やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

53. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その1

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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はじめに

これまで、らくで静かな泳法を紹介してきた。しかし、それでも、もう少し速くするにはどうしたらよいか、ということも研究してきた。
一応、ここまでのけじめとして、「らくな範囲で、そこそこ速く」泳ぐにはどうしたらよいか、その基本的方法及び原理を、ここで総括しておきたい。

【とにかく速く泳ぐための根本原理】

一定速度で泳いでいるときは、推進力と水の抵抗がつりあっている。したがって、これより速く泳ぐとすれば、次の2点を追求するしか方法はない。

(1)姿勢を流線型にすること、すなわち、水から受ける抵抗を、もっと軽減すること
(2)推進力を強化すること、すなわち、体力増進、推進技術の向上を図ること


全く泳げない方にとっては、理解しにくいところがあるかもしれないが、そういう方へは、このまとめのあと、どのように練習したらよいかという演習項目を、今後、整理して提示していきたいと思っている。

第1章 姿勢を流線型にする

1.水平姿勢をとる

最も抵抗のない姿勢は、水中で身体を水平に保つことである。
ただ、これらは、手足が動いていない姿勢においての原則である。蹴伸びの姿勢で、身体を少し緊張させ、手先から足先まで一直線であることが望ましい。手で綱を握り、前方から一定速度で引っ張ってもらっていると想像してほしい。これは、そんな状態での、いわば、受動的な状態での静的な基本姿勢といえる。

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しかし、能動的には、少し異なってくる。
泳ぐためには、当然、自分の力で前進しなければならない。そこで、体幹や手足を動かすことになるが、そうなると、色々な調整が必要となってくる。腕による推進、体幹においては、回転やうねりなどである。このことについては、推進するための動きなので、詳しくは次章で述べる。

ともあれ、能動的な姿勢でも、最も抵抗のない姿勢を目指すことには変わりがない。常に努力して、流線型に姿勢を洗練していくこと、泳速が鈍るまで、できるだけその姿勢を保ちたいものだ。

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もし、下肢が沈んで水泳姿勢を保てない場合は、次の事項を試して欲しい。

(1)腕をなるべく前にだす。前方に突き出す腕は、下方斜めに下がっているほうが下肢は浮く。そうすると、腕に水の抵抗を受けるが、身体が反ったり曲がったり、下肢が下がったりするより、はるかにマシであり、水の抵抗は格段に少ないと思う。

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腕に抵抗を受けることは問題なく、身体を水平にするほうが大事。

例えば、クロールでの腕の突きこみでは、耳の横から入水し、深く差し込んでから前方に伸ばすという方法を試して欲しい。

(2)腹式呼吸をする。(「3.呼吸方法」で説明)

(3)軽いキックを使う。しかし、可能な限り、足をピシッと閉じた流線型を維持することが原則である。
槍のように一直線に水の中を滑っていくときでも、微妙な姿勢に留意したほうが良い。それは、腹筋や臀筋を締め、やや腰が引けた姿勢をとることだ。そう、飛行機の翼の断面の形である。これは、揚力で下肢を浮かせ、上体を沈ませることで、重心を下方に沈める効果を生む。これは、うねるときの沈み込みの姿勢でもある。

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2.造波抵抗を軽減する

しぶきや波を立てないことである。しぶきや波を立てると、これらにエネルギーを取られてしまい、その結果、泳速を遅くし、疲れる。
したがって、なるべく、水面に出る部分を少なくし、しぶきを立てないような、呼吸法や腕のリカバリを行うべきである。
スタートや折り返し、「イルカ泳ぎ」などで、暫時潜行して進むときは、波が立たないように、深い位置(水面から30cm以上)をとることを薦める。

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3.呼吸方法

呼吸方法は、水平姿勢保持の障害や、波しぶきを立てる要素になりやすい。しかし、楽に呼吸ができるか否かは大問題だ。

(1)腹式呼吸とすること
腹式呼吸は、胸郭を広げて内臓を押し上げる。そのため、身体の重心を浮力の中心より前に移動する効果があり、下肢が浮き、身体を水平に保つことが容易になる。さらに、水面下の水圧のもとでは、胸をしぼめてまた膨らませる胸式呼吸より、胸郭を膨らませたままの腹式呼吸の方が、吸気が楽である。息の出し入れは、腹で行うから腹式呼吸なのである。

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胸郭を拡げ、内臓を押し上げる

(2)頭を水平に保つこと
息継ぎを行う際に、頭を水上高く斜めに上げることは、エネルギーを無駄にすることが多く、造波抵抗等も大きい。頭は重量があるので、常に、身体を進行方向に引っ張る位置に置き、水平に保つべきである。息継ぎは、口だけ水面すれすれに出せばよい。
例えば、クロールにおいては、推進軸上で頭を回転させて、つまり、身体を丸太のように転がして上方に回すことだ。頭を斜め上方に出してしまう人は、仕方がないので、出した頭を横に倒し、口の位置を高くするなどして、頭を水平にする工夫をして欲しい。バタフライや平泳においても、顔面を正面に向けるよりは、頭の天をは前に向けた姿勢、すなわち、首を掴まれて持ち上げられた猫のごとき姿勢が望まれる。

 

以上、この章では、姿勢のとりかたによって、水の抵抗を減らす方法をとりまとめてみた。
これは、言わば、受動的で静的な課題であったが、次回、第2章では、反対に水の抵抗を大きく効率よく使って、身体を推進させるかという、能動的な課題をまとめたい。何しろ、動き出すと、急に難しくなるのだ。

 

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