やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

50. 速く泳ぎたいけれど...その2

 このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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前記事を書いてから、ひとつずつの要素を検討してきた。

しかし、残念ながら、速さに関しては、これまでの成果を大きく超えるような泳ぎをみつけることができないでいる。

 そこで、もう一度、原則に立ち返ることにして、試行錯誤を繰り返している。


ともあれ、速く泳ごうとする限り、嫌でも、抵抗を少なくしなければならない。
それゆえ、可能な限り、左右の転換をすばやくし、槍のように真っ直ぐになることだ。
そして、その姿勢を保って、効率の良いプルを行う。
また、身体を同じ姿勢のまま水中を進んで摩擦抵抗を受けるのではなく、能動的に水中をうねり、捻ることにより、体幹で進むことも必要だ。
 
そのために、すべての動作が、連携され、効率的に動かなければならない。
 
要は、「最大効率時のプルに合わせて身体を槍の形状にし、その効果を活かして、前方にかるく沈み込むように滑り込む」ことである。
 
これらに必要な条件を、もう一度、整理してみた。
 
1.最大効率を上げるプルの形と動き
前提として、身体に無理をかけないために、前方に突き出す腕は、肩関節に対して万歳の方向に伸ばすものとしよう。
プルを行う腕の形であるが、前方に伸ばした腕の肘が、進行方向に直角に曲がって、手の平が後ろを向いた前腕の形が、最も水を捉えることができる。それゆえ、可能な限り、前方で、肘から先の力を緩め、この形になったところで、この前腕を進行方向に対して直角の平面に収めたまま、ローリングに合わせて、加速しながら後方に水を押していく。

臍まで降りたら、手首の力を抜くが、これは、その後の手の平の向きを後方に保ち、自然なスナップでフィニッシュでき、同時に下肢を浮かせることもできるからである。
 
2.そのプルに合わせた身体の動き
前腕で大きな水塊を捉えて後方に押すためには、腕の力で押すのではなく、大胸筋と広背筋を使った腋を閉めていく動作が最も楽であり、かつ、力も入る。これは、身体の長軸を中心とした鋭い回転と、反対側の腕の前方への突き込みにによって、肩の天秤と左右の姿勢の瞬間的な交換によって、半ば無意識に行われる。

つまり、プルに他の動きを合わせるのではなく、前方に突き込む手にプルが結果的に行われているといえる。
速く泳ぐのであれば、この左右の姿勢の交換を意識的にすばやく行わねばならない。
それには、リカバーした水上の腕が頭を通過した時点で、その手は、ローリング後に万歳をすることを想定した手の位置を目がけて加速して突き込み、同時に、キックは、ローリングを助けるためにに、下側(深い側)の足で小さく鋭く蹴る。
前方への腕の最後の突き込みと、プルの臍からのフィニッシュを同期させて、思い切り伸びる。

 なお、突き込む手の目標とする位置は、ローリングの大きさによって異なる。仮に、90度のローリングで真横まで向くのであれば、身体の中心線上となるし、浅い角度であれば、肩の延長線上になる。その違いは、体重の左右移動の大きさとなって現れ、その結果、体幹での推進の違いともなる。

速く泳ぐことを目指せば、ピッチを上げる必要があり、当然その角度は浅くなってくるだろう。

 
3.槍状の姿勢の形成
前方下方終点までの、腕の最後の突き込みと、プルの臍からのフィニッシュを同期させ、前に突き出した肩にほっぺたを付けることによって、槍状の身体の姿勢が完成される。
腋の上に体重がかかった感覚を持ち、身体がおもいきり前後に伸ばされ、2ビートであれば、足が泳ぐ時のイカの足のように、ピタッと揃った形である。 このまま、ローリングの最終段階に入り、水中を滑っていく。


 4.その効果を活かすこと
この姿勢を保持すること。
前記項目の前半で、ローリングが起動され、槍が回りながら進んでいく。
後半でも惰性で回転が続き、この終点は、フィニッシュした腕がリカバーして頭を通過する時で、ローリングが最大となる。
水面下で終点まで突きこんだ腕の肘から先を緩め始め、直角に曲がったときにキャッチの感覚を確認する。 基本的に、その時点で、キックを入れる。
それまでは、回転以外の動きはしない。

まっすぐの姿勢を保つには、腹全体を締めたほうがよい。ただし、このとき、腰を硬直させないほうがよいと考える。

理由は、身体をスクリューの形で自然な捻じれを残し、ローリングの反転前後での捻れの戻りと反対側への捻じれの開始で、加速を期待したいからである。

 
5.前方にかるく沈み込むように滑り込む
左右交互に、肩を先導させた軽い浮き沈みを行う。
これは、体幹で身体を推進させるためである。

沈み込む時に、身体の下面で水を後ろに押しやり、上面に水を引き込む。その初動では、キックをローリングの加速に使うことにより、意識的に腰を浮かせ、槍の姿勢で前方下方に捻り込み、肩というか腋を沈める。
ローリングが頂点に達したら、間を置かずに、反対の動作を始める。実は、この時が、上体が最も沈んでいるときであり、ここから前に伸ばしている腕の前腕を緩め、プルを開始し下を向くと、上体は無意識的に浮き上がる。

 

まとめ
これが私が考える、効果的なクロールの基本的な形である。
私の現状では、この泳ぎ方で、前後に大きく伸びてリズミックに泳げば、25mを15ストローク、23秒くらいで泳ぐことができる。 11〜12ストロークで30秒くらいであろうか。


しかし、これでは、20秒を切りたい私にとっては、速いとは言いがたい。
これまでの私の「らくらく泳法」でも、力を込めて泳げば、25秒くらいまでであれば、なんとかなる。
なんとかなるというのも、どのらくらく泳法も、速くしようとすれば、だんだん、この泳ぎの形に収斂されてくるのだ。

それも当然である。らくらく泳法は、身体に支障のあるところを考慮して、影響の少ないところを犠牲にして、良い所どりした泳ぎなのだから。

ともあれ、あとは、効率を保ったまま、ピッチを上げれば良いことにはなるが、究極的には、体幹を利用した加速が、まだ、うまくできていないのだと思う。
私にはダッシュをする元気はないし、泳ぎもくずれてしまうので、技術的になんとかならないかを、いつも考えている。

このところ、要件を満たす範囲で、プルのやりかたをストレートからスカリングの「なぎる」やり方に変えてみたり、うねりを大きくしてみたり、キックのやり方やタイミングを変えてみたり、いろいろやってはみるのだが、これまでのところ、どれも結果に大差はないようだ。

それゆえ、この方法ならお奨めできるという決定打が出たら紹介しようと思うが、いまのところ、それぞれ、長所短所がある。

 

ところで、これらの要件を満たしていて、体系化された簡素な泳ぎを普及しているのは、TI swimだと思う。

私も、TI swimを習って、それを極めれば、一番良いのかも知れないとも思う。

実際のところ、私も、大分参考にさせていただいた。

TI swimは、速さと効率のバランスを考慮するものであって、単に速くなること自体を目標としているわけではない。

今少し速く泳いでみたいという私も、実は、そうである。そして、ラクに、ということだ。だから、目的とする方向は似ていると思う。

 しかし、私には、まだ、自分なりの泳ぎ方があるのではないかという思いもある。とくに、速い左右転換には前腕に横の動きをとりいれても良いのではないかと思って、いろいろ試みている。肩や肘の向きが、その方向に動くのが自然でもあると思うからである。

とはいえ、単に左右転換が速ければ良いということでもない。プルは速くなるが、これに伴う体幹を使った推進につながらなければ効果的でない。

全体的に、緊張のない、統合されたバランスが必要なのだろう。

 

ともかく、もう少し、自分なりに納得できる泳ぎを見つけてみたいと思う。

 

それに、私は、考えながら泳いでいなければ、毎日の水泳に飽きてしまうのだ。

もしかすると、結論は出ないほうが良いのかも知れない。


しばらくは、試行錯誤を繰り返してみることにするが、私自身の泳ぎの終点が見つかった時点で、このブログに幕を引くことができる。

 

 

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