42. 楽に、より速く (その4 続々々・身体全体をスクリューに)
このブログの内容を、体系的にまとめて、次のウェブサイトで公開している。
だいぶ、時が経ってしまった。
大分なれてはきた。しかし、飛躍的な進歩はないが、大分軽くなってきた感はある。
速くするには、ピッチを上げる必要がある。
しかし、まだ、ピッチを上げても、疲れるし、さほど速くもならない。
ゆっくり前後に大きく伸びて泳ぐのと、タイムがそう変わらないのだ。
ピッチを上げれば、どこかがおろそかになるのだろう。
現在、留意している点は、つぎのとおり。
(1)スクリューを形成するために、身体のねじれを足の前後の開きで確認する。(右腕を前方に伸ばすときに、左足が前に、右足を後ろに伸ばす。)
(2)前に伸ばした腕の肩を内転させ、肩の天秤を大きく傾ける。このとき、腋を沈める。ローリングを大きくとる。
(3)掌を平らにし、指の間を開けない。
(4)前に伸ばし内転した腕の外側に向いた掌を、トランプをめくるように返し、後ろに向けたまま肘を支点に、もう一方の腋に引き付ける。そのあとは、掌を後ろに向け若干プールの底に向けつつ外側に抜き去る。
(5)首筋を上げる。ただし、腰を反らない。
この練習で大事なことは、前の水を滝のように背中に引き込み、身体を前に吸い寄せられるようにすることだ。
そのためには、どのような泳ぎをするにせよ、身体を真っ直ぐにし、身体を水平に浮かせ、前方に腕を伸ばすとき腋を沈めて行くことだろう。
このときに、身体をスクリューにすれば、効率よく引き込むことができ、つぎの反転でつなげていくことができるはずだ。
そのためには、1ストロークで1回の浮き沈みが必要になる。
これが、軽快にできるようになり、無駄な動きがなくなればよいわけだ。
しかし、背中に引き込んだ水を後方に流してやらなければならない。
そのためには、身体を反らないことが大事だが、足の動きも重要になる。邪魔にならず、効果的に後ろに流し込むことだ。
これは、魚のひれと同じだ。
だから、魚のようなひれをつくって、ゆっくり後ろに押してやる必要がある。
これまでは、あまり足の動きには、注意を払わないできたが、最近、その動きに注意をむけている。
魚の身体の動きは、左右または上下に波打つ。
人も同じようにすればよいが、なかなかからだのしくみも違う。
だから、大まかになるが、でも基本は同じだ。
背中に引き込んで早く流れている水は邪魔せずに、足でも引き込むように動かしたほうが良い。そして滞る直前に反転して逆側の水を引き込むようにする。つまり、足ひれをつけたときのように、ひらひらと、その水流に合わせて波打たせるのだ。
足の甲ではキックはせずに、膝をまげた状態から柔らかく後方に押してやる。
それも半ばで止め、流れた足を膝を伸ばした状態で背側に戻す。
このときの足の形には留意する必要がある。
できるだけ、魚の尾びれに似せるのだ。
足首を交差して指先を左右に開くと、人魚のしっぽになるだろう。この形だ。
しかし、この形では動きが悪いから、分解するしかない。そこで、その足首の交差を外し、足を開いて、親指同士をくっつける。
これだ。これなら、水流に対して揚力を生み、スクリューにもなる。要は、これまで私が内またキックと言っていたものだが、行きも帰りもこの形にすることが重要となりそうだ。
これが、なかなか良い。ひらひらしているだけだから、あまり疲れないが、この形を保つのは意識しないとできない。
私は、6ビートでやると、どうもリズムが不規則になってしまう。
そこで、一度、足ひれをつけて負荷を大きくして確認してみた。
どうやら、息継ぎに問題があるようだ。息継ぎを、ゆっくりとりすぎているのだ。また、息継ぎしない左側のローリングが小さくなっている。
そこで、息継ぎを、手を抜く瞬間までに素早く済ませ、また、左のローリングも意識して大きくとるようにした。
この結果、身体の反りも改善された。
現在は、とりあえず、まだ2ビートで水を後ろに押す感覚を育てながら、全体の動きのチェックをしている。
現在は、25秒前後で調整しているが、もっと、軽く、速く回せるようにするには、もう少し時間がかかるようだ。
41. 楽に、より速く (その3 続々・身体全体をスクリューに)
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さて、前回記事から2週間ほど経った。
より、楽に速く泳ぐことを目的に、これまで、私のらくらくクロールで慣れ親しんだ2ストロークで1回浮沈する運動を、1ストロークで1回浮き沈みする運動とし、体全体の捻じれを大きく使って、体全体をスクリューにしようという練習をしてきた。
やることは単純だが、なかなか速くはならない。
当たり前だ、ストロークのピッチを、まだ上げていないのだ。まだ、1ストロークを1.5秒くらいのゆったりとしたペースで泳いでいる。
そして、足はあまり使っていない。何しろ、姿勢とプルの確認が、まず、大事だからである。
このところ、ようやく身体が、この浮沈のリズムに馴染んできた。そして、力を要しない軽い動きで進むようになってきた。現在、15ストローク30秒、18ストローク25秒くらいであろうか。
浮く姿勢は、頭を水上に持ち上げることで、充分下肢が浮くことができる。特に、首を曲げて頭を持ち上げるのではなく、首筋ごと上げ、肩甲骨の間を狭めてそこの背骨を伸ばすのである。そうすると、胸が沈み、効果的に下肢がうき、身体は楽に真直になる。
これまで、肋骨の中に胃をしまうことを奨励してきた。腹を締めることは依然姿勢の維持には効果的で、そうするに越したことはないが、大きく呼吸をするには、常に胸を膨らませているというわけにはいかないだろう。
むしろ、浮沈の深さは、肺にたまっている空気の量に影響されるので、沈みが足りず、浮くべきときにちゃんと浮くのであれば、肺の空気は常時たくさんある必要はない。つまり、スピードが出てくれば、自由に呼吸できるし、そうせざるを得なくなるというわけだ。
さて、円月プルであるが、らくらくクロールでの直進の姿勢を保つにはこれでも問題ない。
しかし、スピードを上げ、身体を前後に伸ばしていくようになると、前に湾曲して伸ばす腕への抵抗が問題になってくる。
そうすると、手を伸ばす方向は真っ直ぐ前が良くなってくる。
そして足が左右にブレないようにするためには、若干、肩の延長線上の外側に突きこんだ方が良い。
曲げている肘を伸ばして前に突き込んでいくが、突き当りで肩を内転する。つまり、親指から水につけて伸ばすのだ。そのほうが、肩が伸び、反作用として、反対側のプルが楽になる。
ついでに、伸ばして内転したその肩に顎関節を付ける。これらの姿勢は、真っ直ぐに、そして、前にという意識から自然に出てくるものと思う。
この姿勢は、私のように、肩関節の可動域が狭いものには、やりにくく、伸ばした腕が水面に水平にはならないのであるが、それでも、肩を結ぶ線を思い切り傾け、頭をもたげて胸を張るような姿勢を取れば、かなり改善される。
この腕の着水からの手の動きは、円月プルと最初が異なってくる。
円月のプルの軌道にもどすために、掻き始めを次のようにする。
外がわに向いた手の平をクルッと返し、手の平を自分で見るようにするのだ。そうすると、指先の向きはプールの底を向く。そして、そのまま、ほぼ真後ろを向いたその手の平を、反対側の肩の方に斜めに滑らせ、それから、反転して外側に向かって水上に滑らかに抜いていく。
この動きの前半は、外がわに向いた手の平をクルッと返して、そこに崖があるごとく、崖にぶら下がっているような気持ちで、その手の平に向かって、反対側の肩の三角筋を引き上げていくような感じに近いかもしれない。
この間、手の平をなるべく真っ平らに、むしろ、反らせるくらいにして、前半は親指から小指に、後半は小指から親指に流れていく水の滑らかな抵抗を意識する。斜めに滑らせるための腕の力は軽くてすむが、手の平にかかる揚力、すなわち、身体を前に進める力は力強く感じるはずだ。つまり、固い水の壁を撫でている感じだ。これを感じられるようになるためには、指の間の隙間を開けないこと、手の平の角度の小さな違いを感じるようにする。手の平を平らに保つのは、結構疲れるものだ。
なお、この場合は、キャッチに相当する概念はない。連続して水を切って水の壁を撫でるだけだからである。
この動きは、プル(引っ張る)という感じではない。円月プルは、弧を描く運動であり、水を切るというか、撫でるような運動なのだ。前半は、手の平の向きを、若干内側に、後半は外側に、僅かではあるが傾けたほうが抵抗の感じが良い。また、指先の方向を後半は若干前にとったほうが下肢が浮きやすい。
この動きでの前半は沈み込み、後半は浮き上がりに対応する。
この反転の時点で、腰の捻じれが最高になる。
もうしばらく、この練習を続けたい。
そうして、もう少し、ピッチを上げる練習をして、からからと軽く身体が回っていくようにしようと思う。
次の記事を読む 42. 楽に、より速く (その4 続々々・身体全体をスクリューに)
40. 楽に、より速く (その2 続・身体全体をスクリューに)
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この記事は、前記事の続きである。
身体全体をスクリューにする実践編である。
まずは、ゆっくり、ローリングを大きくとって、腰の回転の遅れを確認してみた。
下半身を脱力していると、身体を螺旋状にする腰のねじれは、肩のローリングに遅れてついてくるはずである。
そして、ローリングの頂点で肩の傾きが止まったら、腰の位置がこれに合うまで、意識して待つ。
なかなか、難しいものだ。
左右の回転において、同じ動きにならない。
私の場合、息継ぎをしない左では、腰の回転の遅れが少ないのだ。
無意識にキックが入ってしまうと、回転のねじれが補正されて追いついてしまう。これではだめだ。
どうも、左のローリングが右に比べて小さいようなので、これを大きくして補正する。
これが、できるようになるまでは、キックを全くしない。息継ぎをしない、あるいは、少なくするなどして、様子を見る。
一日やそこらでは、できそうもない。結構、思うようにはならないものだ。
(原理考察)
ここで肩と腰の回転のずれが確実にできれば、スクリューあるいは艫の働きをするはずだ。背や腹は、大きな面なので、水流の抵抗になるだけに置いておくのではなく、活用して推進力にしたいものだ。
スクリューは、回すその刃の後ろの斜面で水を押し、前の斜面で水を引く。円月プルでいえば、ローリングの力を借りて腕や手の平で水を押し、その裏、つまり手の甲側、で水を引き込む。
腰までの上体においては、ローリングして前方に沈み込む肩により、胸の面で水を切って水を後ろに押し、その裏の背中で前方の水を肩越しに引き込むようにすれば良いはずだ。
そして、このときは、ただ、前方に直進して回るよりも、上体全体を沈み込ませていく方が効果的なはずだ。
というのも、単に直進するならば、ドリルのように、両肩がそれぞれ別の役割を持たなければならなくなるからだ。つまり、2枚刃のスクリューのように、中心軸を対称に、例えば、右肩が下降するとき右胸で水を押し、同時に左肩が上昇して左肩の背中が水を押すということだ。
しかし、胸は胸郭があるから、柔らかくひらひらするわけではないし、そんな器用なことはできない。とはいえ、鉤腕泳法では、似たような動きをしてはいるのだが。
それゆえ、より、効果的に行うためには、上体全体で片方の刃だけの役割をする方がよい。つまり、単に前方に直進して回るのではなく、上体全体を沈み込ませて回っていくのだ。
そうすれば、沈み込んでいく胸全体で水を後方に押し、その裏の背中側に水を引き込むことができるだろう。
しかし、沈みこめば、次には浮かなければならない。回転の左右の転換と浮き沈みの関係はどのようにすればよいのだろうか?
仮に、今、右をリカバリーしつつあるならば、右側のローリングの頂点にあり、右の腕と肩を突きこんで沈み込んでいくことになる。しかし、次の左側のローリングの頂点になるときには、次の沈み込みのために高さを回復、すなわち、また、浮かんでいなければならない。
それはどのようにしたらよいのか、考えてみよう?
リカバーしている右腕を頭に引き寄せて、右腕を突きこんで、上体を沈み込ませ、右の腋を沈めていくと、上体は左右水平になる。おそらく、沈み込みの効果はここまでが勝負だろう。
左腕のプルは、既に始まっていて、左右水平になったときの左手は、右腋まで到達していることになるはずだ。参考までに、この時の腰の位置は逆回転が始まっていることにより両肩を結ぶ線より遅れて回転している。
この時点から浮かんでいけばよいのだから、顔を上げればよいということなる。そうすれば、水平になった上体が頭を持ち上げてくれるはずだ。
多分、その時だけ顔を上げるというのでは遅くなるから、終始、意識的にも顔は上げておいたほうが良いだろう。要するに、終始、「その1 姿勢」で書いたとおりの浮く姿勢を保つということだ。
そのまま、左腕のプルが後半に入り、腹の横で水上に抜き去っていくと、浮上しながら、次の左側のローリングの頂点に達し、再び、最も上体が浮いている状態になる。
この浮上する段階では、沈む時と反対の効果すなわち、左肩を先頭に水面に向かって水を切っていく背中が水を後ろに押す効果を生み、腹側に引きこむ水が推力を生むはずだ。
そして、ローリングが終わったら、つまり上体の回転が止まったら、それまでねじれていた腰のねじれが解消され身体が平板になっていく。そのねじれ解消の動きも、推進力を発生させるはずだ。
こうした一連の、浮沈を伴う回転の逆転の連続のリズムが、効果的なスクリューの推進力を生んでいくものと考える。
プルとの関係でいえば、プルの前半が沈み込み、プルの後半が浮き上がりと同期する。プルの真っ平らな手の平の角度も、これに合わせて調整するのも良いだろう。
しかし、ちょっと待った。
これまでらくらくクロールでは、片側呼吸で、息継ぎで浮上し、反対側で沈むという方法をとり、これによる浮沈のシーソーで推進力を生み、息継ぎも楽にしてきた。私の身体は自然にそうなっている。
しかし、これでは、左右転換を利用した効果的なスクリューの動きが半減するはずである。
それゆえ、この泳ぎでは、意識的に、1ストロークごとに、浮沈していくリズムを心がけてみよう。
さて、うまくいくだろうか?
今回の練習課題は、螺旋回転の向上と、このリズムの獲得だ。
次の記事を読む 41. 楽に、より速く (その3 続々・身体全体をスクリューに)
39. 楽に、より速く (その2 身体全体をスクリューに)
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この記事は、前記事の続きである。
(姿勢の続き−−実践)
さて、改めて、円月泳法で、頭を上げて泳いでみたが、これは、やはり、とても気持ちが良い。浮いている方が、気持ちが明るくなるからかもしれないし、バウンド感が良いのだ。
頭だけを前に向けるのだが、少し胸を張る感じにはなる。顔をプール前方に向け、腕は前方に出す。ただし、腹圧は多少かけておく。そうすると、額が水面を切るようになり、背中は沈み、お尻から下肢がふわふわ浮いてくる。
胸が張りぎみになると、その部分の水の抵抗は大きくなるが、速力が上がるにつれて、身体がせり上がるようになり、一方で、下肢はさらに浮いてくるので、より速度を上げたい時には欠点にはならないだろう。私の場合は、肩の可動域が狭いので、この方が手を前方に伸ばしやすい。
この状態で円月泳法を行うと、上下に弾む。身体全体が軽くなった感じがあり、そして、律動的にバウンスする感じが楽しい。
今は、なるべく、腰から下の力を抜き、キックについては意識しないで、ひらひらするままに放っておく。ただし、腰は反らないように気をつけて、腹圧も少しかけておく。
速さは、というと、25mプールで、30秒前後、ストローク数(壁を蹴ってキックなしで5mラインでプルを始める計測)は15くらいである。速くなっていない。
当然だ。まだ、なにも速くなるための操作は加えていないのだから。
これから、速くしたいのだが、プルについては、まだ改造の余地があると思う。そもそも、プルのピッチは、今の1ストローク2秒程度から、いずれ半分以下の1秒から0.8秒くらいまで速くしなければ、泳速自体は上がらない。
少しピッチを上げてみると、25秒ほどには速くなる。しかし、それ以上速くするのは、急激に息が上がってきそうなのでやめておく。
ここまでのところ、速さに関する限り、身体を真っ直ぐして水に沈んでいても、頭を浮かせていても、殆ど変わりはないようだ。
(プルの手の平の形)
ところで、こお円月プルでは、すなわち、スクリューや艫のように斜めに水を切るようなプルでは、どのような手の形をしたら良いかについて、あまり書いてこなかった気がする。
招き猫泳法のような、真っ直ぐ引くプルでは、自然で構わないし、指の間も若干空き気味のほうが、水がつかめるし、形状もお椀のようになっていて良いと思う。
しかし、水を斜めに切って、揚力を活用するこのプルは、断然、真っ平らが良い。指の間も開けない。水が抜けるし、滑らかな水の流れが手の平の表面で起こらなくなるからだ。
かつて記事(17. 効率的なプル : ローエルボーへの誘い その2 4.効果的なプル)に書いたが、円月プルの前半は、親指から小指の方に向かう水流を作り、後半は小指から親指に向かう水流を作る。
これは、手の平の基から5本の指先に向かう水流よりも、揚力を得る効率が高い。飛行機の翼が細長く横に突き出しているのと同じ原理である。
それゆえ、手の平は、板に押し付けた時のように、真っ平らになることを目指そう。これは意識しないとできない。
そして、やってみると解るが、真っ平らな手の平にすると、水に対して採る角度、動かす適正な角度を精確にする必要も出てくる。揚力の出方が良く解るからだ。
目安としては、50〜60度(参考;正三角形の斜面が60度)にする。簡単に言うと、右腕であれば「く」の字を描くように、手の平は真後ろを向けたままで、前半、後半で角度を変えれば良いだろう。これは、ストローク数と泳速によって異なるので、実際にやってみて効果的な角度を体得する必要がある。
(注:一番効率が高い迎角は、静止水に対して30度程度である。速く泳ぐならば、円月プルの円弧を、それに応じて縦に伸ばして楕円にしていく必要がある。流れに対する手の平の角度は常に直角にする、つまり、真後ろに向ける。そして、プルの角度であるが、仮に25mを30秒、16ストロークくらいで泳ぐならば、 プルの円弧を縦に伸ばし、プルの見かけの角度を50度くらいになるような楕円にすれば良い。)
さて、論題が若干逸れたが、問題は泳速を上げることである。
それゆえ、このプルも、いかに、楽にできるか、そして、身体全体の動きの調和のために、どのような動きをすれば良いかが課題となる。
しかし、プルについては、今後、必要に応じ、戻ってきて修正していくこととし、ここでは、ひとまず、腕の動きは円月のままにしておいて、次に進みたいと思う。
次は、大きな課題、身体全体で前進させる力を得る方法を追求してみようと思う。つまり、魚に近づきたいということだ。
2.身体丸ごとスクリューになりたい
水を斜めに切っていくことによって推進力を得るスクリューあるいは艫の動きというのは、いろいろな方法で実現できる。
ちなみに、大きなローリングの動きに合わせて、身体に巻き込むような円月泳法の腕のプルは、体幹に付着したひだのようになってスクリューのような役割を果たしている。
水を斜めに切っていくことは、力が要らず、効率的な泳ぎができるのだ。
しかし、円月のように、主としてローリングと腕の動きに依存するだけでは、これ以上の推進力の楽な向上は見込めそうもない。
したがって、意識的に体幹を使った、体幹をねじれによって、水を後方に押し下げていくことを実現していきたいと思う。何しろ、背中や腹の面積は大きいからである。この部分を使わない手はない。
まず、直感的に考えられる単純な方法は、身体をドリルのように使うことだ。
つまり、頭がドリルの先端とし、水を掘削していくのは左右の肩であり、水を後方に押し出すのは、上体から腰、足に続く身体の捻りだ。
ドリルは刃の形も固定されモーターで同一方向に回り続ける。しかし、人には同じ方向に回り続けるための動力が見当たらないので、肩や腕の左右の反転に応じて、左に右にと捻ることになる。
すなわち、ローリングをしていくときに、腰が時間的に遅れて回転していく必要がある。
そして、ローリングの頂点に達した時に、腰の捻りが追い付いていって、体全体が真っ直ぐの平らな板になり、そこから、腕が先導して逆の回転に入る。
足も活用したいが、一度には修正できない。最初は、ひらひらさせて置こう。邪魔にさえならなければよい。つまり、蹴らなければ良い。
プルのしかたにも選択肢がありそうだが、とりあえず、円月プルでやってみよう。
うまくできるであろうか?
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38. 楽に、より速く (その1 姿勢)
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このブログでは、健康のための楽々スイミングを目的として、私が考案したいろいろな楽な泳ぎ方を紹介してきた。
それゆえ、速く泳ぐことは、直接の目的としてはこなかった。
とはいえ、もし、楽に速く泳げるのであれば、そうしてみたいという気持ちはある。
それに、これまで開発してきた泳ぎ方については、私の中では定着し、一段落したとも思う。
そこで、これからは、しばらくのあいだ、もう少し速くするにはどうしたら良いか追求して見たい。
速く泳ぐためにはという記事(31. 「速く泳ぐ方法」と「楽に泳ぐ方法」の相違 その1
)は書いているが、その上で、もう少し、身体全体やその部品をうまく使って、推進力を大きくする方法を考えてみたい。
もちろん、このブログは、「楽に」できることを前提としているが、「楽に」というのは、個々の体力や感性に依存しているので、客観的な指標にはならないが、息が上がるまで泳ぐことはしないつもりだ。
もちろん、うまくいくかはわからないが、興味ある方は、進捗を眺めて笑っていただければと思う。
全く新しい泳ぎを考えるつもりはないので、これまでの泳法を土台にしようと思う。
とりあえず、泳ぎの土台としては、円月泳法を選んで、これを速くするように改造していきたい。
目指すは、姿勢の検討、体幹での推進、必要があればプルの改造、足の活用である。
1.姿勢
まずは、姿勢から検討していこう。
浮かぶ(フローティングの)姿勢は、抵抗が少ないことが基本であるが、その方法はいくつか提示してきた。
それらの姿勢は、誰でもできるものを前提とし、また、われら還暦過ぎの健康スイミングの範疇であるから低速であることを想定していた。
しかし、今後、速く泳ぐとなれば、姿勢の選択肢を他に求めていくことも必要だと思う。
これまでは、水中に沈んで真っ直ぐになることを推奨したが、これは低速域での方法だった。低速では身体を浮かせることが難しいからである。
しかし、高速で泳ぐ場合は、できるならば、身体を水上に出して、推進方向に対する体積や断面積を減らした方が良いことにならないだろうか。あるいは、結果として、そうなった方がいいともいえる。
さらに、常に肺を膨らませておくと、運動量が上がるにつれて呼吸の効率も上げざるを得なくなるので、もう少し自由に深く息ができる方法が望ましい。
そこで、下肢を浮かせるための方法に工夫を追加してみよう。
円月泳法の説明において、最初に触れてもいるが、抜き手のように、頭を水面に持ち上げるのである。
たとえば、地上で、うがいをするときの姿勢だ。脛骨から後ろに反って、肩甲骨の間を狭める感じだ。
水の中では、顔をプール前方に向け、腕は前方に出す。ただし、腹圧は多少かけておく。そうすると、額が水面を切るようになり、肩甲骨の間を狭めることによって背中は沈み、反対に、お尻から下肢が浮いてくる。頭が水上に出ている分だけ、その重みが下肢を浮かせるモーメントとして働くからである。
まずは、この方法での円月泳法を泳いでみることにしよう。
まずは、姿勢に注視し、この段階では、プルはこれまでの円月プルとし、キックについては忘れ、ひらひらとさせておく。ただし、身体が真っ直ぐ進んでいるかどうか、つまり、円月泳法は、キックなしでもブレない泳ぎであるはずだけれど、実際に足先が左右にぶれてはいないかは確認が必要な点だ。
ところで、最近、右背中のどこかの筋が引き攣って、吸気するときに痛い思いをしている。こんなことは、以前も何回かあった。そもそも、私は甲状腺ホルモンが低下気味で、筋が攣りやすい。新陳代謝も滞り、老化が速いのだ。妙な格好をすると攣るし、炒めものをしてヘラを握っている手が攣る、つり革にぶら下がる手が攣るなど、困ることが多い。
水泳は、激しくないから良いと思うが、速く泳ぎたいと思っても、頑張りたいと思わないのは、こうした体調のせいかも知れない。
もう少し速く泳げるようになるかは、わからない。いつになるかもわからない。
きっと、気の長い目標になるのだろう。でも、何らかの目標を持たないと、毎日の水泳を継続できなくなるのも、私の性分だ。
次の記事を読む 39. 楽に、より速く (その2 身体全体をスクリューに)
37. らくらく背泳ぎのローリングと姿勢
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左右非対称の泳法では、普通、一方の腕が前方に伸び、一方の腕がプルを行うことになる。
らくらく背泳ぎでもそうである。
プルをした腕をリカバーするタイミングは人それぞれであろうが、プルを終えた瞬間は、両腕の方向が180度異なっているはずだ。
今回は、このときの姿勢について、少し確認しておきたい。
まず、水の抵抗を最大限減らす姿勢をとることが望まれるが、その姿勢の要点は、両肩が作る天秤を、思い切り傾けることだ。要するに、前方に伸ばす腕の肩を思い切り前に、そして、後方にプルした腕の肩を思い切り下げて、腕を双方反対方向にできるだけ伸ばすことだ。そうすれば、肩にかかる水流の抵抗を少なくすることができる。
頭は、顎を引いて浮かせるようにすれば、舳先の抵抗を減らすことができるが、何よりも、水上に出す頭の部分の重みで下肢が浮く。全体に舟型になる感じである。お腹も若干締める。
この前後に長く伸びる瞬間は、ローリングの角度が最も大きくなったときである。
プルは、真横に掻いても良いが、私のらくらく背泳ぎでは、腕相撲の形を推奨している。その理由は、肩関節に無理な力を与えず、身体のブレを少なくする直線的な力強いプルができると思うからである。
大切なことは、腕を身体の後ろに回さず、身体の前面で動かすことで、これをできるようにするためには、ローリング角も大きくとる必要がある。
そもそも、私は肩関節の可動領域が狭いので、腕を着水させるためには、大きくローリングしなければならない。
そのために、着水は、小指の方から入ることになる。単純に直進性の良いプルを力強く行うためには、少し手の平を底の方に向けて、肩が内転して上方で固まってから、手の平でしゃくうように肘から先を緩めてキャッチを行って手の平を腋に寄せ、腕相撲に似た動作で腰まで二の腕全体を後方に押し下げて、最後に水を捨てるように腿の横まで軽くスナップする。これは、ローリングを戻しつつ行われ、この間に、もう一方は天高くリカバリーを行いつつ肩の天秤を反対側に倒す、つまり、両肩の位置の入れ替える。この体幹や大きな筋肉を使った動きによって、力を込めなくても、そこそこ力強いプルができる。
これにより、ストローク数は少なくなり、かつ、泳速も増す。また、キックを内股に蹴るだけでなく、挟むようにもう一方の足の裏も使えば、速度はもう少し速くなる。