やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

18. 2ビートキックの効用

このブログで紹介している「らくらく泳法」では、キックによる推進力については、あまり重視していない。最初から基本原則で述べているように、「キックで疲れるようなことはよそう、」と述べてきた。足には筋肉がたくさんついていて、これを動かすとエネルギーをそれだけ多く消費する。それに、腕に比べて、だいぶ推進力は落ちる。短距離をより速く泳ぐ人は、何でも総動員して目一杯使う必要があるが、有酸素運動でゆっくり長く泳ぎたいという人には、とても薦めたくないものだからである。

それゆえ、これまで紹介してきたオリジナル泳法は、すべてキックなしでも泳げるものだ。しかし、キックは役に立たないわけではない。それどころか、大いに役に立つ。バランスをとるため、下肢を浮かすため、ローリングするため、そして加速するためだ。

疲れるようなキックはしたくないという趣旨から、このブログでは、基本的に2ビートを推奨してきた。

それゆえ、今回の記事は、その2ビートにおける蹴り方について書いてみたい。

これまで、私なりに、クロールと背泳について、いろいろキックの方向を試してきて、その結果、蹴り方については、内股で蹴ることをこのブログの記事において、奨励してきた。

今でも、やはり、内股キックがいいと思うのであるが、この記事では、もう少し広く、分析してみたい。

1. 2ビートキックの効果

2ビートにしたときの効用は次の3つがあげられよう。

・疲れない

・プルとの動作のタイミングが一致するので意識が集中する

・蹴っていない時の水流抵抗が少ない

バタ足は、足がバラけるような蹴りかたはしないほうがよい。水の抵抗を大きくしないためであるが、とりわけ2ビートでは、気をつけたほうが良い。原則として、蹴ったあとは意識してイカのように足をぴったり閉じることだ。

キックの効果としては、バランスをとるため、下肢を浮かすため、推進するため、ローリングを加速するため等がある。それぞれの必要に応じて、そしてその目的に適うやり方で蹴ってもらえばよいのだが、目的によって、それぞれ、蹴る方向や強さやタイミングが異なる。

(1) バランスをとる

バランスについては、基本的には身体の姿勢と両腕の位置や動きで安定性を保つのが原則であると思う。しかし、なおかつ、左右にぶれるとなれば、これを緩衝する方向で、また、そのようなタイミングで打つことになるので、一般的な解はない。

ただし、これを行うと、必ずしも、他のキックの効果を期待することはできなくなる可能性がある。

(2) 下肢を浮かす

下肢を浮かすのは、これまで述べてきたように、水平姿勢において体重を前方に持ってくることが有効である。具体的には、両腕を前方に置く時間を長く取ること、肋骨を上げることなどである。それで、充分下肢は浮く。それでも足りない場合には、水面に向かった抗力や揚力が生まれるようなキックを行う。単純には、身体全体を使って膝と足首をしなやかに波打って真下後方に蹴るということになる。

しかし、その場合は、単純に真下に蹴るよりは、内股で蹴ることを奨める。その目的は、下肢を浮上させ推力を効果的に増進することであり、揚力を発生させ、後方下向きへの力を得るキックとしたいためである。

その方法だが、艪のような動きで蹴るのだ。個人の足の形状や泳ぎのローリングの角度によって、足の動きも変化するだろうが、基本は、以下である。

・力を抜いて蹴るときの足の甲の面が、水面下で左右に艪と同様な迎角を作るように調整して蹴る。このようにすると、垂直の「ドン」と蹴るキックに比べて、ゆっくりとじわっと、長い時間をかけて蹴ることができるようになる。

・蹴る時には、腹圧を、ぐっとかける。

・蹴った後の足は、その足裏を、もう一方の足の甲にぺたっと付けて、水流を妨げないようにする。

(3) 推進する

キックは、基本的に進行方向と直角に動かすものなので、推進するためには、揚力による後方へ分力を得なければならない。そのためには、やはり、スクリューや艪の動きが中心である。

基本は、足の甲に水を乗せるような動きを追求することになるが、ビートが速ければ前進の推力も得られるが、ここでは、2ビートに限定して、しかも、ゆったりとしたテンポで泳いでいることを前提としている。そのために蹴る方法としては、写真のような、次の方法が奨められる。

・ 膝を大きめに緩めて、後方に向けて蹴る。

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これは、当然、後ろ向きに水を押しやる意思を明確にするということだ。だから、後ろに蹴る。そのためには、膝を大きく曲げても良い。ただし、腰や背中は反らせないで、むしろ猫背になるくらいの気持ちでよい。蹴る感じは、ドーンと蹴るよりは、ズズドーンと加速して蹴り、最後までは蹴らない。これは、無用な泡(渦)を作らないためであり、効果的に蹴ったあと最後は水に任せるといった思いを込めるのだ。

こうして蹴ると、足首の軌跡は、細長い楕円を描くことになり、推力は大きくなる。また、身体を前にのめるように回転させる効果もある。

蹴った後の足は自然に戻るので、両足をぴったり揃えること(蹴った後、足首を重ねてグライドする場合も含めて)。ただし、膝を伸ばすために緊張させるのではなく、膝は少し緩むくらいでも閉じてさえいれば、リラックスした姿勢の方が良い。最初は、ぴたっとつけていると大きく蹴るのに間に合わないこともあるだろう。

このキックにも、名前をつけておいたほうが参照しやすいので、ゆっくり歩くようなキックということで、

「散歩キック」

と呼んでいる。

このキックはいつもより力を込めることになるので、長く泳ぐと、そこそこ疲れてくるかもしれない。当然、速度が上がると、抵抗はその2乗に比例して大きくなる。そして、足も腕も2乗で頑張らなければならなくなる。例えば、25mを35秒で泳いでいるところを、25秒に縮めようとすれば、いつもより2倍くらいのエネルギーが必要になる計算だ。

「(2)下肢を浮かす」で奨めたキックでも、うまく足で迎角を作ることができれば推進力となるし、浮かすだけしかできなくても、腹を締めていれば身体の形状抵抗が少なくなるので推進力に資することができる。それゆえ、このズズドーンというキックではなく、艫のような内股キックが還暦スイマーには適しているかもしれない。

(4) ローリングを加速する

ローリングの効用については、15.の記事ですでに書いた。

キックはそのローリングを加速するためには実に効果的な手段だ。左右に180度反転する深い回転では、キックを使う方が、よりラクに回転のスピードをコントロールできる。

この場合は、常に、プールの底に近い下側の足でキックする。

あるいは、やぎロールなどで、ドルフィンに近いキックをする場合でも、下側のキックを強く行う。

ただし、背泳ぎでは上下逆になるので、ローリングするためには上側の足を蹴る。

2. 各論

(1) 「らくらく背泳ぎ」での内股キック

らくらく背泳ぎでも2ビートを推奨した。その方が、キックなしよりは、はるかにラクで、ローリングも加速することができ、後方へのプッシュにも資するからである。

キックのタイミングは、リカバーする腕と同じ側の足を蹴る。すなわち、力を込めるタイミングは、プル、リカバー、キックが同時である。そ の方が、わかりやすいし、力を入れやすい。逆に言うと、動きは一瞬であり、その他の時間は殆ど弛緩しているのである。だから、疲れず、ラクなのである。

具体的な蹴り方であるが、クロールの場合には片足の膝を前に緩めてからするどくしなやかなキックを繰り出したのに対し、ここでは、少し膝をゆるめて、足首が沈んだ状態から、内股気味に蹴る。ローリングの最大期であるから、蹴る足は上側(水面に近い方)で、蹴る方向は横斜め上で、これが次のローリングを速くする効果を生む。また、蹴っている時間が長くなるので、安定が良くなる。さらに、蹴った後、左右の足首を重ねてしばらくグライドするのが良い。これは、まっすぐの姿勢を安定させると共に、足回りの水流を滑らかにし、ローリングもスムーズに進行させる効果がある。

もっとキックで前進力をつけたい人であれば、自分の足首の柔軟性と相談して、なるべく後方に蹴るような角度を工夫したらよいだろう。

(2) 「円月泳法」での内股キック

下肢を浮かす艫のようなキックを円月泳法に適用すると、非常に気持ちの良いバウンドと共に、ふわっと飛ぶような下肢の浮遊感を味わうことができる。

円月泳法では、腕が描く円弧が、非常にゆったりした周期で回り、とりわけ、腹から水面に向けて滑らかに腕を抜き去る動作が心地よく長い。それゆえ、この艪のような時間の長いキックがなじむと思われる。

キックのタイミングは片腕を前に突き込む時に、対角の足を「内股で」しなやかに蹴り、すぐ両足先をぴったり合わせて抵抗をなくす。これによってローリングが早く行われ、上体から下肢へと波のようにうねる身体で加速することができる。また、内股で蹴ると、蹴っている時間は、真っ直ぐ打つ時に比べて長くなり、下肢を水面に浮きあがらせる力が得られるため、リズミックに浮遊感を感じられて、気持ちが良い。

また、ビートを鋭く打てば、必ず、腹筋をしめる効果がある。円月泳法では、殆ど身体は弛緩させているが、キックの一瞬だけ緊張させる。それによって、キックによるローリングの加速、効果的なプル、そしてまっすぐ伸びた身体を実現している。背を反らせないように、できれば丸めるくらいの気持ちが必要だ。キックしたの脚は、力まず、抵抗のないように足をすぼめた形がよいのだが、膝はすこし緩んでいるくらいの余裕があって良い。

前進の加速が欲しいときは、この内股キックよりも、斜め後方に向けた大きな蹴りの散歩キックが効果的だ。この場合は、膝を大きく緩めてしなやかに後方に向かって蹴る。方向は、真っ直ぐでも内股気味でも良 い。その方向は、ローリングによっても左右されるし、水の上に出ると泡を生むので、適切な角度で調節すれば良い。このキックでも、背や腰は反らず、丸め気味にしておくこと。ただし、蹴る力が強くなれば、それだけ疲れてくるだろう。

 

(3) 「招き猫泳法」での推進キック

円月泳法でも、斜め後方に向けた推進キックが効果的なことは前項で述べたが、「19. らくらくクロール その6 招き猫泳法」で紹介した招き猫泳法では、断然このキックだ。この泳法では、身体を浮かすこと、前進させることに力点を移しているので、内股キックでは甘い。

 

ともあれ、どのような泳ぎをするにしても、キックの方法や効果については、個人の足首の柔軟性に負うところが大きい。それゆえ、この記事を参考として、ご自分にあった方法を開発していただければよいと思う。