08. 究極の、らくらくやぎさんオリジナル泳法 やぎロール
このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。
4泳法の紹介が済んだので、ようやく、この泳ぎを紹介できる時が来た。
これまで、私は、4泳法を研究してきたが、その過程で、バタフライとクロールの折衷に近い、オリジナル泳法を編み出してきた。これは、力もいらず、呼吸もラクで、楽しく泳げて、そこそこ速いというものだ。しかも、姿勢に何らの制約もない。
記述するのに面倒だから、もう名前をつけてしまおう。短くするために、
「やぎロール」
と呼ぶことにしよう。
やぎロールは、水と遊んでいる感覚で、自由にリラックスして水の中を進んでいく泳ぎだ。こうでなくてはならないというルールやしばり等は全くない。私自身、いろいろな変化をつけながら自由気ままに泳いでいる。
そのくせ、泳ぐ速度は、あまり変わらず、25mを30秒ほどである。ストローク数は、すべてが同じ形というわけではないが、13ストロークほどと言っておこう。速く泳げば25秒程度だ。というわけで、私にとってはクロールとあまり変わらない速度だが、クロールは、あたかもせっせと仕事をしているような印象があるのに比較して、これは遊んでいる感じで、なんといっても楽しいのだ。
前置きはこれくらいにして、泳ぎ方の紹介に入ろう。
泳ぎは簡単なのだが、これを説明するのは、とても難しい気もするので、どのような練習から入っていくかという観点から説明を始めてみよう。
1. 片手バタフライから生まれた泳法...やぎロールの準備
(1) 片手バタフライ
この泳ぎは、実は、バタフライの練習から生まれた。そして、身体の動きは、バタフライの動きやリズムを基調としている。そこで、バタフライのリズムから始めるために、まず、片手バタフライをしてみてほしい。
やったこののない方は、前記事「07.2 らくらく時間差バタフライ」を参照していただきたい。
ここでは、片手バタフライのあまり詳細な説明は省くことにする。それは主要なことではないからである。
さて、それでは、ここから変化させて、片手バタフライから外れていこう。どういうことかというと、伸ばしていたもう一方の手にも仕事をさせるのである。
(2) 変化形 その1 片手半バタフライ
これについても、前記事「07.2 らくらく時間差バタフライ」を参照していただきたい。
前記事で説明したとおり、この泳ぎは、右手をリカバーする時に、今まで伸ばしていた左腕を後追いで、補助的にプルし、体重を前方にかけて前受け身をするがごとく、前方に飛び込んでいくものだ。
このとき、身体全体は、腹筋も締り、身体が後追いのプルに加速されてイルカのように前方に飛び込むような感じになるはずである。
ドルフィンクロールに似てはいるが、リズムに大小があり、最初に息継ぎをし、補助的な片手のプルで、沈み込んでいく。いわば、片手半のバタフライなのだ。
(3) 変化形 その2 時間差バタフライ
さて、これまで右側をバタフライの動きで行ってきたが、今度は、この動きを左右交互でやることにしよう。
ここまでの説明は、前記事にまとめてあるので、またまた参照していただきたい。
この左右交互で行う泳ぎを、仮に、「時間差バタフライ」と名前をつけてみた。
そして、この泳ぎが、「やぎロール」の動きのベースとなる。
やぎロールの定義を試みてみると、次のようになるだろうか。
a. 片側の腕のプルを2回ずつ行う。
b. 最初のプルは、胸を通過してから身体に巻きつけるように行うプルで、これは沈み込む方向で行う。そして、このプルと同期してローリングを行う。
c. 2番目のプルは、ローリングした側で、もう一度身体を浮き上がらせる方向で行うプルであり、この時、横で息継ぎを行う。
d. プルの度に必要に応じてキックを打つ。キックの打ち方は、ドルフィンでも、片足でも状況に応じて打つが、ローリングの補助には、下側の片足を打つのが基本である。
時間差バタフライは、この原則に則っているはずだ。
さて、ここからやぎロールの面白さが始まる。
これだけでも、結構面白いが、私は、ここから、この泳ぎを、もっと楽しく、ラクにしていくために改造していった。
2. ヤギロールの真髄
(1) 一連の動作 : 180度以上のローリング
私のクロールのローリングの角度は、90度かそれ以上であろう。
やぎロールでは、思い切り回る。その方が楽しく、ラクにもなるのだ。
時間差バタフライで、片手(右手にしよう)を突き込む時に、思い切り体重をかけ、スプーンがプディングをえぐるように水中に右腕を突きこんでいくと自然に右にローリングをするだろう。これに加えて、左腕のプルの追い打ちをかけると、面白いように回る。
この左腕のプルは、急速なローリングの結果、身体にまつわりつくようなプルとなり、事実上、力を殆ど使わないし、もちろん、肩甲骨で回す。あたかも、軸の長いスクリューが付属しているような感覚である。
この動作に連動して、片手バタの練習ではドルフィンキックをしていたものを、今度は、このキックだけ左の片足ビートに換えてみよう。そうするとローリングはもっと加速される。この運動は急速に前方にのめり、水を巻き込んで沈んでいく感覚を伴うものであるが、身体はくるりんと回って真横まで向く。ここではもう身体はリラックスして自然体に近く、首も動かさないので頭も正面(つまり横)を向いて周りを眺めながら休んでいる。これは長いスライドとなるが、滑る感じをもっと追求するならば、ここではあまり休まずに、前後を引っ張って胸を若干張るのがよかろう。
息継ぎしたばかりの肺は大きく膨らんでいるので、上体の方が次第に浮いてくる。左腕はリカバリをしてから、今度は左の大きなプルに入る。これはこれまでバタフライのプルとして説明してきたが、それはもう忘れて欲しい。身体がほぼ横になっているのにバタフライのストロークはもうありえない。リカバーした左腕は水中に入った時には、必然的に円月泳法の弧を描いているはずだ。
この腕が行うプルは、まさしくクロールで説明済みの円月泳法の円弧である。つまり、右腕の内側をなぞり、右胸、臍をなぞって左横に払われて元に戻るあの動きである。この動きは、身体にまつわるような軽い内旋の動きで、肩甲骨を広背筋で動かすラクな動きである。これにより、鯨が息継ぎをするように頭から身体が斜めに水上にせりあがってくるはずだ。
この時にも、ひとつ自然にキックが入るが、これはドルフィンで身体を水上に放り上げるようにしても良いし、片足でもバタでも好みでよく、姿勢の制御に必要なものを選んでいただければよいと思う。
このプルの時点で呼吸をする。体全体が横を向いているので顔を動かさなくても水面近くで十分吸気できると思うが、もっとゆっくり息をしたい人は、顔を天井に向ければ良い。上体の水上に出ている部分が多ければ、無理なく肺の空気を全部入れ換えることもできる。息継ぎは、左右で行う均等な動きなので、その間隔も適度なリズムでとれよう。
リカバリを終えた左腕は、最初に右でやったように、今度は左で体重をのせて前方にスプーンでえぐるように突きこんでいく。そして、その直前で緩めた右腕を、身体に纏わりつかせるように回してプルし、円形を描いてリカバーしていく。
ここまでが一連の動きで、最初に戻り、右腕から水中に飛び込んでいくという流れである。
(2) 省エネ、らくらく泳法
最初は、リズム感覚を捉えたいためにバタフライから説明に入ったが、おわかりのように、プルの形は円月泳法のプルに近く、もっと、身体に纏わりついたスクリューの羽のようなものになっている。これは、ゆっくりと広背筋を使うラクな動作で、省エネの動きである。
やぎロールの推進力は、軸の長いスクリューが浮き沈みしながら行うローリングによって賄われるようなものである。それゆえ、泳速は結構速く、力を抜いてだれっと泳いでも25mを35秒くらいで進む。
やぎロールは、らくらくクロールのどの泳ぎにでも適応できる。
特に、後の記事11. らくらくクロール その3 鉤腕泳法で紹介する泳ぎを、変化させて、やぎロールにすると非常にラクで、寝ながら泳げる感じさえある。この泳ぎは、身体が丸太のように一直線を保ち、180度反転するローリングである。それゆえ、ストロークの間隔は自由自在であり、泳速を速くも遅くもコントロールでき、ストロークの数も9ストロークぐらいまでは減らすことができる。一度、泳いだら、きっと、やみつきになることだろう。
(3) 制約なしの自由な泳ぎ
ここまでで、やぎロールの一応のパターンはお示ししたが、こうでなければならないというものは、本当に何にもない。
キックの方法も、全く意識せずに泳いでも自然としなるし、ドルフィン、片足、バタ足、あおり足等、姿勢によって様々に変えても良い。左右の腕の使い方、リカバーの方法も自由に変化させても良いし、2ストロークのドルクロや普通のドルクロへの移行、完全に背面にロールするなど、どのようにしても良い。十分に変化を楽しんで遊んでいただければ良いと思う。
やぎロールでは、呼吸は自由にしても泳ぎに大きな影響は与えないが、吐くタイミングは、浮力を活用するためには、大きく息を吸ったあと水面近く浮き上がってくる時までは吐くのを待ったほうが良いだろう。
姿勢や、力の入れどころは、リズムはバタフライが基本と説明したことに尽きてはいるが、やぎロールの面白さは、水に溶け込み、ラクに、楽しく泳げることにあると考えている。
もし、泳速をこれに求めるならば、ロールの回転角は少なくし、上下動も少なくしたほうが速くなるだろうが、それだけ力も要するだろう。
いずれにしても、私は、この泳ぎ方に様々な可能性を見ているし、いろいろな好みに合致した泳ぎを満足させられるものだと考えている。
ともあれ、老いも若きも多くの方々に楽しんでいただければ、それだけで幸いである。
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