やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

57. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(平泳編)

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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そこそこ平泳ぎ 

腕や体を、艫のように使って、揚力を活用し、力を入れやすいところでは抗力中心に推進するという動きを4泳法に適用し「そこそこスイミング」にしたい。

この4泳法は、私の我流であるが、前回のバタフライに続いて、今回は、左右対称の泳法の2つ目の平泳ぎである。

 

1. 体幹の動き

うねるタイプの平泳ぎは、基本的に、バタフライと体幹の動きが同じだ。

常に、頭は水平におき、これに先導されて身体が浮沈してうねる。

ただし、競泳ルールにより、手と足の動きは異なる。平泳の場合、肘は常に水中になければならないし、足のドルフィンキックはご法度だ。それゆえ、バタフライと大きく異なるところもある。

両腕を前方に突きこむときが、沈み込み始めるときであるが、平泳ぎでは、肘を水から出してはいけないことから、リカバリーは、どうしても、上腕(二の腕)に大きな水の抵抗を受けてしまう。

それゆえ、前への両腕の突きこみは、上体が最も高い位置にあるときにやってしまうのが良い。とはいえ、「そこそこ」の泳ぎで、上腕まで水上に出ればの話ではある。

しかし、たとえ、水上になくても、最もスピードが緩んだときに突き出すのが抵抗が少ないことには変わらないので、できるだけ足の蹴りより前に突きこみを済ませてしまうことだ。下図の下のようになってしまったら、上腕で受ける水の抵抗は馬鹿にならない。

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それゆえ、下図のように、踵を引きつけるときに、腕を突きこむ。

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両腕の突きこみと同時に、腕の間に頭を埋め、蹴りながら、腹筋、臀筋に力を入れ腰凹みを平らにする。そうして、上体で水を下方に押して沈み込むように伸び、スピードが緩んできたら、水面方向に頭を先導させて胸を張って、腕の掻きとともに滑りあがる。バタフライでは、1サイクルで2度の骨盤の前傾・後傾の動作でうねりをしたが、平泳ぎでも基本は同じである。しかし、ドルフィンキックは失格となるので、競技を目指すのであれば、脚の動きには注意したほうがよい。 

2. 腕と足の動き

 これは、両腕の突きこみに続いて、5つの動きに分けられる。

(a) 伸び (b) 外向きから下向きへの薙ぎりストローク (c) 肘閉め匍匐プル、(d) 両腕の前方への突きこみ、(e) 足の引き付けから 蹴り

この5つであるが、(a)伸び以外は、切れ目なく、滑らかに連続して、かつ、だんだん加速して行う。

(a) 伸び

両腕を前方に突きこんで腹筋臀筋を締めて腰を平らにして伸びる。このとき、自然になるようにまかせるよりも、前半に、上体を下に若干押し付けるように沈めたあと緊張を緩めると、その押し込みと戻しの弾力的なリズムが浅いうねりを呼び起こし、気持ちの良い伸びとなる。

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腰を平らに伸びる

(b) 外向きから下向きへの薙ぎりストローク

できるだけ伸びた後、頭をもたげて胸を張り、上昇に向かうが、このとき、揃えた両腕の手首を若干曲げて手の平は外向きにし、外向きから下に向かって、薙ぎりストロークで開いて、腕の方向が万歳の方向に向かう。

続いて、水を抱え込むように肘を曲げる。曲げる方向は内側ではなく斜め下が良いが、無理のない範囲にする。この動きは、肩を前に回転させるような気持ちで内旋させ、背中を丸めようとすれば、前腕がうまく下がっていく。最終的には、蟹がはさみを下に垂らしたような形で、肘はなるべく万歳の方向の前方に残す。同時に、首筋の力を抜き、意識は完全に内側(胸の前の空間)に向ける。この局面では、胸から下は弛緩して引きずっているので、腰の背骨は少し凹む。

これにより、身体は、前方斜め上の水面に滑りあがっていく。

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(c) 肘閉め匍匐プル

 さて、前腕が、蟹のハサミのように目の前の両側に下りてきた。上腕は万歳の方向を向いている。肩も前に出ているので、大胸筋も広背筋も前に伸ばされている。ようやく、腕に力を効果的にこめることができる姿勢になったわけである。

「そこそこ」に泳ぐために、ここで、少し頑張ることにしよう。「匍匐プル」である。

一瞬のうちに行う。両前腕で水を押さえ、腹筋、大胸筋、広背筋に力をぐっと入れて、臍めがけて両肘を合わせるのだ。

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平泳ぎでは、水中リカバリーが求められる。そのため、匍匐プルで手の平を臍まで下げると、前腕を戻すときに大きな水の抵抗を受けてしまう。それゆえ、前腕には力を入れず、拝むように手の平を合わせて前に残し、両肘だけを臍に叩きつける変形匍匐プルとしなければならない。

これによって、腕に抱えられて集められた水が、勢い良く斜め下方に押し出され、その力で上体は、その力に比例して水上に押し出される。その高さが、次の瞬間に前方に飛び込んでいくときの位置エネルギーとなるのだ。その高さは、水泳選手では、上体が全部出るくらいであるが、肘はルールどおり水に漬かっていなければならない。もちろん、われわれ還暦スイマーに、そこまでの力はない。

息継ぎは、空中に出たとたんに、下向きのまま終わらせ、すぐに両腕を前に突きこむ体制に入る

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(d) 両腕の前方への突きこみリカバリ

両腕の突きこみは、抵抗を最小限化するために、上体が最も高い位置にあるうちに済ませてしまうのが良いが、できるだけ、踵をひきつけるときまでに、頭を両腕に埋めながら迅速に突きこむ。

(e) 足の引き付けから蹴り

腕の突きこみに続いて、ウェッジキックを行う。

骨盤を前傾して踵を尻に近づけて合わせ、腹筋にグッと力をこめて、斜め後方下方に向けて土踏まずで蹴り、つま先を合わせる。

足を引いたときに膝が足首より内側にくるようにするウィップキックもあるが、これは膝を痛める懼れがあるため、上記のウェッジキックを薦める。速さよりは安全を優先させたいと思う。ただし、右足でコースロープを蹴らないように注意しよう。蹴る方向は、斜め下で、膝を閉めるように蹴るのが良い。

 

次の記事に行く 58. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(クロール編)

 

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56. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(バタフライ編)

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 そこそこバタフライ

腕や体を、艫のように使って、揚力を活用し、力を入れやすいところでは抗力中心に推進するという動きを4泳法に適用して「そこそこスイミング」にしていこう。

もちろん、ここでいう4泳法は、断るまでもないが、私の我流である。

まず、一番理解しやすい左右対称の泳法から始めよう。今回は、まず、バタフライだ。

1. 体幹の動き

常に、頭は水平におき、これが先導して上体が上下に水を押して浮沈することによって、うねる

胸から後方の足先までは、胸の動きに付いていくものとして、脚でキックする感じは意識してするものではない。

ただし、骨盤の動きについては知っていたほうが良い。

骨盤を前傾させたり後傾させてうねるのである。といってもわかりにくだろうから、骨盤のすぐ上の背中の部分に注目して説明しよう。ここの腰の背骨は、普通にしていると若干凹んでいるはずだ。この凹みを後ろに押し出すと、腰の背骨は平らになるか、後ろに張り出す。このとき骨盤は後傾している。逆に、この凹みを深くしてやると、お腹が出てくる。このとき骨盤が前傾するのだ。この動きを意識的に連続して行うが、そのタイミングは胸の張りと凹みの動作に引きずられて波のように伝播させるのだ。

両腕を前方に突きこむときと、お腹の付近で力強くプルをするとき、一瞬、腹筋と臀筋に力をグッと入れて腰の背骨を後ろに張り出させ、次の瞬間には、胸を張って胸の後ろの背骨を凹ませ、間断を置かず、その凹みを下に伝播させると腹が出て腰の背骨が後ろに張る。この動きがうねりだ。この動き、脚に伝わり膝に伝わると、自然に、しなやかに、ドルフィンキックが打たれる。これが、うねりの機序だ。

最初の腕の前方への突きこみで背中を丸めて、背中へ水を呼び込む感じを意識すること。そして、間髪をいれず、逆に胸を張って胸を沈める感じだ。そうすると、上体は滑りあがって浮いていく。

ただ、沈み込みの角度は、あまり大きくはせず、前へ、前へと身体を引っ張ること。

次に、腕に最も力を入れてプルするときに、再度、腹筋と臀筋に力をグッと入れる。

そして、斜め後ろに腕を振りぬく瞬間は脱力し、意識するものではないが、胸が張り、腰の背骨は凹む。

この2回の、胸の動きに先導された、骨盤の前傾・後傾の連続が、優雅なうねりを生むのだ。これは結果的にこうなるというのではなく、早めに早めに、水を上下にじわっと意識的に押すことの連鎖によるうねりだからこそ、推進力になり、イルカになれるのだ。

足は、以下に説明する腕の動きに連動して、自覚しなくても、自然に2度、しなやかに打たれるはずだ。だから、ここではキックについて、ことさら触れることはしないでおこう。

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2. 腕の動き

 これは、4つの動きとなる。(a) 外向き薙ぎりストローク、(b) 反転、内向きストローク、(c) 匍匐プル、(d) 外向き薙ぎりストロークからリカバリーの4つである。もちろん、これらは、連続して、なめらかに行われる。

(a) 外向き薙ぎりストローク

プルの終わりで、回すように水から抜いた両腕を、力を抜いて、水平に振り出し、前方に両腕を突きこむときが、沈み込みの始まるときである。この一瞬は、腕の間に頭を埋め、背を円くする。突きこんだら、すぐに、頭をもたげて胸を張り、水面方向に滑りあがる。

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腹筋を締める

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胸を沈めて張る

この上昇していくとき、揃えた両腕の手首を曲げて手の平は若干外向きにし、外向きに、薙ぎりストロークで薙ぎりながら開いていく。このとき肘は伸ばしたままで、両腕が万歳の方向を指すまで開く。この間に、首筋の力を抜いてゆく。開き終わるときが、腰の背骨も凹み骨盤も前傾し終わるときだ。

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万歳の方向

(b) 反転、内向きストローク

そこで、手の平を若干内向きにして、方向を反転し、今度は内側に向かうが、上腕は動かさずに、肘を曲げて前腕を動かすだけで薙ぎる。そうすると、顔の前まで両手が下がってきて、蟹のはさみのような形になる。ここまでの動きは、肩に力を入れることができないので、どの関節にも負担がかからないように留意すること。したがって、この動きは、ゆったりして、全身の力は緩んでいる。首の力も抜いて、頭の天頂は真っ直ぐ前に向かっている。

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肘を曲げて、力の入る位置までもってくる

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左手の万歳の位置から、右手の位置に向かう薙ぎり。

(c) 匍匐プル

 さて、前腕が、蟹のハサミのように目の前に下りてきた。上腕は万歳の方向を向いている。ようやく、力を効果的にこめることができる位置まで前腕が降りて来たわけである。

「そこそこ」に泳ぐためには、ここで、少し頑張ることにしよう。「匍匐プル」の出番である。

一瞬で良い。両前腕で水を掻き込みながら、腹筋、臀筋、大胸筋、広背筋に力をぐっと入れて水を臍めがけてたたきつけるのだ。骨盤は勝手に後傾し腰の背骨は後ろに張り、連鎖してしなやかなキックが打たれているはずだ。これによって、身体が水からスポンと抜き出される。

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クロールと同じ動きを両側で行う。

 

(d) 外向き薙ぎりストロークからリカバリ

 臍まで来たら、ご苦労様である。そのまま、斜め後方に開いて滑らかに前方まで回転させるのだ。

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外に向かって腋を開いて薙ぎる

このとき、手の平を下に向け、水面と平行にすばやく前方に放り出す。この過程は、リラックスタイムだ。空中にあるこのときに息継ぎを行うが、できれば、下を向いたまま水面すれすれで行いたいものだ。

前へ、前へと向かうのだ。だから、例え前を向いて息継ぎをしたとしても、すぐに首の力を抜いて下を向こう。 

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手の平は下に向け低空飛行で、首は脱力する

 以上であるが、クロールでは、片手ずつ最初から万歳の方向に腕を突きこみ、ローリングするところがバタフライと違うものの、バタフライの万歳からのプル(b)(c)は、クロールのそれと同じであることに留意されたい。

 

 

次の記事に行く  57. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(平泳編)

 

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55. 抗力中心か、揚力利用か?

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1.なぜ、《匍匐プル》《薙ぎりストローク》の2種類なのか?(補足)


例えば、これら2つの動作の中間はないのだろうか?という疑問もあるだろう。しかし、この2つにおいては、推進力を発揮する機序が、そもそも異なっている。
薙ぎりストロークにおいては、動かす手の周りに定常的な渦ができ、手の背側に減圧を生じさせ、手の平側では圧力が上昇することによって揚力が生じる。
これに対して、匍匐プルのように直線的に水を掻く場合は、手の両側から交互に回転方向が逆の渦が放出され(カルマン渦と呼ぶ)、手の背側の圧力が低下するとともに、手の平側は水が当たることによって圧力が上昇するので、結果的に手の裏と表の間の圧力差によって抗力が発生する。

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しかし、薙ぎりストロークにおいて、CやSの文字のように、手の進行方向を変える場合がある。そもそも、前から後ろまで、斜めに薙ぎり続けることはできない。

このとき、右左に方向が変わる局面においては、方向の異なる渦が同時に放出され、手の背側の圧力が急激に低下して、瞬間的に非定常的に大きな揚力が発生することが観察されている。
したがって、2つの動作の中間はないが、匍匐プルのような直線的な動きは、薙ぎりストロークの方向転換を限りなく速く繰り返していった極限の動作ということはできるかもしれない。もちろん、そのような疲れることは、現実的にはできないが。

ところで、直線プルにおいても、実際は、左右の振動が生じる。指の間を少し空けるようにするのは、その対策でもある。

 

2.《匍匐プル》《薙ぎりストローク》のどっちが速いのか?


これは、従来から続いているS字とI字のストロークのどちらが速いのかという論争でもある。
速いというのは、距離に対しての所要時間の評価である。それゆえ、距離を決めないと、話が進まないことになる。

それでは、25mなのか? 100mなのか? それとも、400m? 800m? 1500m? 5km?

お分かりのように、距離によって、泳ぎ方も、そのペースも変わることが予想されるであろう。

同じ泳ぎ方をする限り、その泳速を上げていくためには、腕を回すピッチを速くする必要がある。

一般に、エネルギー効率だけからいうと、肘を曲げてS字に掻くような薙ぎりストロークが良い。

しかし、薙ぎるスピードを速め、ピッチが速くなってくると、肩まわりの筋力の限界から、現実的に曲線的に掻くことができなくなる。だから、結果的に、真っ直ぐ掻くことになってしまうのではないだろうか。

したがって、より少ない力で推進力を得ることが求められる中・長距離では、薙ぎりストロークを多用し、短距離で効率より速度が重視される場合には直線的に掻いた方が良いということであろう。

そもそも、「そこそこスイミング」のレベルでは、力泳ぎはしない。だから、それぞれの特徴のいいとこどりをするのである。

 ちなみに、あのマイケル・フェルプスも、息継ぎ側の右ではI字プル、左はS時プルだ。

 

次の記事を読む 56. 「そこそこスイミング」の4泳法への適用(バタフライ編)

 

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54. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その2

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第2章 推進力を強化する

この章では、腕の形状及び動作とその推進原理を中心にまとめる。
いかなる泳法でも、見た目の動きは異なるものの、共通原理は同じであるが、とくにクロールや背泳においては、推進力の6~9割は、腕によって生み出されているといわれる。事実、私の場合は2ビートでもあり、キックをしない場合の推進力は、1~2割、落ちるだけである。
加えて、キックの効果は、それが全部、推進力になるというわけではなく、ローリングやうねりなどの、姿勢を制御するための補助の意味が大きいということに留意する必要がある。
なお、この章では、推進力増加の方法として体力増進を論じることはしない。

用語定義

まず、説明に入る前に、方向等の誤解を避けるため、これから使う次の用語を定義しておく。

《上・下》泳ぐ姿勢においては、天井方向を「上」、水底方向を「下」とする。但し、立った姿勢、又は、地上においては、それぞれ、天、及び、地の方向とする。

《前・後》泳ぐ姿勢においては、推進軸において進む方向を「前」、来し方を「後」とする。但し、立った姿勢、又は、地上においては、それぞれ、胸、及び、背の垂直方向とする。

《右・左》身体の向きに拘わらず、上半身の右方向を「右」、左方向を「左」とする。

《内旋》前腕(肘から手首までの部分)を内旋させるとは、右であれば右手を反時計回りに旋回し、左であれば左手を時計回りに旋回する。いわゆる、雑巾絞りをする方向に内側に回すことである。上腕(肘から肩までの部分)あるいは肩を内旋させるとは、上腕あるいは肩について、右は反時計回りに、左は時計回りに旋回することである。

《推進軸》最も抵抗の少ない水平の流線型の姿勢をとったときに、頭から足先を結ぶ線とする。ローリングは、これを軸として行なわれる。

《万歳の方向》立った姿勢で万歳するときに両腕を左右の斜め上方に挙手するが、そのとき、最も楽に挙げられる方向をいう。泳ぐ姿勢においては、このとき、腋窩が歪むことなく自然に凹み、腋窩の両縁をなす大胸筋、及び、広背筋が均等に緩んでいる状態であることに留意する。これが腕に最も力を入れやすい位置である。


1.腕による推進方法とその原理

腕の動きを説明するときに、ストロークとか、プル、スカル、プッシュなど、いろいろな呼び方がある。もちろん、それぞれ視点や動きが違っての用語であろうが、ここでそれらの違いを云々するのは意味がないと思う。しかし、定義なしにこれらの用語を使うのも認識の相違を生じさせる虞がある。そこで、このまとめでは、腕の動きを、独自に定義しながら進めていくこととしたい。

それらの名称はともかくとして、腕による推進原理は単純である。

まず、腕による推進機能として着目するのは、手の平と前腕である。上腕は、水の抵抗を利用するには、あまり価値がない。

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前腕と手の平の面積

重要なことは、前腕にて生じる推力は、手の平のそれより大きいということであり、使い方によっては、2倍にもなる。それゆえ、水泳スクールなどで、クロールでは「前腕を立てろ」と言われる。ここでは、そんな肩や肘が壊れそうな無理は言わないが、前腕を活用すること自体は必須であるということを、強調しておきたい。

問題は、この手の先から肘までの部分をどう使うかである。
とはいえ、推進に使う手の平と前腕の動きは、単純に言えば、抗力中心で泳ぐか、揚力も利用するかの2つしかない。

a.推進軸の後方に手の平を向け、後方に真っ直ぐ動かす(抗力中心)
b.推進軸の後方に手の平を向けて動かしつつ、同時に手を横に滑らせる(揚力も利用)

実際に泳ぐときには、その他の要素もたくさんある。推進軸に対する手の平の角度や、特にb.に特有の、推進軸からずらす方向とその角度がある。その他にも、手の平の形状、こめる力の大きさ、スピードの違いなどがあるが、おいおい説明していこう。

さて、説明するにあたり、a.b.2つの動作に、便宜上、名前をつけなければ煩瑣である。
ここでは、それぞれ、その動かしかたの特徴から、《匍匐(ほふく)プル》《薙(な)ぎりストロークとしたいと思っている。

 

(1)匍匐プル
まず、a.であるが、この動きは、通常、推進軸に手の平を直角にして受ける抵抗を最大にするが、その時受ける抵抗力が推進の力そのものとなる。それゆえ、最大の力を発揮できる。
一般には、これを「抗力泳ぎ」、「I字泳ぎ」「ストレートプル」などと言っているようである。しかし、私には、どれもしっくり来ない。真っ直ぐであれば、何でもいいじゃないかと思われたら困るからである。なぜならば、この動作が効果的に力を発するのは、一定の条件、範囲があるからである。
それは、最も、腕の力が入れやすい状態、すなわち、頭から臍までの動きに使用することが最善である。

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匍匐プルの有効な範囲と使い方


具体的には、腕を万歳の方向におき、肘を直角に曲げた状態で、額の前下方で、手首を前腕の延長上に固定する。手の平を後方正面に向けて、水をキャッチした後、前腕全体で押さえるようにし、這う(crawl)というか、引きずる(drag)というか、身体全体で前腕を乗り越えるような気持ちで、手の平から前腕を推進軸と直角に固定して、そのまま真っ直ぐ臍まで引き下ろす。このときの手の平は、力を抜き、お椀の形で、指の間は少しなら空いていてよい。(右図)当然、これは、泳速より速いスピードで動かさなければ意味がない。
私は、この動作でこの範囲に限ったものを、《匍匐プル》と名づけておこうと思う。「匍匐前進」で「引く」ときの腕の動作と範囲だからである。

 

(2)薙ぎりストローク
次に、b.である。この動作は、手の平と前腕で、水を薙ぎるように、仮想的な水の斜面上を滑らせるもので、これによって、揚力が発生し、抗力とこれの合力が推進力となるものである。艪やプロペラなどの推進方法と同じ機序である。身近な例では、金槌で楔の頭を叩いて石や丸太を容易に割ることなど。これは、楔が食い込むときに、叩く力よりも、横に押す力がはるかに大きくなるという理屈による。

この方法を適切に利用すると、手を動かして加えた力よりも大きな力が推進力として得られるため、匍匐プルと較べて、効率が良い。

誤解のないように言っておくが、匍匐プルより速くなると述べているわけではない。加える方向は異なるが、仮に、同じ力を与えたときに、「匍匐プル」より推進効率が良いと述べているのである。当然、同じ速度を得たいと思うなら、速く回さなければならなくなる。
では、どういう場合に使うことが推奨されるかというと、「匍匐プル」の動作の範囲外すべてである。つまり、腕の力が入りにくい場所、すなわち、推進軸でいうと、頭より前、及び、臍より後ろである。
そこでは、水を薙ぐように切る。

例として、クロールで説明しよう。頭より前の場合は、推進方向前方の万歳の方向に伸びきった右腕を、匍匐プルの初動位置である顔の前まで運んでくる動作である。真っ直ぐであった前腕で水を掻きこむように肘を直角まで曲げる。このとき、水は、相対的に、手の平上を、親指から小指へと流れる。内側へのスカルである。
臍より後ろの場合は、臍まで到達した手の平を。腋を開けながら、回転させるように水面に向けて払う。このとき、水は、相対的に、手の平上を、小指から親指へと流れる
手の平は、前腕の位置に拘わらず、後方に向けることが基本であるが、必要に応じて、上下左右に、若干傾ける。その傾きにより、揚力の向きが変わるので、推進力や上下への姿勢の制御などを行うことが出来る。なお、この動作での手の平の形は、浅いお椀形で指を閉じる。翼と同じだ。
この動きは、より速いスピードで泳いでも、効果的な推力を得続けることができる。性質上、水のキャッチは考慮しない。
この動作を、《薙ぎりストローク》と命名しておく。

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円月泳法は薙ぎりの連続

 

(3)前腕の重要性、手の平の形

前腕の面積は手の平のそれと匹敵するか、それ以上である。したがって、これを効果的に使えるか否かが、推進に大きくかかわる。
前腕部の推力に対する寄与を手の平のそれと比較評価すると、その合力の大きさは、薙ぎりストロークにおいては、手の平のみの場合の約3~4倍が、匍匐プル時においも、手の平のみの場合の2倍程度が期待される。
それゆえ、無理に肘を立てなくとも、前項で述べた性質を理解し、なるべく前腕を推進軸と直角に保って動かせば良いのではないかと考える。
そのとき、手の平についても、前述したように、匍匐プルでは、軽いお椀形に保ち、薙ぎりストロークにおいてもお椀形にして指は閉じるようにするのが良い。

 

 

2.全泳法に共通する基本的な腕の動き

水中での腕の動きは、全泳法に極めて類似した共通点がある。しかし、腕のリカバリについては、それぞれ大きく異なる。
それゆえ、ここでは、まず、水中での腕の動きに注目しよう。

(1)リカバリーの最後に腕を入水し、加速して突きこむが、その目標となる位置は万歳の方向とする。したがって、意識的には、肩より外へ、外へと伸ばすことを推奨する。
(2)最も深い位置まで身体の重心が沈んだとき、手の平を薄いお椀形にし、指を閉じて推進軸の後方に向ける。
(3)手の平を頭の前下方の位置まで、肘が直角に曲がるまで、内側に薙ぎりストロークする。このとき、手の平は若干内側に傾ける(右であれば時計回り)。
(4)匍匐プルに入る。
(5)臍まで前腕が達したら、外側に向けた薙ぎりストロークに入り、前腕の力を抜きつつ腋を開けつつ、肘を回すようにリカバリーに入る。

以上の動きは、4泳法について、ほぼ同じである。クロールとバタフライは全く同じである。後は違うのではと思われる向きもあろうが、考え方は同じである。
背泳は、身体の後ろで掻いているひとがいるが、これでは力が入らないばかりか、肩を傷めてしまう虞さえある。薙ぎりストロークの動きで、肘を曲げ、深く沈んだ手を水面まで導き、完全に身体の前面に持ってきてから、横向きから仰向けにロールしながら腕相撲のように匍匐プルを行い、最後は尻の斜め下方に向けて薙ぎるのである。
平泳についても、考え方は同様であるが、ルールの規定があるので(5)は行わず、両肘を合わせてリカバリーに入る。

3.リカバリーの原則

推進力強化と直接関係のないリカバリーであるが、推進を邪魔しないっことにおいては見逃せない要素である。
姿勢を水平に保つためには、下肢を浮かせることが不可欠である。そのために前方に重心を移動しておく必要があるので、できるだけ早い段階で肩より前方に前腕を運ぶ。前腕は力を抜き休ませておく。
クロールについては、可能な限り早く肘を頭上に運ぶこととし、その他については、できるだけ早く、迅速に、前方に運ぶ。
そのためには、腰を通過したら、腕の力を抜いて、後方に跳ね上げることなく、しずかに腕を水から引き抜くことが肝要である。

4.キックの動作

らくらくスイミングでもそうであったが、「そこそこスイミング」でも、キックに余り重点を置かない。
なぜなら、推進力の大部分は腕が供給すること、ばらけた下肢は渦巻きを発生させ抵抗を生むからである。
それゆえ、ここでは、できるだけ、人魚のように足は癒着したようにぴったり付け流線型を保つ時間を長く取って欲しい。そのうえで、下肢を浮かせる必要、ローリングを助ける必要が発生したときに限り、骨盤の前傾後傾を伴って短時間でしなやかに小さく打つのが好ましい。

5.うねりの原理

これは、身体の下降と上昇の連鎖的な動きだ。これによって、身体の体幹で上下に水をなぎり、水を後ろに押し、前の水を引き込むことによって泳ぎを加速する。単に、体をひらひら、くねくねさせても、これがなければ抵抗が増すだけで、邪魔にしかならない。

バタフライ・平泳など左右対称な泳ぎにおいては、この動きが明瞭である。この動きは、骨盤を前後に連続的に倒す動きによって滑らかに実現できる。緩やかなサインカーブを描く水中の大きなパイプを想像しつつ、その中を潜っていく感じだ。先導するのは頭であり、その向きをコントロールするのは、胸の動きである。すなわち、沈む過程の後半では胸を張り、浮き上がりの後半では胸も背中も弛緩させる。「そこそこスイミング」では、基本的に、身体全体が反る状態はつくらない。翼の断面のような形が基本であり、かるくうねることによって、浅い波形を後方に伝達する。

動きが左右非対称な泳ぎ、すなわち、クロールや背泳では、少し解りにくい。
これらの泳ぎでの浮き沈みは、上体のローリングによって実現される。これらの泳ぎでは、必ず、上体はローリングする。その大きさはともかくとして、上体のローリングが最も大きいときが、上体の重心が最も下がろうとしているときであり、上体が水平になったときに重心が最も上がっていく力が浮力として働く。このとき、推進の道しるべとなるのは頭の位置や方向であり、胸の張りや背中の弛緩がうねりを手助けする。
したがって、この上下の動きは、1ストロークで1周期となる忙しいものである。


長くなったが、以上が、推進力を強化するための技術向上を図る要点である。

次回は、揚力と抗力についてもう少し説明を加え、その後、各泳法についての、最終的な個別まとめをする予定にしている。

 

次に記事を読む 55. 抗力中心か、揚力利用か?

 

記事分類 目次 - やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

53. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その1

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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http://swimming.uetsuki.info

 

はじめに

これまで、らくで静かな泳法を紹介してきた。しかし、それでも、もう少し速くするにはどうしたらよいか、ということも研究してきた。
一応、ここまでのけじめとして、「らくな範囲で、そこそこ速く」泳ぐにはどうしたらよいか、その基本的方法及び原理を、ここで総括しておきたい。

【とにかく速く泳ぐための根本原理】

一定速度で泳いでいるときは、推進力と水の抵抗がつりあっている。したがって、これより速く泳ぐとすれば、次の2点を追求するしか方法はない。

(1)姿勢を流線型にすること、すなわち、水から受ける抵抗を、もっと軽減すること
(2)推進力を強化すること、すなわち、体力増進、推進技術の向上を図ること


全く泳げない方にとっては、理解しにくいところがあるかもしれないが、そういう方へは、このまとめのあと、どのように練習したらよいかという演習項目を、今後、整理して提示していきたいと思っている。

第1章 姿勢を流線型にする

1.水平姿勢をとる

最も抵抗のない姿勢は、水中で身体を水平に保つことである。
ただ、これらは、手足が動いていない姿勢においての原則である。蹴伸びの姿勢で、身体を少し緊張させ、手先から足先まで一直線であることが望ましい。手で綱を握り、前方から一定速度で引っ張ってもらっていると想像してほしい。これは、そんな状態での、いわば、受動的な状態での静的な基本姿勢といえる。

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しかし、能動的には、少し異なってくる。
泳ぐためには、当然、自分の力で前進しなければならない。そこで、体幹や手足を動かすことになるが、そうなると、色々な調整が必要となってくる。腕による推進、体幹においては、回転やうねりなどである。このことについては、推進するための動きなので、詳しくは次章で述べる。

ともあれ、能動的な姿勢でも、最も抵抗のない姿勢を目指すことには変わりがない。常に努力して、流線型に姿勢を洗練していくこと、泳速が鈍るまで、できるだけその姿勢を保ちたいものだ。

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もし、下肢が沈んで水泳姿勢を保てない場合は、次の事項を試して欲しい。

(1)腕をなるべく前にだす。前方に突き出す腕は、下方斜めに下がっているほうが下肢は浮く。そうすると、腕に水の抵抗を受けるが、身体が反ったり曲がったり、下肢が下がったりするより、はるかにマシであり、水の抵抗は格段に少ないと思う。

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腕に抵抗を受けることは問題なく、身体を水平にするほうが大事。

例えば、クロールでの腕の突きこみでは、耳の横から入水し、深く差し込んでから前方に伸ばすという方法を試して欲しい。

(2)腹式呼吸をする。(「3.呼吸方法」で説明)

(3)軽いキックを使う。しかし、可能な限り、足をピシッと閉じた流線型を維持することが原則である。
槍のように一直線に水の中を滑っていくときでも、微妙な姿勢に留意したほうが良い。それは、腹筋や臀筋を締め、やや腰が引けた姿勢をとることだ。そう、飛行機の翼の断面の形である。これは、揚力で下肢を浮かせ、上体を沈ませることで、重心を下方に沈める効果を生む。これは、うねるときの沈み込みの姿勢でもある。

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2.造波抵抗を軽減する

しぶきや波を立てないことである。しぶきや波を立てると、これらにエネルギーを取られてしまい、その結果、泳速を遅くし、疲れる。
したがって、なるべく、水面に出る部分を少なくし、しぶきを立てないような、呼吸法や腕のリカバリを行うべきである。
スタートや折り返し、「イルカ泳ぎ」などで、暫時潜行して進むときは、波が立たないように、深い位置(水面から30cm以上)をとることを薦める。

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3.呼吸方法

呼吸方法は、水平姿勢保持の障害や、波しぶきを立てる要素になりやすい。しかし、楽に呼吸ができるか否かは大問題だ。

(1)腹式呼吸とすること
腹式呼吸は、胸郭を広げて内臓を押し上げる。そのため、身体の重心を浮力の中心より前に移動する効果があり、下肢が浮き、身体を水平に保つことが容易になる。さらに、水面下の水圧のもとでは、胸をしぼめてまた膨らませる胸式呼吸より、胸郭を膨らませたままの腹式呼吸の方が、吸気が楽である。息の出し入れは、腹で行うから腹式呼吸なのである。

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胸郭を拡げ、内臓を押し上げる

(2)頭を水平に保つこと
息継ぎを行う際に、頭を水上高く斜めに上げることは、エネルギーを無駄にすることが多く、造波抵抗等も大きい。頭は重量があるので、常に、身体を進行方向に引っ張る位置に置き、水平に保つべきである。息継ぎは、口だけ水面すれすれに出せばよい。
例えば、クロールにおいては、推進軸上で頭を回転させて、つまり、身体を丸太のように転がして上方に回すことだ。頭を斜め上方に出してしまう人は、仕方がないので、出した頭を横に倒し、口の位置を高くするなどして、頭を水平にする工夫をして欲しい。バタフライや平泳においても、顔面を正面に向けるよりは、頭の天をは前に向けた姿勢、すなわち、首を掴まれて持ち上げられた猫のごとき姿勢が望まれる。

 

以上、この章では、姿勢のとりかたによって、水の抵抗を減らす方法をとりまとめてみた。
これは、言わば、受動的で静的な課題であったが、次回、第2章では、反対に水の抵抗を大きく効率よく使って、身体を推進させるかという、能動的な課題をまとめたい。何しろ、動き出すと、急に難しくなるのだ。

 

次の記事を読む 54. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その2

 

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52. イルカ泳ぎでは自由形に出られない(泳法と規則)

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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http://swimming.uetsuki.info

 

閑話休題


初めての水泳の人のためのドリルを書くと予告したものの、結構、億劫である。
そこで、まずは、四方山話。

 

競泳規則とらくらく泳法

競泳を目的としない「らくらく健康スイミング」とは縁のない話だが、競泳には規則というものがある。
競泳は4泳法ある。歴史的には、最初はみんな平泳ぎや横泳ぎしかしてなかったものが、より速い泳ぎが出てきて、競技が4つに分かれていった経緯がある。これはこれで面白いが、ここでは割愛しよう。

この、誰もが知っているその4泳法だが、実は、このサイトで紹介している「らくらく泳法」では、遅くて出られないといわれればもともこもないが、検定を含めて、競泳に出られないものは結構ある。泳法違反をとられそうだからだ。

ちなみに、日本マスターズ水泳協会の競泳競技規則(2018)に照らして、検証してみよう。
https://www.masters-swim.or.jp/pdf/about/2018_generalrules02.pdf


[背泳]

このサイトでお勧めした泳法のうち、大丈夫だと太鼓判を押せるのは「らくらく背泳ぎ」のみ。背泳は、ターンなどを除いて、常にあおむけの姿勢で泳げば問題はない。だから、2ビートであろうが、煽り足であろうが、抵触するものはなにもない。

[平泳]
平泳ぎにおいては、伝統的的泳法だけに、その規則も細かい。スタート折り返し以外のところでは、左右対称、肘は水中に維持し、手はヒップラインまでと決まっており、ドルフィンキックも禁止されている。だが、「らくらく平泳ぎ」はこれもクリアしている。但しこのサイトの「らくらく平泳ぎ」では、リズムをとったり、腕の掻きに合わせて軽いドルフィンキックを薦めた記述もあるので、これを行うと違反となる。

さて、これからが厳しくなる。

 

[バタフライ]
バタフライについての問題は、規則の最後にさりげなく書いてある一行である。スタート、折り返しの後、一旦水面上に頭を出した後は、「体は水面上に出ていなければならない。」という一項だ。常に、身体の一部が水の上にでていなければならないのである。
まあ、そのように泳げば問題はないのではあるが、ゆっくり潜り込んだり、1ストロークで3回もキックするような方法をとって完全に水没したりすれば、これは失格になる。

 

自由形
一番簡単なようで難しいのが自由形である。
規則1の冒頭に、自由形はどのような泳ぎ方で泳いでもよいとある。しかし、何でも良いというわけにはいかないらしい。例えば、メドレーにおける自由形は、他の3泳法以外の泳法でなければならない、とある。なるほど、まあ、それは解る。つまり、クロールが普通ではあるが、揚げ足をとるようではあるが、例えば「バタフライでは失格する完全に水没するようなバタフライ」でも良いと言うことだろう。
問題は規則3である。バタフライと同じく、競技中は、泳者の体の一部が水面上に出ていなければならないとされ、水没してよいのは、スタートおよび折り返しの後の15mまでとされているのである。

さて、どうであろうか?
このサイトでは、造波抵抗があるので、水面直下の浅い水中を、流線型を保つのが、抵抗の少ない理想形であることを何度も書いた。
だから、できるかどうかは別として、うねりながら高速で息継ぎ無しに向こう岸まで着くのがよい。要するに潜水だ。でも、これはダメ。鈴木大地さんのバサロ泳法で30mも潜水するようになって以来、これが制限されるようになり、現在、平泳ぎ以外は15mまでと制限されている。ともあれ、潜水泳法は、このサイトとは無縁の話。
しかし、らくらくクロールにおいては、どの泳法でも、瞬間的に完全に水没する可能性がある。頭を上げることを推奨していないからである。泳ぐ速度が上がり、また、ピッチも速くなれば身体のどこかが出てくるだろうとは思うが、保証はしかねる。

少し残念なのは、「楽しい泳法」である。どれも違反をとられそうではあるが、「イルカ泳ぎ」や「やぎイルカ」などは、完全に違反になる。

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やぎイルカ泳法

今後、世界の片隅で世界記録を破る泳法がでてきても、競技には出られないものが出てくる可能性がないとはいえない。

現在、最速といわれているのは、ドルフィンクロールらしい。2000年のオリンピックで、マイケル・クリム選手がゴール直前の競り合いにこれを使って制したことで注目を浴びたそうだ。これは体力を消耗するので長い距離には向かないという。もし彼が、このドルクロの代わりにバサロを使っていたら失格となっていたはずだ。

自由形というのは、新しい泳ぎの可能性を期待して用いた言葉かもしれないが、結構、その可能性を大きく制限している要因もある気がしている。

まあ、自由といっても、無制限の自由ではないということは、実際の世の中でもいえる。自己本位な自由は認めたくないものだ。ましてや、いかなる理由があったとしても、人殺しをする自由、子供の虐待をする自由などがあって良いはずがない。

 

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