やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

52. イルカ泳ぎでは自由形に出られない(泳法と規則)

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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閑話休題


初めての水泳の人のためのドリルを書くと予告したものの、結構、億劫である。
そこで、まずは、四方山話。

 

競泳規則とらくらく泳法

競泳を目的としない「らくらく健康スイミング」とは縁のない話だが、競泳には規則というものがある。
競泳は4泳法ある。歴史的には、最初はみんな平泳ぎや横泳ぎしかしてなかったものが、より速い泳ぎが出てきて、競技が4つに分かれていった経緯がある。これはこれで面白いが、ここでは割愛しよう。

この、誰もが知っているその4泳法だが、実は、このサイトで紹介している「らくらく泳法」では、遅くて出られないといわれればもともこもないが、検定を含めて、競泳に出られないものは結構ある。泳法違反をとられそうだからだ。

ちなみに、日本マスターズ水泳協会の競泳競技規則(2018)に照らして、検証してみよう。
https://www.masters-swim.or.jp/pdf/about/2018_generalrules02.pdf


[背泳]

このサイトでお勧めした泳法のうち、大丈夫だと太鼓判を押せるのは「らくらく背泳ぎ」のみ。背泳は、ターンなどを除いて、常にあおむけの姿勢で泳げば問題はない。だから、2ビートであろうが、煽り足であろうが、抵触するものはなにもない。

[平泳]
平泳ぎにおいては、伝統的的泳法だけに、その規則も細かい。スタート折り返し以外のところでは、左右対称、肘は水中に維持し、手はヒップラインまでと決まっており、ドルフィンキックも禁止されている。だが、「らくらく平泳ぎ」はこれもクリアしている。但しこのサイトの「らくらく平泳ぎ」では、リズムをとったり、腕の掻きに合わせて軽いドルフィンキックを薦めた記述もあるので、これを行うと違反となる。

さて、これからが厳しくなる。

 

[バタフライ]
バタフライについての問題は、規則の最後にさりげなく書いてある一行である。スタート、折り返しの後、一旦水面上に頭を出した後は、「体は水面上に出ていなければならない。」という一項だ。常に、身体の一部が水の上にでていなければならないのである。
まあ、そのように泳げば問題はないのではあるが、ゆっくり潜り込んだり、1ストロークで3回もキックするような方法をとって完全に水没したりすれば、これは失格になる。

 

自由形
一番簡単なようで難しいのが自由形である。
規則1の冒頭に、自由形はどのような泳ぎ方で泳いでもよいとある。しかし、何でも良いというわけにはいかないらしい。例えば、メドレーにおける自由形は、他の3泳法以外の泳法でなければならない、とある。なるほど、まあ、それは解る。つまり、クロールが普通ではあるが、揚げ足をとるようではあるが、例えば「バタフライでは失格する完全に水没するようなバタフライ」でも良いと言うことだろう。
問題は規則3である。バタフライと同じく、競技中は、泳者の体の一部が水面上に出ていなければならないとされ、水没してよいのは、スタートおよび折り返しの後の15mまでとされているのである。

さて、どうであろうか?
このサイトでは、造波抵抗があるので、水面直下の浅い水中を、流線型を保つのが、抵抗の少ない理想形であることを何度も書いた。
だから、できるかどうかは別として、うねりながら高速で息継ぎ無しに向こう岸まで着くのがよい。要するに潜水だ。でも、これはダメ。鈴木大地さんのバサロ泳法で30mも潜水するようになって以来、これが制限されるようになり、現在、平泳ぎ以外は15mまでと制限されている。ともあれ、潜水泳法は、このサイトとは無縁の話。
しかし、らくらくクロールにおいては、どの泳法でも、瞬間的に完全に水没する可能性がある。頭を上げることを推奨していないからである。泳ぐ速度が上がり、また、ピッチも速くなれば身体のどこかが出てくるだろうとは思うが、保証はしかねる。

少し残念なのは、「楽しい泳法」である。どれも違反をとられそうではあるが、「イルカ泳ぎ」や「やぎイルカ」などは、完全に違反になる。

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やぎイルカ泳法

今後、世界の片隅で世界記録を破る泳法がでてきても、競技には出られないものが出てくる可能性がないとはいえない。

現在、最速といわれているのは、ドルフィンクロールらしい。2000年のオリンピックで、マイケル・クリム選手がゴール直前の競り合いにこれを使って制したことで注目を浴びたそうだ。これは体力を消耗するので長い距離には向かないという。もし彼が、このドルクロの代わりにバサロを使っていたら失格となっていたはずだ。

自由形というのは、新しい泳ぎの可能性を期待して用いた言葉かもしれないが、結構、その可能性を大きく制限している要因もある気がしている。

まあ、自由といっても、無制限の自由ではないということは、実際の世の中でもいえる。自己本位な自由は認めたくないものだ。ましてや、いかなる理由があったとしても、人殺しをする自由、子供の虐待をする自由などがあって良いはずがない。

 

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