58. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(クロール編)
このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。
そこそこクロール
腕や体を、艫のように使って、揚力を活用し、力を入れやすいところでは抗力中心に推進するというこれらの動きを4泳法に適用してきている。
この4泳法は我流であるが、今回は、左右非対称の泳ぎに入る。まずは、うつ伏せ。クロールである。
1.体幹の動き
クロールもうねりを利用するのが良いと、私は思っている。
その浮き沈みは、上体のローリングによって実現される。クロールでは、必ず、上体がローリングする。その大きさはともかくとして、上体のローリングが最も大きいときが、上体の重心が最も下がろうとしているときであり、一方、上体が水平になったときに重心が最も上がっていく力が浮力として働く。
このとき、推進の道しるべとなるのは頭の位置や方向であり、胸の張りや背中の弛緩がうねりを手助けする。
したがって、この上下の動きは、1ストローク1周期となる。
常に、頭は水平におき、これが先導して身体が浮沈し、うねることに留意。
ただし、このうねりは、小さいほうが良い、大きくすると却って抵抗が大きくなる。また、身体が真っ直ぐ水平に保たれていないと、この浮き沈みは意味がない。
2.腕の動き
これは、4つの動きとなる。(a) 内向き薙ぎりストローク、(b) 匍匐プル、(c) 外向き薙ぎりストローク、(d) リカバリーの4つである。
左右非対称なので、右側のプルで説明しよう。
(a) 内向き薙ぎりストローク
今、右腕のリカバリーが終わり、突きこんだ腕が、推進方向前方深く、肩が沈み、万歳の方向に伸びきっているとしよう。
この局面は、右腕の前腕を、匍匐プルの初動位置である顔の前まで運んでくる動作である。
真っ直ぐであった前腕で水を掻きこむように肘を直角まで曲げる。このとき、水は、相対的に、手の平上を、親指から小指へと流れる。内側へのスカルである。
このとき、リカバリーしてきた左腕の肘が頭上で待機し、脱力してぶら下がってい前腕が、耳の横から入水する。
(b) 匍匐プル
万歳の方向にある右肘が直角に曲げられており、前腕が額の前下方にある。この状態で、手の平を後方正面に向けて、手首を前腕の延長上に固定する。水を抱えるように、前腕全体で水を押さえるように、這う(crawl)というか、引きずる(drag)というか、身体全体で前腕を乗り越えるような気持ちで、腹筋と臀筋にグッと力を入れて、そのまま真っ直ぐ臍まで引き下ろす。このときの手の平は、力を抜き、お椀の形で、指の間は少しなら空いていてよい。
この動きは、プルしようと思うのではなく、左手の水中への落下から前方への突き込みを加速して行うことで、自然に行われる。
左手は、水中に30cmほど落ちたあと、左側の万歳の方向に真っ直ぐ、(d)の腕を水から抜くまでに、加速して伸ばしきる。その加速の勢いが、身体をローリングさせ、身体を巻き込むような自然な動きとして匍匐プルを結果として完成させるのである。
また、同時に、この腕の突きこみが、上体を沈み込ませ、右の背中に水流を引き込み、身体が水平になって浮上するといううねりを生むのだ。
(d) 外向き薙ぎりストローク
臍まで到達した手の平を、腋を大きく開きながら、回転させるように水面に向けて払う。このとき、水は、相対的に、手の平上を、小指から親指へと流れる。
手の平は、前腕の位置に拘わらず、後方に向けることが基本であるが、必要に応じて、上下左右に、若干傾ける。その傾きにより、揚力の向きが変わるので、推進力や上下への姿勢の制御などを行うことが出来る。なお、この動作での手の平の形は、浅いお椀形で指を閉じる。翼と同じだ。
このとき、手首を内旋させながら行うと推進力は増すが、肩を傷める恐れもあるので要注意だ。
(e) リカバリー
前腕は完全に力を抜き、腋を大きく開けながら、肘を大きくリラックスして回転させ、頭上まで運ぶ。
ここまできたら、高く挙げた肘はそのままに、暫く、水中を身体が滑っていく余韻を楽しもう。
そして、左の前腕を水中に落下させる。入水させる
場所は、耳の横である。
左手は、水中に30cmほど落としてから、最終的に、左側の万歳の方向に真っ直ぐ、加速して伸ばしきる。その加速の勢いが、身体をローリングさせ、身体を巻き込むような匍匐プルを生む。
また、同時に、この腕の突きこみからの一連動きが、上体を沈み込ませ、右の背中に水流を引き込み、更に身体が水平になるときに浮上するといううねりを生むのだ。
3.足の動き
足は、基本的に両足先を細くして合わせ、水の抵抗を最小にしておくことを基本とする。
胸から下を静かにうねらせるのも良い。しかし、やはり、薦めるのは2ビートだ。これにより、腰を浮かせ、ローリングを助けることが容易になる。
キックしない脚は、身体と一直線の流線型を保持し、蹴る方の足は、まず、力を抜いて膝を下(水底方向)に落とす。このとき、つま先は、もう一方の足の裏側には出さない。そして、骨盤の前傾から、腹筋に力を入れて後傾することで、しなやかに鋭くキックを繰り出し、すぐに両足を流線型に戻す。この骨盤の動きは、腰を浮かせ、小さいうねりを生む。
キックのタイミングは、ローリングを助ける方向、つまり、左腕を前方下方に突きこむときには、これに合わせて右足のキックを繰り出す。