やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

54. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その2

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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第2章 推進力を強化する

この章では、腕の形状及び動作とその推進原理を中心にまとめる。
いかなる泳法でも、見た目の動きは異なるものの、共通原理は同じであるが、とくにクロールや背泳においては、推進力の6~9割は、腕によって生み出されているといわれる。事実、私の場合は2ビートでもあり、キックをしない場合の推進力は、1~2割、落ちるだけである。
加えて、キックの効果は、それが全部、推進力になるというわけではなく、ローリングやうねりなどの、姿勢を制御するための補助の意味が大きいということに留意する必要がある。
なお、この章では、推進力増加の方法として体力増進を論じることはしない。

用語定義

まず、説明に入る前に、方向等の誤解を避けるため、これから使う次の用語を定義しておく。

《上・下》泳ぐ姿勢においては、天井方向を「上」、水底方向を「下」とする。但し、立った姿勢、又は、地上においては、それぞれ、天、及び、地の方向とする。

《前・後》泳ぐ姿勢においては、推進軸において進む方向を「前」、来し方を「後」とする。但し、立った姿勢、又は、地上においては、それぞれ、胸、及び、背の垂直方向とする。

《右・左》身体の向きに拘わらず、上半身の右方向を「右」、左方向を「左」とする。

《内旋》前腕(肘から手首までの部分)を内旋させるとは、右であれば右手を反時計回りに旋回し、左であれば左手を時計回りに旋回する。いわゆる、雑巾絞りをする方向に内側に回すことである。上腕(肘から肩までの部分)あるいは肩を内旋させるとは、上腕あるいは肩について、右は反時計回りに、左は時計回りに旋回することである。

《推進軸》最も抵抗の少ない水平の流線型の姿勢をとったときに、頭から足先を結ぶ線とする。ローリングは、これを軸として行なわれる。

《万歳の方向》立った姿勢で万歳するときに両腕を左右の斜め上方に挙手するが、そのとき、最も楽に挙げられる方向をいう。泳ぐ姿勢においては、このとき、腋窩が歪むことなく自然に凹み、腋窩の両縁をなす大胸筋、及び、広背筋が均等に緩んでいる状態であることに留意する。これが腕に最も力を入れやすい位置である。


1.腕による推進方法とその原理

腕の動きを説明するときに、ストロークとか、プル、スカル、プッシュなど、いろいろな呼び方がある。もちろん、それぞれ視点や動きが違っての用語であろうが、ここでそれらの違いを云々するのは意味がないと思う。しかし、定義なしにこれらの用語を使うのも認識の相違を生じさせる虞がある。そこで、このまとめでは、腕の動きを、独自に定義しながら進めていくこととしたい。

それらの名称はともかくとして、腕による推進原理は単純である。

まず、腕による推進機能として着目するのは、手の平と前腕である。上腕は、水の抵抗を利用するには、あまり価値がない。

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前腕と手の平の面積

重要なことは、前腕にて生じる推力は、手の平のそれより大きいということであり、使い方によっては、2倍にもなる。それゆえ、水泳スクールなどで、クロールでは「前腕を立てろ」と言われる。ここでは、そんな肩や肘が壊れそうな無理は言わないが、前腕を活用すること自体は必須であるということを、強調しておきたい。

問題は、この手の先から肘までの部分をどう使うかである。
とはいえ、推進に使う手の平と前腕の動きは、単純に言えば、抗力中心で泳ぐか、揚力も利用するかの2つしかない。

a.推進軸の後方に手の平を向け、後方に真っ直ぐ動かす(抗力中心)
b.推進軸の後方に手の平を向けて動かしつつ、同時に手を横に滑らせる(揚力も利用)

実際に泳ぐときには、その他の要素もたくさんある。推進軸に対する手の平の角度や、特にb.に特有の、推進軸からずらす方向とその角度がある。その他にも、手の平の形状、こめる力の大きさ、スピードの違いなどがあるが、おいおい説明していこう。

さて、説明するにあたり、a.b.2つの動作に、便宜上、名前をつけなければ煩瑣である。
ここでは、それぞれ、その動かしかたの特徴から、《匍匐(ほふく)プル》《薙(な)ぎりストロークとしたいと思っている。

 

(1)匍匐プル
まず、a.であるが、この動きは、通常、推進軸に手の平を直角にして受ける抵抗を最大にするが、その時受ける抵抗力が推進の力そのものとなる。それゆえ、最大の力を発揮できる。
一般には、これを「抗力泳ぎ」、「I字泳ぎ」「ストレートプル」などと言っているようである。しかし、私には、どれもしっくり来ない。真っ直ぐであれば、何でもいいじゃないかと思われたら困るからである。なぜならば、この動作が効果的に力を発するのは、一定の条件、範囲があるからである。
それは、最も、腕の力が入れやすい状態、すなわち、頭から臍までの動きに使用することが最善である。

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匍匐プルの有効な範囲と使い方


具体的には、腕を万歳の方向におき、肘を直角に曲げた状態で、額の前下方で、手首を前腕の延長上に固定する。手の平を後方正面に向けて、水をキャッチした後、前腕全体で押さえるようにし、這う(crawl)というか、引きずる(drag)というか、身体全体で前腕を乗り越えるような気持ちで、手の平から前腕を推進軸と直角に固定して、そのまま真っ直ぐ臍まで引き下ろす。このときの手の平は、力を抜き、お椀の形で、指の間は少しなら空いていてよい。(右図)当然、これは、泳速より速いスピードで動かさなければ意味がない。
私は、この動作でこの範囲に限ったものを、《匍匐プル》と名づけておこうと思う。「匍匐前進」で「引く」ときの腕の動作と範囲だからである。

 

(2)薙ぎりストローク
次に、b.である。この動作は、手の平と前腕で、水を薙ぎるように、仮想的な水の斜面上を滑らせるもので、これによって、揚力が発生し、抗力とこれの合力が推進力となるものである。艪やプロペラなどの推進方法と同じ機序である。身近な例では、金槌で楔の頭を叩いて石や丸太を容易に割ることなど。これは、楔が食い込むときに、叩く力よりも、横に押す力がはるかに大きくなるという理屈による。

この方法を適切に利用すると、手を動かして加えた力よりも大きな力が推進力として得られるため、匍匐プルと較べて、効率が良い。

誤解のないように言っておくが、匍匐プルより速くなると述べているわけではない。加える方向は異なるが、仮に、同じ力を与えたときに、「匍匐プル」より推進効率が良いと述べているのである。当然、同じ速度を得たいと思うなら、速く回さなければならなくなる。
では、どういう場合に使うことが推奨されるかというと、「匍匐プル」の動作の範囲外すべてである。つまり、腕の力が入りにくい場所、すなわち、推進軸でいうと、頭より前、及び、臍より後ろである。
そこでは、水を薙ぐように切る。

例として、クロールで説明しよう。頭より前の場合は、推進方向前方の万歳の方向に伸びきった右腕を、匍匐プルの初動位置である顔の前まで運んでくる動作である。真っ直ぐであった前腕で水を掻きこむように肘を直角まで曲げる。このとき、水は、相対的に、手の平上を、親指から小指へと流れる。内側へのスカルである。
臍より後ろの場合は、臍まで到達した手の平を。腋を開けながら、回転させるように水面に向けて払う。このとき、水は、相対的に、手の平上を、小指から親指へと流れる
手の平は、前腕の位置に拘わらず、後方に向けることが基本であるが、必要に応じて、上下左右に、若干傾ける。その傾きにより、揚力の向きが変わるので、推進力や上下への姿勢の制御などを行うことが出来る。なお、この動作での手の平の形は、浅いお椀形で指を閉じる。翼と同じだ。
この動きは、より速いスピードで泳いでも、効果的な推力を得続けることができる。性質上、水のキャッチは考慮しない。
この動作を、《薙ぎりストローク》と命名しておく。

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円月泳法は薙ぎりの連続

 

(3)前腕の重要性、手の平の形

前腕の面積は手の平のそれと匹敵するか、それ以上である。したがって、これを効果的に使えるか否かが、推進に大きくかかわる。
前腕部の推力に対する寄与を手の平のそれと比較評価すると、その合力の大きさは、薙ぎりストロークにおいては、手の平のみの場合の約3~4倍が、匍匐プル時においも、手の平のみの場合の2倍程度が期待される。
それゆえ、無理に肘を立てなくとも、前項で述べた性質を理解し、なるべく前腕を推進軸と直角に保って動かせば良いのではないかと考える。
そのとき、手の平についても、前述したように、匍匐プルでは、軽いお椀形に保ち、薙ぎりストロークにおいてもお椀形にして指は閉じるようにするのが良い。

 

 

2.全泳法に共通する基本的な腕の動き

水中での腕の動きは、全泳法に極めて類似した共通点がある。しかし、腕のリカバリについては、それぞれ大きく異なる。
それゆえ、ここでは、まず、水中での腕の動きに注目しよう。

(1)リカバリーの最後に腕を入水し、加速して突きこむが、その目標となる位置は万歳の方向とする。したがって、意識的には、肩より外へ、外へと伸ばすことを推奨する。
(2)最も深い位置まで身体の重心が沈んだとき、手の平を薄いお椀形にし、指を閉じて推進軸の後方に向ける。
(3)手の平を頭の前下方の位置まで、肘が直角に曲がるまで、内側に薙ぎりストロークする。このとき、手の平は若干内側に傾ける(右であれば時計回り)。
(4)匍匐プルに入る。
(5)臍まで前腕が達したら、外側に向けた薙ぎりストロークに入り、前腕の力を抜きつつ腋を開けつつ、肘を回すようにリカバリーに入る。

以上の動きは、4泳法について、ほぼ同じである。クロールとバタフライは全く同じである。後は違うのではと思われる向きもあろうが、考え方は同じである。
背泳は、身体の後ろで掻いているひとがいるが、これでは力が入らないばかりか、肩を傷めてしまう虞さえある。薙ぎりストロークの動きで、肘を曲げ、深く沈んだ手を水面まで導き、完全に身体の前面に持ってきてから、横向きから仰向けにロールしながら腕相撲のように匍匐プルを行い、最後は尻の斜め下方に向けて薙ぎるのである。
平泳についても、考え方は同様であるが、ルールの規定があるので(5)は行わず、両肘を合わせてリカバリーに入る。

3.リカバリーの原則

推進力強化と直接関係のないリカバリーであるが、推進を邪魔しないっことにおいては見逃せない要素である。
姿勢を水平に保つためには、下肢を浮かせることが不可欠である。そのために前方に重心を移動しておく必要があるので、できるだけ早い段階で肩より前方に前腕を運ぶ。前腕は力を抜き休ませておく。
クロールについては、可能な限り早く肘を頭上に運ぶこととし、その他については、できるだけ早く、迅速に、前方に運ぶ。
そのためには、腰を通過したら、腕の力を抜いて、後方に跳ね上げることなく、しずかに腕を水から引き抜くことが肝要である。

4.キックの動作

らくらくスイミングでもそうであったが、「そこそこスイミング」でも、キックに余り重点を置かない。
なぜなら、推進力の大部分は腕が供給すること、ばらけた下肢は渦巻きを発生させ抵抗を生むからである。
それゆえ、ここでは、できるだけ、人魚のように足は癒着したようにぴったり付け流線型を保つ時間を長く取って欲しい。そのうえで、下肢を浮かせる必要、ローリングを助ける必要が発生したときに限り、骨盤の前傾後傾を伴って短時間でしなやかに小さく打つのが好ましい。

5.うねりの原理

これは、身体の下降と上昇の連鎖的な動きだ。これによって、身体の体幹で上下に水をなぎり、水を後ろに押し、前の水を引き込むことによって泳ぎを加速する。単に、体をひらひら、くねくねさせても、これがなければ抵抗が増すだけで、邪魔にしかならない。

バタフライ・平泳など左右対称な泳ぎにおいては、この動きが明瞭である。この動きは、骨盤を前後に連続的に倒す動きによって滑らかに実現できる。緩やかなサインカーブを描く水中の大きなパイプを想像しつつ、その中を潜っていく感じだ。先導するのは頭であり、その向きをコントロールするのは、胸の動きである。すなわち、沈む過程の後半では胸を張り、浮き上がりの後半では胸も背中も弛緩させる。「そこそこスイミング」では、基本的に、身体全体が反る状態はつくらない。翼の断面のような形が基本であり、かるくうねることによって、浅い波形を後方に伝達する。

動きが左右非対称な泳ぎ、すなわち、クロールや背泳では、少し解りにくい。
これらの泳ぎでの浮き沈みは、上体のローリングによって実現される。これらの泳ぎでは、必ず、上体はローリングする。その大きさはともかくとして、上体のローリングが最も大きいときが、上体の重心が最も下がろうとしているときであり、上体が水平になったときに重心が最も上がっていく力が浮力として働く。このとき、推進の道しるべとなるのは頭の位置や方向であり、胸の張りや背中の弛緩がうねりを手助けする。
したがって、この上下の動きは、1ストロークで1周期となる忙しいものである。


長くなったが、以上が、推進力を強化するための技術向上を図る要点である。

次回は、揚力と抗力についてもう少し説明を加え、その後、各泳法についての、最終的な個別まとめをする予定にしている。

 

次に記事を読む 55. 抗力中心か、揚力利用か?

 

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53. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その1

このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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はじめに

これまで、らくで静かな泳法を紹介してきた。しかし、それでも、もう少し速くするにはどうしたらよいか、ということも研究してきた。
一応、ここまでのけじめとして、「らくな範囲で、そこそこ速く」泳ぐにはどうしたらよいか、その基本的方法及び原理を、ここで総括しておきたい。

【とにかく速く泳ぐための根本原理】

一定速度で泳いでいるときは、推進力と水の抵抗がつりあっている。したがって、これより速く泳ぐとすれば、次の2点を追求するしか方法はない。

(1)姿勢を流線型にすること、すなわち、水から受ける抵抗を、もっと軽減すること
(2)推進力を強化すること、すなわち、体力増進、推進技術の向上を図ること


全く泳げない方にとっては、理解しにくいところがあるかもしれないが、そういう方へは、このまとめのあと、どのように練習したらよいかという演習項目を、今後、整理して提示していきたいと思っている。

第1章 姿勢を流線型にする

1.水平姿勢をとる

最も抵抗のない姿勢は、水中で身体を水平に保つことである。
ただ、これらは、手足が動いていない姿勢においての原則である。蹴伸びの姿勢で、身体を少し緊張させ、手先から足先まで一直線であることが望ましい。手で綱を握り、前方から一定速度で引っ張ってもらっていると想像してほしい。これは、そんな状態での、いわば、受動的な状態での静的な基本姿勢といえる。

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しかし、能動的には、少し異なってくる。
泳ぐためには、当然、自分の力で前進しなければならない。そこで、体幹や手足を動かすことになるが、そうなると、色々な調整が必要となってくる。腕による推進、体幹においては、回転やうねりなどである。このことについては、推進するための動きなので、詳しくは次章で述べる。

ともあれ、能動的な姿勢でも、最も抵抗のない姿勢を目指すことには変わりがない。常に努力して、流線型に姿勢を洗練していくこと、泳速が鈍るまで、できるだけその姿勢を保ちたいものだ。

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もし、下肢が沈んで水泳姿勢を保てない場合は、次の事項を試して欲しい。

(1)腕をなるべく前にだす。前方に突き出す腕は、下方斜めに下がっているほうが下肢は浮く。そうすると、腕に水の抵抗を受けるが、身体が反ったり曲がったり、下肢が下がったりするより、はるかにマシであり、水の抵抗は格段に少ないと思う。

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腕に抵抗を受けることは問題なく、身体を水平にするほうが大事。

例えば、クロールでの腕の突きこみでは、耳の横から入水し、深く差し込んでから前方に伸ばすという方法を試して欲しい。

(2)腹式呼吸をする。(「3.呼吸方法」で説明)

(3)軽いキックを使う。しかし、可能な限り、足をピシッと閉じた流線型を維持することが原則である。
槍のように一直線に水の中を滑っていくときでも、微妙な姿勢に留意したほうが良い。それは、腹筋や臀筋を締め、やや腰が引けた姿勢をとることだ。そう、飛行機の翼の断面の形である。これは、揚力で下肢を浮かせ、上体を沈ませることで、重心を下方に沈める効果を生む。これは、うねるときの沈み込みの姿勢でもある。

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2.造波抵抗を軽減する

しぶきや波を立てないことである。しぶきや波を立てると、これらにエネルギーを取られてしまい、その結果、泳速を遅くし、疲れる。
したがって、なるべく、水面に出る部分を少なくし、しぶきを立てないような、呼吸法や腕のリカバリを行うべきである。
スタートや折り返し、「イルカ泳ぎ」などで、暫時潜行して進むときは、波が立たないように、深い位置(水面から30cm以上)をとることを薦める。

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3.呼吸方法

呼吸方法は、水平姿勢保持の障害や、波しぶきを立てる要素になりやすい。しかし、楽に呼吸ができるか否かは大問題だ。

(1)腹式呼吸とすること
腹式呼吸は、胸郭を広げて内臓を押し上げる。そのため、身体の重心を浮力の中心より前に移動する効果があり、下肢が浮き、身体を水平に保つことが容易になる。さらに、水面下の水圧のもとでは、胸をしぼめてまた膨らませる胸式呼吸より、胸郭を膨らませたままの腹式呼吸の方が、吸気が楽である。息の出し入れは、腹で行うから腹式呼吸なのである。

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胸郭を拡げ、内臓を押し上げる

(2)頭を水平に保つこと
息継ぎを行う際に、頭を水上高く斜めに上げることは、エネルギーを無駄にすることが多く、造波抵抗等も大きい。頭は重量があるので、常に、身体を進行方向に引っ張る位置に置き、水平に保つべきである。息継ぎは、口だけ水面すれすれに出せばよい。
例えば、クロールにおいては、推進軸上で頭を回転させて、つまり、身体を丸太のように転がして上方に回すことだ。頭を斜め上方に出してしまう人は、仕方がないので、出した頭を横に倒し、口の位置を高くするなどして、頭を水平にする工夫をして欲しい。バタフライや平泳においても、顔面を正面に向けるよりは、頭の天をは前に向けた姿勢、すなわち、首を掴まれて持ち上げられた猫のごとき姿勢が望まれる。

 

以上、この章では、姿勢のとりかたによって、水の抵抗を減らす方法をとりまとめてみた。
これは、言わば、受動的で静的な課題であったが、次回、第2章では、反対に水の抵抗を大きく効率よく使って、身体を推進させるかという、能動的な課題をまとめたい。何しろ、動き出すと、急に難しくなるのだ。

 

次の記事を読む 54. 「らくらくスイミング」から「そこそこスイミング」への脱皮 その2

 

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52. イルカ泳ぎでは自由形に出られない(泳法と規則)

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閑話休題


初めての水泳の人のためのドリルを書くと予告したものの、結構、億劫である。
そこで、まずは、四方山話。

 

競泳規則とらくらく泳法

競泳を目的としない「らくらく健康スイミング」とは縁のない話だが、競泳には規則というものがある。
競泳は4泳法ある。歴史的には、最初はみんな平泳ぎや横泳ぎしかしてなかったものが、より速い泳ぎが出てきて、競技が4つに分かれていった経緯がある。これはこれで面白いが、ここでは割愛しよう。

この、誰もが知っているその4泳法だが、実は、このサイトで紹介している「らくらく泳法」では、遅くて出られないといわれればもともこもないが、検定を含めて、競泳に出られないものは結構ある。泳法違反をとられそうだからだ。

ちなみに、日本マスターズ水泳協会の競泳競技規則(2018)に照らして、検証してみよう。
https://www.masters-swim.or.jp/pdf/about/2018_generalrules02.pdf


[背泳]

このサイトでお勧めした泳法のうち、大丈夫だと太鼓判を押せるのは「らくらく背泳ぎ」のみ。背泳は、ターンなどを除いて、常にあおむけの姿勢で泳げば問題はない。だから、2ビートであろうが、煽り足であろうが、抵触するものはなにもない。

[平泳]
平泳ぎにおいては、伝統的的泳法だけに、その規則も細かい。スタート折り返し以外のところでは、左右対称、肘は水中に維持し、手はヒップラインまでと決まっており、ドルフィンキックも禁止されている。だが、「らくらく平泳ぎ」はこれもクリアしている。但しこのサイトの「らくらく平泳ぎ」では、リズムをとったり、腕の掻きに合わせて軽いドルフィンキックを薦めた記述もあるので、これを行うと違反となる。

さて、これからが厳しくなる。

 

[バタフライ]
バタフライについての問題は、規則の最後にさりげなく書いてある一行である。スタート、折り返しの後、一旦水面上に頭を出した後は、「体は水面上に出ていなければならない。」という一項だ。常に、身体の一部が水の上にでていなければならないのである。
まあ、そのように泳げば問題はないのではあるが、ゆっくり潜り込んだり、1ストロークで3回もキックするような方法をとって完全に水没したりすれば、これは失格になる。

 

自由形
一番簡単なようで難しいのが自由形である。
規則1の冒頭に、自由形はどのような泳ぎ方で泳いでもよいとある。しかし、何でも良いというわけにはいかないらしい。例えば、メドレーにおける自由形は、他の3泳法以外の泳法でなければならない、とある。なるほど、まあ、それは解る。つまり、クロールが普通ではあるが、揚げ足をとるようではあるが、例えば「バタフライでは失格する完全に水没するようなバタフライ」でも良いと言うことだろう。
問題は規則3である。バタフライと同じく、競技中は、泳者の体の一部が水面上に出ていなければならないとされ、水没してよいのは、スタートおよび折り返しの後の15mまでとされているのである。

さて、どうであろうか?
このサイトでは、造波抵抗があるので、水面直下の浅い水中を、流線型を保つのが、抵抗の少ない理想形であることを何度も書いた。
だから、できるかどうかは別として、うねりながら高速で息継ぎ無しに向こう岸まで着くのがよい。要するに潜水だ。でも、これはダメ。鈴木大地さんのバサロ泳法で30mも潜水するようになって以来、これが制限されるようになり、現在、平泳ぎ以外は15mまでと制限されている。ともあれ、潜水泳法は、このサイトとは無縁の話。
しかし、らくらくクロールにおいては、どの泳法でも、瞬間的に完全に水没する可能性がある。頭を上げることを推奨していないからである。泳ぐ速度が上がり、また、ピッチも速くなれば身体のどこかが出てくるだろうとは思うが、保証はしかねる。

少し残念なのは、「楽しい泳法」である。どれも違反をとられそうではあるが、「イルカ泳ぎ」や「やぎイルカ」などは、完全に違反になる。

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やぎイルカ泳法

今後、世界の片隅で世界記録を破る泳法がでてきても、競技には出られないものが出てくる可能性がないとはいえない。

現在、最速といわれているのは、ドルフィンクロールらしい。2000年のオリンピックで、マイケル・クリム選手がゴール直前の競り合いにこれを使って制したことで注目を浴びたそうだ。これは体力を消耗するので長い距離には向かないという。もし彼が、このドルクロの代わりにバサロを使っていたら失格となっていたはずだ。

自由形というのは、新しい泳ぎの可能性を期待して用いた言葉かもしれないが、結構、その可能性を大きく制限している要因もある気がしている。

まあ、自由といっても、無制限の自由ではないということは、実際の世の中でもいえる。自己本位な自由は認めたくないものだ。ましてや、いかなる理由があったとしても、人殺しをする自由、子供の虐待をする自由などがあって良いはずがない。

 

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51.ご無沙汰しています

ここ1年半ほど、このブログの更新を怠っていた。 

なかなか、私の泳ぎの終点はみつからないといいうこともあるが、ギターや読書など、他の趣味に忙しくしていたこともあった。

また、都会での生活に対する嫌悪と便利さを感じつつ、田舎のくらしへの渇望もあり、本気で転居をも考えていた。

田舎へ行って、自然に親しみ、食もできるだけ自分で賄い、生活を自分で組み立てていきたいと。しかしそれは、生半可なことではできない。勿論、遊んで泳ぐ暇などはないし、温水プールなどもあるはずもない。

そうはいっても、一方、身体や頭脳は老化の坂を加速度をつけて転がり落ちてきている。

田舎ぐらしでは、ここ8年間運転をやめていた自動車にも乗ることにもなろう。スーパー、郵便局、病院、図書館等々は遠いし、何をするにも不便である。

それに比べて、現在の暮らしは、何と便利なことか。

結局、いざ、転居と思い切ろうとしても、現在の生活の利便性とくらべて、家族会議で断念することを繰り返してきた。

まあ、それはそれとして、このブログにも、そろそろ終止符を打とうかと考えていた矢先であるが、ここで、もう少し、続けてみようかと思い始めている。

その契機となっているのは、妻が泳ぎを始めたことである。ひと月前ほどのことである。

これまで、他の人に、私のらくらくスイミングを教えたことはないのではあるが、一年くらい前であったか、娘とすこしの期間一緒に泳ぐ機会があって、これに教えた経験がある。

娘は、全く素直に、こうやれといえば、すぐそのまま言うとおりに身体を動かし、一度教えただけで、私の泳法を、あっという間に全て習得してしまった。10種類以上もある泳法をである。

だから、そんなものかとも思っていた。

ところが、ところがである。

妻に教え始めて愕然としたことが多々ある。

いや、覚えが悪いとかいうようなことではない。

まず、言葉に対する受け取り方が異なっていることに気がついた。

つまり、前や後、下、上といっても、地上と水面では違うので、全く反対にとられることがある。

身体の動かし方も、思っているのと全く違う。

息をするのも鼻で吸う。

そもそも、水が恐い、鼻や耳に水が入るときゃいきゃい言う。

などなど、たくさん出てきたのである。

そこで、以前、このブログを読んでいただいたチャックさんが、ドリルの必要性を指摘してくださったことがあったのを思い出した。

そう、水が恐い人にも、順序だてて、水に慣れ、水平に浮かび、楽に呼吸が出来、効果的な推進ができるようになるための、段階的な練習方法が必要なのだ。

ということで、しばらく、どういったやり方を辿れば、らくに泳げるようになるのかについて、これから、考察してみようかと思う次第である。

ご興味のある方は少ないだろうと思うが、これも、私の考えをまとめる手段でもあり、記録として残しておこうと思うものである。

ま、どうなることであろうか。

 

 

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50. 速く泳ぎたいけれど...その2

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前記事を書いてから、ひとつずつの要素を検討してきた。

しかし、残念ながら、速さに関しては、これまでの成果を大きく超えるような泳ぎをみつけることができないでいる。

 そこで、もう一度、原則に立ち返ることにして、試行錯誤を繰り返している。


ともあれ、速く泳ごうとする限り、嫌でも、抵抗を少なくしなければならない。
それゆえ、可能な限り、左右の転換をすばやくし、槍のように真っ直ぐになることだ。
そして、その姿勢を保って、効率の良いプルを行う。
また、身体を同じ姿勢のまま水中を進んで摩擦抵抗を受けるのではなく、能動的に水中をうねり、捻ることにより、体幹で進むことも必要だ。
 
そのために、すべての動作が、連携され、効率的に動かなければならない。
 
要は、「最大効率時のプルに合わせて身体を槍の形状にし、その効果を活かして、前方にかるく沈み込むように滑り込む」ことである。
 
これらに必要な条件を、もう一度、整理してみた。
 
1.最大効率を上げるプルの形と動き
前提として、身体に無理をかけないために、前方に突き出す腕は、肩関節に対して万歳の方向に伸ばすものとしよう。
プルを行う腕の形であるが、前方に伸ばした腕の肘が、進行方向に直角に曲がって、手の平が後ろを向いた前腕の形が、最も水を捉えることができる。それゆえ、可能な限り、前方で、肘から先の力を緩め、この形になったところで、この前腕を進行方向に対して直角の平面に収めたまま、ローリングに合わせて、加速しながら後方に水を押していく。

臍まで降りたら、手首の力を抜くが、これは、その後の手の平の向きを後方に保ち、自然なスナップでフィニッシュでき、同時に下肢を浮かせることもできるからである。
 
2.そのプルに合わせた身体の動き
前腕で大きな水塊を捉えて後方に押すためには、腕の力で押すのではなく、大胸筋と広背筋を使った腋を閉めていく動作が最も楽であり、かつ、力も入る。これは、身体の長軸を中心とした鋭い回転と、反対側の腕の前方への突き込みにによって、肩の天秤と左右の姿勢の瞬間的な交換によって、半ば無意識に行われる。

つまり、プルに他の動きを合わせるのではなく、前方に突き込む手にプルが結果的に行われているといえる。
速く泳ぐのであれば、この左右の姿勢の交換を意識的にすばやく行わねばならない。
それには、リカバーした水上の腕が頭を通過した時点で、その手は、ローリング後に万歳をすることを想定した手の位置を目がけて加速して突き込み、同時に、キックは、ローリングを助けるためにに、下側(深い側)の足で小さく鋭く蹴る。
前方への腕の最後の突き込みと、プルの臍からのフィニッシュを同期させて、思い切り伸びる。

 なお、突き込む手の目標とする位置は、ローリングの大きさによって異なる。仮に、90度のローリングで真横まで向くのであれば、身体の中心線上となるし、浅い角度であれば、肩の延長線上になる。その違いは、体重の左右移動の大きさとなって現れ、その結果、体幹での推進の違いともなる。

速く泳ぐことを目指せば、ピッチを上げる必要があり、当然その角度は浅くなってくるだろう。

 
3.槍状の姿勢の形成
前方下方終点までの、腕の最後の突き込みと、プルの臍からのフィニッシュを同期させ、前に突き出した肩にほっぺたを付けることによって、槍状の身体の姿勢が完成される。
腋の上に体重がかかった感覚を持ち、身体がおもいきり前後に伸ばされ、2ビートであれば、足が泳ぐ時のイカの足のように、ピタッと揃った形である。 このまま、ローリングの最終段階に入り、水中を滑っていく。


 4.その効果を活かすこと
この姿勢を保持すること。
前記項目の前半で、ローリングが起動され、槍が回りながら進んでいく。
後半でも惰性で回転が続き、この終点は、フィニッシュした腕がリカバーして頭を通過する時で、ローリングが最大となる。
水面下で終点まで突きこんだ腕の肘から先を緩め始め、直角に曲がったときにキャッチの感覚を確認する。 基本的に、その時点で、キックを入れる。
それまでは、回転以外の動きはしない。

まっすぐの姿勢を保つには、腹全体を締めたほうがよい。ただし、このとき、腰を硬直させないほうがよいと考える。

理由は、身体をスクリューの形で自然な捻じれを残し、ローリングの反転前後での捻れの戻りと反対側への捻じれの開始で、加速を期待したいからである。

 
5.前方にかるく沈み込むように滑り込む
左右交互に、肩を先導させた軽い浮き沈みを行う。
これは、体幹で身体を推進させるためである。

沈み込む時に、身体の下面で水を後ろに押しやり、上面に水を引き込む。その初動では、キックをローリングの加速に使うことにより、意識的に腰を浮かせ、槍の姿勢で前方下方に捻り込み、肩というか腋を沈める。
ローリングが頂点に達したら、間を置かずに、反対の動作を始める。実は、この時が、上体が最も沈んでいるときであり、ここから前に伸ばしている腕の前腕を緩め、プルを開始し下を向くと、上体は無意識的に浮き上がる。

 

まとめ
これが私が考える、効果的なクロールの基本的な形である。
私の現状では、この泳ぎ方で、前後に大きく伸びてリズミックに泳げば、25mを15ストローク、23秒くらいで泳ぐことができる。 11〜12ストロークで30秒くらいであろうか。


しかし、これでは、20秒を切りたい私にとっては、速いとは言いがたい。
これまでの私の「らくらく泳法」でも、力を込めて泳げば、25秒くらいまでであれば、なんとかなる。
なんとかなるというのも、どのらくらく泳法も、速くしようとすれば、だんだん、この泳ぎの形に収斂されてくるのだ。

それも当然である。らくらく泳法は、身体に支障のあるところを考慮して、影響の少ないところを犠牲にして、良い所どりした泳ぎなのだから。

ともあれ、あとは、効率を保ったまま、ピッチを上げれば良いことにはなるが、究極的には、体幹を利用した加速が、まだ、うまくできていないのだと思う。
私にはダッシュをする元気はないし、泳ぎもくずれてしまうので、技術的になんとかならないかを、いつも考えている。

このところ、要件を満たす範囲で、プルのやりかたをストレートからスカリングの「なぎる」やり方に変えてみたり、うねりを大きくしてみたり、キックのやり方やタイミングを変えてみたり、いろいろやってはみるのだが、これまでのところ、どれも結果に大差はないようだ。

それゆえ、この方法ならお奨めできるという決定打が出たら紹介しようと思うが、いまのところ、それぞれ、長所短所がある。

 

ところで、これらの要件を満たしていて、体系化された簡素な泳ぎを普及しているのは、TI swimだと思う。

私も、TI swimを習って、それを極めれば、一番良いのかも知れないとも思う。

実際のところ、私も、大分参考にさせていただいた。

TI swimは、速さと効率のバランスを考慮するものであって、単に速くなること自体を目標としているわけではない。

今少し速く泳いでみたいという私も、実は、そうである。そして、ラクに、ということだ。だから、目的とする方向は似ていると思う。

 しかし、私には、まだ、自分なりの泳ぎ方があるのではないかという思いもある。とくに、速い左右転換には前腕に横の動きをとりいれても良いのではないかと思って、いろいろ試みている。肩や肘の向きが、その方向に動くのが自然でもあると思うからである。

とはいえ、単に左右転換が速ければ良いということでもない。プルは速くなるが、これに伴う体幹を使った推進につながらなければ効果的でない。

全体的に、緊張のない、統合されたバランスが必要なのだろう。

 

ともかく、もう少し、自分なりに納得できる泳ぎを見つけてみたいと思う。

 

それに、私は、考えながら泳いでいなければ、毎日の水泳に飽きてしまうのだ。

もしかすると、結論は出ないほうが良いのかも知れない。


しばらくは、試行錯誤を繰り返してみることにするが、私自身の泳ぎの終点が見つかった時点で、このブログに幕を引くことができる。

 

 

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49. 速く泳ぎたいけれど...次なるステップへ

 このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。

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速く泳ぐ試みの記事(38~42 楽に、より速く..)から、大分時が経った。


これまで、この試みについての練習はしてきた。
それなりに、気持ちよく泳げるようにはなった。
水面にひらひらと浮かんで、軽く泳ぐ感じは良いものだ。
しかし、この泳ぎ方は、やはり、肩の固い私には、あまり向いていないようだ。
どうしても、三角筋が疲れて重くなるのだ。
原因は、私の肩が固く可動域が狭いために、前に突き出す腕を支える力がより必要となるためだ。
また、頭だけを上に上げて、胸を沈め、足を浮かす方法については、これも、肩が固いために、結果的に、頭が思うようにはあがっていないということもわかった。
下肢は、そこそこ浮いているのであるが、姿勢の保持に緊張が必要であるのであれば、長時間はもたない。
こうしたことから、速度も、思うようには上がっていないのが実情である。

これ以上続けていても、あまり進歩は望めないと見て、ここらで、一旦、この試みを中断することにしたい。そして、今後は、この泳ぎ方の、私にとって良い面だけを採用することにして、他の泳ぎの長所と合わせた折衷泳法を考えて行くことにしたい。

 

新しい泳ぎへ向かって

速く泳ぐことを目指したこうした泳ぎ方は、楽な方法があるとしても、これまで紹介してきたような、「らくらく」シリーズのように、わかりやすく簡素な泳ぎかたというわけではない。したがって、1~2週間でできるようになるとは限らないであろう。


しかし、楽に、より速くという欲望は、まだ尽きないので、もう少し追求してみたい。

さて、肩の固い私に適した今後の泳ぎを開発していこうと思うわけだが、これにあたって、この1年間追求してきた泳ぎから参考になると思うものは、次の4点である。

(1)軽いスカリング
(2)魚の鰭のような、ひらひらした6ビート
(3)スクリューのような身体の捩れを利用した推進
(4)上下にうねる体幹での推進
である。

そして、浮き姿勢については、これまで紹介してきた「らくらく泳法」でのやり方に戻す。つまり、以下である。


(a)顔は水底を見て首の力を抜き、身体は真っ直ぐの潜水艦型を採用する
(b)浮力は、胸郭を上げて保ち、これにより下肢を浮かす

腕の伸ばし方については、

(イ)肩に無理の無いように、斜め前方の下方に突き刺す(下肢の浮きにも貢献)
(ロ)抵抗が許せる範囲で、前方に伸ばす腕を左右に開く

今後、これらの要素を、ひとつずつ検討していくことにしよう。

 

 

次の記事を読む 50. 速く泳ぎたいけれど...その2 

 

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