やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

チャックさん、ありがとう

チャックさんがブログ(キックなしでもクロールは泳げる!)の執筆を閉じられることになった。
突然で驚いた。

チャックさんのブログには、本当に目を開かれることが多く、毎回の記事を楽しみにしていたのに、それが閉じられるというのは、本当に、残念至極である。
しかし、思えば、視力のご無理に耐えて、これまで書いてくださっていたのには、本当にありがたく、頭が下がる。
いつか、また、再開されることを、ぜひ、期待したいものである。

コメントも受け付けておられないようなので、この場で感謝の意を表させていただきたい。
「チャックさん。本当に、ありがとうございました。
これからも、楽しい水泳で、健康を保って、いつまでもご活躍ください。

チャックさんからいただいた様々な知見は、今後も私の泳ぎの中にも活かしていきます。

繰り返し、本当に、これまで、ありがとうございました。」

 

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30. 片腕シリーズ 片腕伸し(のし、横泳ぎ)

 このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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この泳ぎは、「やぎさんの伸し」の変化だ。

この記事は、片腕シリーズに属するので、一応別記事としておく。

「やぎさんの伸し」については、前記事として書いたが、再掲しておく。(読んだ方は読み飛ばしていただきたい。)

その上で、片腕だけの泳ぎに移ることにする。その方が、説明をしやすいからである。

1. やぎさんの伸し

これは、古式泳法の「伸し(ノシ)」の変化である。横になって泳ぐもので、その一形態が横泳ぎと呼ばれている。

さて、便宜上、左のコースロープを見ながら泳いでいるところを想定しよう。横になっているので、この場合、水面に近くあるのは、左手及び左足のほうである。

(1) 下肢の動作(煽り足)

「煽り足」は横泳ぎでおなじみとは思うが、古式泳法の「伸し(ノシと読む)」や「抜き手」などで多用されている。既に、記事「20. 古式泳法とのコラボ泳法 ドル抜き手やぎロール」で紹介したが、再掲しよう。煽り足は、次のように3拍子で行う。

(イ)両足の膝を曲げて、尻に引きつけ、

(ロ)前後(上の足が前)に大きく開脚して、

(ハ)伸ばしながら、閉じる。

脚が、かえる足のように横に開かないように注意すること。そのためには、内股気味にすると良い。

(イ)(ロ)では、水流の抵抗を受けるが、(ハ)では、大きく進む。

(2) 手足の動きと連携

煽り足を理解したら、やぎさんの伸しに移ろう。

横になって蹴伸びしたら、両手を拝むように合わせ、前方(泳ぐ方向)に両手を伸ばす。

(ア)上の手(左手)で身体に沿って巻きつけるように肩甲骨を動かして腿までプルを行う。顔が浮きやすいので、息継ぎは、この時に行うのが簡単であろう。すーっと前進したところで、次に、

(イ)右腕で真下に向かって深く半円形にプルし、その間に、左腕を水上でリカバーして前方に落とす。次に、

(ウ)両足首を尻に引きつけ、左足を前にして両足を前後に膝は曲げたまま開き、大きく閉じる。煽り足だ。この動きに合わせて、右腕を腹の方に片手拝みに引きつけて、煽り足と合わせて前方に突き出し、両手を合わせる。

この一連の動作を繰り返す。ゆっくりした三拍子だ。

プルのときは、顔がほぼ水面に出ているが、煽り足で勢いよく進むときには、身体全体が水中に没して沈みこむ方が泳速はあがると思われる。また、次のプルの時に行う息継ぎで浮上しやすくなる。

ただし、横に向いて水中に没している間は、鼻に水が入ってくるので、常時、鼻から息を少しずつ吐いている必要があるだろう。

横泳ぎの系統は、結構、泳速が速く、25mを煽り足は8回程度、30〜35秒程度で泳いでいる。

2. 片腕伸し

これは極めて簡単である。上記した「1.やぎさんの伸し」を基本とし、両腕のいずれかの腕を体側につけて泳ぐだけである。

左を向いて泳いでいることを想定すれば、左腕だけを使う場合と右腕だけをつかう場合があるが、どちらの場合でも、息継ぎは、プルのときに行う。

片腕となるので、三拍子が二拍子となるだけで、他はやぎさんの伸しと変わらない。

ただ、何にせよ、煽り足は、左右の幅をとるため、対抗泳者に気を使う必要がある。また、横を向いているため、後ろやコースロープに十分気が回らないこともある。それゆえ、コースを専有できないときには、片腕バタフライを奨める。片腕バタフライも横を向いてはいるが、幅は殆どとらないし、バランスの調節もしやすいからである。

 

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29. やぎさんの伸し

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古式泳法に「伸し(ノシ)」がある。

古式泳法では、煽り足を多用する。煽り足を横に用いる、すなわち、横を向いて、両足を前後に開く(上の足を前に開く)方法は、「伸し」で使われている。

いわゆる横泳ぎと呼ばれているのは、伸しの一形態のようだ。

伸しには、腕の使い方によって、色々な変化がある。

ここでは、それらを解説するのではなく、それらを参考にして、ここでは、まず、私が泳ぎやすいと思う手足の動作の連携を考えた「やぎさんの伸し」を紹介したい。

便宜上、左のコースロープを見ながら泳いでいるところを想定しよう。横になっているので、この場合、水面に近くあるのは、左手及び左足のほうである。

1. 下肢の動作(煽り足)

「煽り足」は横泳ぎでおなじみとは思うが、古式泳法の「伸し(ノシと読む)」や「抜き手」などで多用されている。既に、記事「20. 古式泳法とのコラボ泳法 ドル抜き手やぎロール」で紹介したが、再掲しよう。煽り足は、次のように3拍子で行う。

(1)両足の膝を曲げて、尻に引きつけ、

(2)前後(上の足が前)に大きく開脚して、

(3)伸ばしながら、閉じる。

脚が、かえる足のように横に開かないように注意すること。そのためには、内股気味にすると良い。

(1)(2)では、水流の抵抗を受けるが、(3)では、大きく進む。

2. 手足の動きと連携

煽り足を理解したら、やぎさんの伸しに移ろう。

横になって蹴伸びしたら、両手を拝むように合わせ、前方(泳ぐ方向)に両手を伸ばす。

(1)上の手(左手)で身体に沿って巻きつけるように肩甲骨を動かして腿までプルを行う。顔が浮きやすいので、息継ぎは、この時に行うのが簡単であろう。すーっと前進したところで、次に、

(2)右腕で真下に向かって深く半円形にプルし、その間に、左腕を水上でリカバーして前方に落とす。次に、

(3)両足首を尻に引きつけ、左足を前にして両足を前後に膝は曲げたまま開き、大きく閉じる。煽り足だ。この動きに合わせて、右腕を腹の方に片手拝みに引きつけて、煽り足と合わせて前方に突き出し、両手を合わせる。

この(1)〜(3)の一連の動作を繰り返す。ゆっくりした三拍子だ。

プルのときは、顔がほぼ水面に出ているが、煽り足で勢いよく進むときには、身体全体が水中に没して沈みこむ方が泳速はあがると思われる。また、次のプルの時に行う息継ぎで浮上しやすくなる。

ただし、横に向いて水中に没している間は、鼻に水が入ってくるので、常時、鼻から息を少しずつ吐いている必要があるだろう。

横泳ぎの系統も、ラクな割に、結構、泳速が速く、25mを煽り足は8回程度、30〜35秒程度で泳いでいる。

しかし、ジムのプールでは、対向泳者がいることが多く、煽り足を使うときは気を遣わねばならない。できれば、コースを占有できるときに試していただいたほうが良いかもしれない。

 

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28. 片腕シリーズ 片腕バタフライ

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【片腕バタフライ】

片手バタフライは、記事「07.2 らくらく時間差バタフライ」ですでに説明したが、「片手」の場合は、プルしない手は前方に伸ばしている。それゆえ、ここで説明する「片腕」バタフライは、手を前方に伸ばせない場合のことである。

それゆえ、片腕バタフライとは書いたが、両腕でないことから、左右対称でない。つまり、すでに本来のバタフライにはなっていないので、ご了承願いたい。標題に矛盾があるということだが、そこはご寛恕いただきたい。

本題に入る。

この泳ぎは、動く腕を上にして、真横を向く。使用しない腕は、下肢の方向に垂らすことになるが、できれば、胴にぴたりとつける方が抵抗が少なくて良い。(片手バタフライができる方は、何の問題もないので、伏せて泳ぐも、横を向いて泳ぐのも、片手を前方に伸ばすも、体側につけるのもいかようにでもできるだろう。)

なお、どちらかの半身の動きが悪い場合も、基本的に問題なく、以下の泳ぎ方が可能である。さらに、下肢が動かないという場合でも、片腕だけでも泳ぐことは可能だ。

1. 基本的な姿勢と動き

横向きに、コースロープに対面するような姿勢をとる。

動きは、真横を向いて、片手バタフライをする感覚でうねる。

前進するにつれ、沈み込みによる体幹での推進力を利用し、浮上するときにラクに息継ぎを行う

2. プル

身体は横を向けたままで、バタフライのようにうねる。すなわち、前方に腕を突きこむときには、顔をうつむき加減に背中の力を緩めて丸め、突き込み終わる瞬間に胸を張る。突きこむ方向は深みに向けたほうがよい。胸を沈め込むのだ。そうすると浮力が増し、反動で浮き上がってくるので、これに合わせて、身体に巻きつけるように円月泳法のプルを行って、口を水面上に出す。これは、前に出すのではなく、真横あるいは少し顎を引いてクロールと同じように息継ぎをする。やりにくかったら、自由に吸えるまで真上に向いて行ってもかまわない。

腕を抜き切ったら、上体の力を抜きつつ、腕を水上で前方に回して、最初に戻り、イルカが呼吸を追えて前方に沈み込むことを連想しながら、上体を前方に沈み込ませつつ腕を突きこむ。

身体は真横に向けるが、意識的には少し上を向く感じのほうが沈みやすいかもしれない。これは個人の身体の特性によるので、角度は調整していただきたい。

3. 体幹の「うねり」と浮き沈み

からだのうねりは、胸と腕の動きにつれて、身体全体が下肢まで自然に波打つはずだ。バタフライと同じである。意識するならば、腕の突き込みにあわせた第1キック、プルに合わせた第2キックである。キックはドルフィンになるが、半身が動き肉場合は、片足だけのキックとなるが、問題はない。

うなぎのような身体のしなりがあれば、すいすい行くが、なかなかそうは行かない場合もあるだろう。腕だけではきついが、身体が動きにくいほど、浮き沈みに注力して欲しい。

最初から、ある程度、泳速が出ればいうことがないが、息継ぎで疲れるという方も、沈み込みに注力して欲しい。沈めばその分勢い良く浮き上がれる

うまく水に乗れば、充分泳いでいるという感じを持つはずだ。

前進している感じをしっかりもって、ラクであれば速度などはどうでもよいが、ちなみに、私の場合、ゆっくり泳いで、25mを10ストロークで35秒ほどで泳いでいる。

 

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31. イルカ泳ぎ イルカのように自由に泳ごう

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古式泳法とバタフライのコラボレーションとでもいおうか。

豪快にイルカが水上に息継ぎに出てくるように、浮き沈みを楽しみながら自由の泳ぐものである。それゆえ、イルカ泳ぎと命名する。

ぜひ、イルカやカジキになったつもりで楽しんで欲しい。

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古式泳法に「伸し(ノシ)」というものがある。その泳法では煽り足を使うが、この泳法では足を、ドルフィン、というか、バタフライのうねりで泳ぐのである。ほぼ、横になって泳ぐ。両手は、伸し、というか、片抜き手というものに近い。上の手を水上でリカバーするものだ。

ドルフィンキックのタイミングは、バタフライと同じく、左右それぞれのプルを1サイクルとしてキックは2回である。

しかし、あまりドルフィンキックとは言いたくはない。バタフライもそうだが、キックを打つ意識はあまりないのだ。上体のうねりを使って身体全体をイルカのようにしならせるだけだ。鞭のように、尻尾まで、いや、足先まで到達した、しなやかなうねりがドルフィンキックとなるという感覚だ。

バタフライの練習のひとつに、この動きを横になって行う練習がある。

これに合わせて、右腕と左腕で、それぞれに異なるプルを順次行うコースロープに向かって横になった姿勢で泳いでみよう。

 泳ぐリズムは、バタフライと同じである。

両手の平をあわせて頭の上あたりに伸ばし、腕の動きに古式泳法の「伸し」を取り入れて、横向きに泳いでみよう。

2. 一連の動き

(1) 一旦全身の力を抜いてから、水面側に伸ばした右手を身体にまつわりつかせるようにプルする。円月泳法と同じプルだ。広背筋でプルする。左手は、前方に突き伸ばす。同時に第1キックが入る。息継ぎは、ここで行う。

(2) プルが終わって、片抜き手のように、腕の力を抜いて水上に抜き去って前方にリカバーし、水中に突きこむが、その突きこむ動作と同時に、水中前方に伸ばしていた左腕を連動させて伸しのようにプルする。この左腕は、軽く肘を伸ばしたままで行い、身体がロールしないように角度を調節する。必要があれば水面と平行近くでプルする。できるだけ広背筋で引く。このとき、第2キックが同時に入る。このときは前方の深みにずーんと斜めに沈んでいくようにする。プルした左手を、腹から胸に水流を避けて這わせて、左耳の横辺りに位置づける。

この(1)(2)の動作を1パターンとして、これを連続して行う。

3. 全体の連携と浮沈

要するに、両手は伸しや横泳ぎと似た動作を行いつつ、体幹と下肢はバタフライのような動きで泳ぐのである。

このブログではつねに、息継ぎの前の動作では、意識的に潜るように推奨している。こうすると、推進力が増すだけでなく、次の動作で浮かびやすくなり息継ぎが楽になる。それに加え、動作にメリハリがつくので、イルカになったような気分で楽しいし、飽きない。

このイルカ泳法でも、同様に、浮沈のメリハリをつけることを推奨する。息継ぎをし、水上でリカバーした腕を突きこんでいくとき、思い切って、水圧を感じるまでずーんと沈み込んで欲しい。その浮き沈みの爽快さは鯨になった気分だ。プルは、浮き沈みを助けるように体幹で動かすだけなので、力を要するものではない。少し上向き気味の方が沈みやすいかもしれない。

イルカ泳法では、ほぼ横向きで泳ぐ。身体全体のうねりを最大限発揮しやすいと思うからだ。しかし、左腕のプルを巻きつけるように引くと、身体は自然とロールする。それでも良いと思う。自分の好きな角度で、効果的にうねることができるように調整していただきたい。

しかし、もし、このローリングを下に向くまで行うと、元に戻しにくくなり、プルした手を、逆側(左)の水面に抜いてリカバーしたくなるだろう。そのようにすると、次のように左右交互にバランス良く泳ぐこともできる。

4. 左右交互のイルカ泳ぎ

(1)右向きで、右手を前方に沈めつつ、左腕をプルして、前方に沈み込む。

(2)左手を身体に沿わせて顎まで戻してから前方に突き出しつつ、前方に伸ばしていた右腕を身体に沿わせながらプルし、このとき息継ぎをする。

(3)左腕の力を抜き、右腕を大きくリカバリしつつ前方に突き込み、同時に左腕を腹の方に巻き込みながらプルする。身体は大きく沈み込みながらローリングする。

(4)左を向いたら、左腕を水面上でリカバリをし、前方に持ってくるときに右腕を身体の前でプルをする。これは(1)の動作終了後の左右逆の状態と同じである。

(5)今度は(2)~(4)の動作を左右逆に行う。

こうして左右のイルカ泳ぎがバランスよく継続できることになる。

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ただ、このパターンで泳ぐと、3ストロークに1回の息継ぎということになる。これでは、息が、ちょっと続かないという方には、下の動画のように、一 度、やぎロールで左右変換してから、すぐ連続して同じ側をプルして息継ぎをするのもよい。つまり、やぎロールに片側イルカを加えることと同じである。そうす れば、2ストローク1息継ぎで、左右均等の泳ぎができる。

これは、一応、「やぎイルカ泳ぎ」と呼んでおこう。

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いちいち紹介はしないが、この泳ぎには、いろんな変化もあるし、姿勢も一様に決まったものがあるわけではない。

たとえば、(3)のときは下向きになって左右の変換を行うが、このとき、上向きになって、らくらく2ビート背泳ぎの形を経て左右変換を行うこともできる。

また、(2)の動きは何回も続けて行ってもよい。つまり、姿勢が安定するまで続けたり、行きは右、帰りは左などとしてもよいだろう。

また、やぎロール等へと移行するのも良し、上向きを取り入れたり、また、キックをいろいろ変化させて泳ぐのもよい。

ともあれ、いろいろな泳ぎをとりまぜて自由に泳ぐと、実に、イルカになった気分で、楽しいこと、この上ない。

 なお、イルカ泳ぎでの速度は、片手バタフライより速く、時間差バタフライと同程度である。ちなみに、わたしは、25mを、6回ほど潜って浮き上がることで、30秒前後で泳いでいる。このタイムで泳ぐ場合、他のどの泳法より楽かもしれない。
 

27. 片腕シリーズ 概論

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私自身、広背筋でプルせずに、つい腕に力を入れて泳いだりすると、肩が痛くなることがある。そんなときは、その腕に負担をかけないで泳ぐように工夫をする。

普通は、その腕の力を完全に抜いて身体にまつわりつくようにプルすれば問題ないが、今回は、何らかの都合で完全に片腕が使えない場合、あるいは、半身が使えない場合の泳ぎ方について書いてみたい。

このときは、使えない腕を、前方に伸ばせるか、伸ばせないか、足も動かないかということで、泳ぎが異なってくる場合がある。

1. らくらくクロールでの片腕泳法

通常のクロールでも、らくらくクロールでも、一方の手だけでクロールをすることは可能であり、そうした練習方法もある。しかし、2ビートに合わせて、2回片手でプルを続けるのも結構しんどいものだ。また、プルを一回休むようにすると、バランスをとりにくい。

ここでは、当ブログで紹介してきた「らくらくクロール」シリーズで、比較的ラクに泳げる方法を紹介したい。

それは、らくらくクロールをやぎロールで泳ぐことを想定し、その片側を連続して泳ぐ方法だ。

もちろん、プルする腕が片側だけになるので、その腕が両腕でプルするのに比べて疲れるのはしかたがないことだが、ゆっくり泳げばよいのだ。息継ぎにもゆっくりが良い。決して、あわてないこと。あわてると苦しくなる。

特に、浮き、沈みを充分活用することだ。

つまり、2回プルする間に、一回目は意識的に沈みこむようにし、2回目に肺の浮力で浮き上がってくる勢いで、ラクに顔を出して息継ぎをするのだ。

これを容易にするために、そして、安定した体勢を保つためには、殆ど横を向くほうが良い。何しろ、ロールをしない「やぎロール」にすることになるから、180度ローリングのまま、つまり、真横を向いたままにするのだ。

下方に伏せると、片腕のプルでは姿勢の制御が難しい。それゆえ、真横あるいは、少し天井に向くくらいが良い。使わない腕は、前方に伸ばしても、後方にあっても良いが、後方の場合は、できれば、身体にぴったり付けるほうが良い。前方にあれば、重心を前にもっていくことができるが、後方であれば、下肢が浮きにくくなる。しかし、浮き沈みを利用すれば、下肢の浮きかたは、さほど問題にならなくなる。

特に、キックは、ドルフィンにしてしまった方が良い身体の制御は、左右の足の力加減で調節する。また、片腕だけでなく、同じ側の足が使えない場合、つまり、半身が動きにくいという場合も、上側の足をキックするだけで問題なく泳げる。

さらに加えれば、身体のうねりを利用することだ。しかし、これについての詳細は、「片腕バタフライ」として、別記事として立てることにしよう。

2. らくらく背泳ぎでの片腕泳法

2ビートのらくらく背泳ぎで、動かない片腕を前方に伸ばしたまま行うのは、結構、難しい。ただし、肩関節が柔軟であり、腕が前方に楽に伸ばせる人にとっては可能であろう。しかし、おそらく、動かない腕ならば、それを前方に伸ばすこと自体難しいであろうし、また、私のように肩関節の可動域が狭い者にとっては、腕は後方に下ろしてしまったほうが簡単だ。できれば、抵抗を少なくするために、体側に付けておきたい。

基本的に、片手でも、2ビートらくらく背泳ぎで泳ぐのに何の支障もない。ただし、動かない側へのローリングが小さく、下肢が沈みがちになるから、若干、キックを大きくし、プルの最後の押さえをちゃんと行うようにして欲しい。つまり、腕相撲のようにプルの腕を腰まで倒した後、大腿の横でプールの底めがけて軽く押さえる、または、スナップするのだ。そうすると、動かないほうにも確実にロールするので、腕のリカバーが落ち着いてできるようになる。

もし、2ビートらくらく背泳ぎでは苦しいという人は、記事「24.2ビートのらくらく背泳ぎ もっとラクにする煽り足」で紹介した「煽り足」を使うと楽である。ただし、煽るように足の動きを大きくすると、返すローリングをしっかり行う必要が増すので、手のスナップが重要になる。この場合、煽り足は、片側だけ一回で1ストロークである。

また、もっと楽にする方法もある。

それは、煽り足でプルし、リカバーするときに、かえる足を挟むことだ。

(半身でのらくらく背泳ぎ)

また、片腕だけでなく、同じ側の足が使えない場合は、片足キックとなるので、これは、ちょっと注意が必要だ。

普通、プルとキックは対角で行うが、この場合は、半身が動かない想定なので、プルの足と同じ側を蹴ることになる。そして、この体勢でローリングしなければならない。

そうするためには、キックの方向は内股より、真っ直ぐに打つほうがよいかもしれない。その方向は個人の状況に鑑みていろいろ試して欲しい。手首のスナップは意識して行うこと。

こうすることによって、片側の手足で、らくらく背泳ぎが安定して泳げるだろう。なにごとも、あわてないでゆっくりやること。

また、慣れれば、キックなしでも、片腕だけで泳ぐこともできるようになる。

3. らくらく平泳ぎでの片腕泳法

らくらく平泳ぎで片手を使って泳ぐ場合、左右のバランスを保つことに留意すればよい。

まず、動かない片腕のほうであるが、これは、肘を曲げて手の平を水面と平行にし、顔の前方に保つか、前方に伸ばす。しかし、前方に伸ばしにくい事情も多いであろうから、その場合は、体側に付ける。要は、水流の抵抗になりにくいようにする。

さて、もう一方の動く手だけで、平泳ぎのプルをするわけであるが、体勢の左右の均衡をとるためには、普通にプルはできない。

そこで、プルの腕は、もっと真ん中に位置づける必要がある。つまり、蹴伸びで伸ばした腕の力を一旦抜いたとき、肘がゆるんで前腕が目の前に横になって近づいてくるが、その手首あたりを、顔の正面あたりに位置づける。

そして、手の平の角度を下向きに傾けてプルを行う。つまり、顔や上体を上げやすくするために、下になでるように水を押し付ける(揚力を利用する)のである。プルは、基本的に肩甲骨を下げるように、広背筋等を使う。両腕の時よりは、少し大きくプルすることになるだろうから、胸を通過したら、蹴りと共に、片手で拝ぐようにし、前方に突いて伸ばす。

あるいは、掻き方は上記のやり方でなく、もっと水中深く弧を描いても良い。これは、いろいろ試して、自分に合った掻き方を探せばよいだろう。

また、片腕だけでなく、同じ側の足が使えない場合は、少し厳しい。つまり、この平泳ぎは、推力をかえる足によって得ており、片手では、上体を息継ぎのために持ち上げるくらいのものだからである。

したがって、片足のかえる足でも訓練すれば泳げるが、そこまで無理しなくても、「片腕バタフライ」や「らくらく背泳ぎ」で泳いだほうが良いと思われる。

なお、前方に伸ばす手は、伸ばしきった瞬間は、手の平を水底に向け、手の甲で水を上に押すと良い。これは、下肢を浮かすと同時に、キャッチとして

プルしやすくなる

 

4. 片腕バタフライ

バタフライについては、そもそも、片手バタフライという練習がある。これは、記事「07.2 らくらく時間差バタフライ」の中で説明したので、これを参照していただきたい。

片手バタフライでは、使用しない片手は、前方に伸ばしきるのであるが、腕が動かないことを前提とすれば、体側に付けることになる。

こうなると、もはや、片手バタフライとは異なるので、これから説明する泳ぎ方を、とりあえず、

片腕バタフライ

と呼んでおこう。

単に片手バタフライの片手を体側につけれだけでも充分泳げはするのだが、推奨したいのは、身体の姿勢を真横にすることだ。

これは、実は、上記1のクロールの項の最後で、別記事として詳しく紹介するものと全く同じになる。説明が長くなる虞があるので、ここでは詳細を割愛するが、ご自分でやってみれば、すぐにできるはずだ。

その場合、浮き沈み、うねりを意識し、自分の個性に合った、泳ぎやすく効果的な姿勢やプルの方法を確立していただきたい。

これは、基本的に片手バタフライの変化形に過ぎないので、楽であるし速い。ただし、横を向いていると鼻に水が入るので、いつも鼻から少し息を出している必要があるだろう。

5. その他の泳ぎ方

四泳法の範疇に入らない泳ぎ方については、おいおい、個別に記事を立てて紹介することにしたい。

 

次の記事を読む 28. 片腕シリーズ 片腕バタフライ

 

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