人間だって表を焼いたら、裏も焼いたほうが良い。おかげで、私は全身真っ黒である。このラクチンさをまだ味わっていない方には、是非、もっと楽な煽り足を使ってみて欲しい。

煽り足は、動作がゆっくりと明確である。そして、推進力も大きい。それゆえ、かなり泳ぎがラクになるはずである。

ただし、前後に開く足の開き加減を大きくすると、開いた時に減速することと、力を多めに使うだろう。従って、初めは3拍子で良いが、踝の引きつけは次第に無くし、開き加減も小さくして様子を見て欲しい

これで、気持ちよく泳げる人は、この泳ぎ方で泳いでいれば良いとも思う。

それぞれの個性に合わせて、一番気持ちの良い泳ぎをすればよいのだ。

ただ、2ビートを目指したい方は、この煽り足の幅を、だんだん狭くしていって見て欲しい。どうなるか?

どんどん、2ビートに近くなるのである。2ビートでは、足の甲での内股キックしか意識していないが、この煽り足を小さくすれば自然と2ビート内股キックになっていくのだ。そうして、蹴った後、足首を重ねてグライドできるようになるまではすぐのことだ。

ところで、このラクチンな煽り足での泳速であるが、抵抗と推進が相殺されて、普通の2ビートと同じか、少し速いであろう。あとは、ご自分の個性に合わせた開き加減で、一番ラクで速い点を見つけていただければ良い。

ところで、煽り足を使用しても、背泳ルールには抵触しないはずである。もっとも、ラクな水泳を楽しみたい方で、競技を目指す方は、まず、おられないとは思うが。

もし、背泳ぎの初心者で、らくらく背泳ぎの練習方法について説明の必要な方がおられれば、書き足してみるのでお知らせ願いたい。

 

 

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