やぎさんのオリジナル泳法のすすめ

楽に、静かに、できれば速く、還暦すぎてのラクラク健康スイミング (円月泳法、鉤腕泳法、八の字泳法、招き猫泳法、らくらく2ビート背泳、やぎロール、イルカ泳ぎ等)

33. キャッチの感覚

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随分長いご無沙汰であった。

このところ、時間があるときは、つい、他の趣味などに手が出てしまって、しばらく、このブログから離れていた。

もちろん、泳いでいなかったわけではない。

毎日、一時間ほど泳いでいる。

距離は決めていない。

その日の体調も違うし、プールといっても、還流する水や、隣でアクアビクスやウォーキングしていれば、随分影響も受ける。

そもそも、同じコースを複数人で分かち合う場合、泳ぎ方も変わる。

たとえば、週に、2〜3回は、ゆっくり2kmくらい連続して泳ぐ。これは、私より10歳年上の女性で、曜日によっていつも同じコースで一緒に泳ぐ方の連続して泳ぐペースに合わせるからだ。

丁度、表と裏、つまり、背泳とクロールを50mずつ交互に泳ぐのに丁度よい。

私は距離を数えるのが苦手だ。2〜3回以上は「たくさん」になってしまうのだ。だから、泳いだ距離を知るには、一緒に泳ぐ方が数えてくれさえすれば、自分が数える必要がなくなる。

そもそも、私には、距離を数える積極的な理由がない。1時間ほど泳げば良い。

だから、あえて距離を数えるときは、10種類の泳ぎをメドレーで泳いで250mずつ数えたり、メドレーにしない場合は、50mでのペースと時刻の関係で距離を割り出す。

だから、普段は距離を気にして泳いではいない。

また、同じコースで、自分の限界より速く泳ぐ人に合わせて泳ぐのは無理だから、その時には、追いつかれたら一休みする。

自分より遅い人であれば、ゆっくり泳ぐか、休みを入れながら速く泳ぐ。抜くようなことは、ほとんどしない。

特に、ゆっくり泳ぐ場合は、キャッチやプルの効率を試す良い練習になる。

この半年ほどは、特にキャッチからプルのときに、いかに水を捕まえていられるかを考えて泳いでいた。

 

キャッチの感覚

キャッチを念頭にゆっくり泳ぐと、クロールの場合、大体12〜13ストロークに落ち着く。

30秒前後で泳ぐ場合には、それで良いが、もっと速くすると、なかなか水塊を捕まえていられないような気がしている。

肘から先を緩めて、ふわっと水を掴んだら、その水塊を壊さないように、ゆっくりと後方に押し出していく。急にプルすると、この水塊が壊れてしまうからだ。ゆっくりと、そして加速しながら、腹まで来たら脱力して脇を開けて腕を抜いていく。

しかし、プルだけ考えてもうまくない。プルは、もう一方の前方の深みに突き込む腕及びローリングの反作用としてなされるものだからだ。

なので、これが、自然にできるように、半ば眠っているような感覚でやっている。

 

次の記事を読む 34. クロールを自分に最適化する その1(グライドとキャッチ)

 

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32.2 「速く泳ぐ方法」と「楽に泳ぐ方法」の相違 その2

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この記事は、前記事31の続きである。

3.楽に泳ぐ方法

既に、「速く」泳ぐための要件は整理した。次の3つであった。

(1) 抵抗の最小となる基本姿勢をとること
(2) 有する部品(手足)で、最大の推進力を生じさせること
(3) 最大推進力を継続して生じさせること

これを踏まえて、今回は、「楽に泳ぐ方法」について書くことにする。

全ての犠牲を受け入れて、上記3要件を満たすように頑張って泳ぐのでは、楽であるはずはない。
だから、どこかの無理を和らげるとか、急所だけに力を注ぐことはできないかということになる。

つまり、「楽に」と言っても、浮かんでいるだけでは嫌で、「楽に速く」泳ぎたいというのが本音であろうからだ。
だから、強いられる犠牲をできるだけ回避して、「そこそこに速く」泳げるにはどうすれば良いかというのが課題となる。

速く泳ぐ方法にも、個人個人の資質や個性に依存するところが大きい。しかるに、「楽に泳ぐ」ということに至っては、もっと個々の状況に依存するところが大きいだろう。
そもそも、最速で泳ぐための泳ぎ方が、筋力や持久力は別として、苦にならないのであれば、この記事は不要である。
つまり、いろいろな個性があるからこそ、それらにあった、楽な泳ぎ方があるはずだと思うのだ。

ともあれ、ここでは、最速で泳ぐための要件と、楽になる要件が、どのように折り合うかという観点で考えてみたい。

なるべく、速く泳ぐ要素を損なわないように、個々人の個性や資質の範囲で、一番「楽に」行える方法を探せば良いだけである。
では、それぞれの項目別に検討してみよう。

(1) 抵抗の最小となる基本姿勢をとること
これは、何もしなくても、真っ直ぐに「伏し浮き」できるようにすることが一番である。
そのためには、重心を引き上げる。その方法として、

・なるべく、前方に(両)腕を残す時間を多くとり、さらに、リカバーした腕を、空中に浮かせる時間も暫しとる。
・内蔵を引き上げるために、肋骨を上に引き上げ、胃を肋骨の中にしまい、お腹を細くする。

この2つが効果的である。
これにより、全くキックなしでも、驚くほど楽に下肢が浮くようになり、水上を前のめりに滑り落ちていくような、それまでと全く異なった感覚で前進できるようになる。

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これ自体は、あまり個性に依存することはないだろう。キックは、下肢の血流量を増加させ疲労も生むので、文字通り選択肢である。私は、泳速を上げたい時や姿勢を制御したい時に使えば良いと思っている。

(2) 有する部品(手足)で、最大の推進力を生じさせること
この項目が最も論議を生むところかもしれない。これが、S字プルやハイエルボー、ストレートプルなどという言葉を生むことになったのだから。
しかし、私は、単純に考えている。「楽に」という前提を立てるかぎり、大して難しい理屈はないと思うからだ。

まず、検討する部品の対象であるが、「速く泳ぐ方法」で述べたように、「前腕」だけである。キックは前項に述べた理由により、ここでは考慮しない。
前方に振り出し、後方に送り出す前腕について、楽で、効率の良い動きの要件は、つぎのとおり。

場合ごとに分けて羅列する。

A.前腕を、前方に伸ばす時の要件
(a) なるべく両腕を長く前方に置くこと(これは(1)からくる要件で、下肢を浮かせるため)
(b) できれば、前方の空中に置くこと(同上)
(c) 楽に腕を上げた姿勢を基本とすること(無理な内転や外転をしない。)

B.キャッチする時の要件
(d) Aにて前方に伸ばした前腕を、自然な方向に緩めること
(e) 手の甲及び前腕の形が、水流の抵抗を受ける形になっていること

C.プルするときの要件
(f) 手の平及び前腕が、水流の方向に対して直角に近い形を保っていること
(g) 三頭筋のような疲労しやすい筋肉を使わず、体幹を利用したプルであること
(h) 手の平の水に対する迎角が、最大効率の揚抗力を受ける角度であること

これらの要件全てに適合するプルの形は、これまでに紹介した泳法の中でいえば、次の動画の鉤腕泳法である。

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円月泳法も、ほとんどを満たしているが、(b)の要件を欠いている。
前方に自然に伸ばした腕が、真っ直ぐ前方に伸びているのであれば水流の抵抗を最も受けないので最高の形であるが、普通、力を入れない楽な姿勢であれば、恐らく万歳をするような角度で伸ばすことになろう。その場合は、当然、水流の抵抗を受けることになる。抵抗をひとつの腕に受ければ、速さをそぐだけでなく、そちらの方に重心を中心として身体を回転させる力が加わる。
左右や斜めに回転するのは具合が悪い。それゆえ、回転して良い方向というのは、前転、つまり、下肢を浮かせる方向だけである。それゆえ、斜めに腕を伸ばすのであれば、真っ直ぐ前方のみである。鉤腕泳法では、斜め下方に、肘まで真っ直ぐ伸ばさずに、肘から手の先までを水面に平行に前に伸ばして抵抗を減らしている。ちょうど、真下の中央線を片手の肘を立てて拝んでいるような姿勢だ。
円月泳法では、軽く肘を曲げて、プルの軌跡とともに全体抵抗のブレの中和を企っている。

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(3) 最大推進力を継続して生じさせること
最大推進力は、最大抗力から生まれる。そして、その形は、上記(2)の要件(f)を満たしていることが望まれる。
そして、疲労という観点を考慮しなければ、直線的なプルであることが望ましい。
さらに、最大速度を達成するためには、常に、左右どちらかが、このプルの状態にあることが望ましい。しかし、「楽に泳ぐ方法」においては、「疲労度」と「そこそこの速さ」との兼ね合いとして良い部分である。
したがって、前項までの要件を加味するならば、次のようなプルが、らくであり、効率的であると考える。

(i)プルする手の平及び前腕が、水流の方向に対して直角に近い形を保っていられる臍付近まで直線的にプルし、
(ii)その後は効率中心の揚抗力を利用して、薬指を先行させて水上に斜めに抜き去り、
(iii)そのままブーメランのように弧を描いて頭の前まで持ってきて、
(iv)そこで、若干止めて、身体を前のめり気味に滑るに任せ、速力が落ちてきたら、
(v)自然に前方深みに突き込んで、なるべく水流の抵抗を受けないように、楽に伸ばす。

このプルの動きは、まさしく、鉤腕泳法のプルそのものである。
鉤腕泳法の名称の由来は、前方に突きこんだ腕の形にあるが、これは、水底の中央線に沿って真っ直ぐ前腕を進行方向に向けるようにするものだ。この形は、ローリング角が小さい時には、軽く前腕が外転するが、無理のないごく自然な形である。(i)では、肘の高さと手首の高さは同じか、肘が低い。つまり、ローエルボーと言って良いが、ローリングを大きく取るにつれて、自然にハイエルボーとなっていく。要は、肘の高さが問題になるのではなく、しっかりしたキャッチを行い高い抗力を得たプルができているかだけが重要なのである。

「そこそこの速さ」の調整は、上記(iv)で、頭の先で、若干止める時間の調整で行う。ここで、ゆっくり慣性で進むに任せる場合には、ローリング角を大きくとり、真横まで向く。
当然、ローリング角を大きく取るようにすれば、ゆっくりとした泳速になる。横まで向けば、筆者の場合、25mを10ストローク、35秒くらいで泳ぐことになる。このピッチの調整が、いくらでも効くのが鉤腕泳法だ。
円月泳法でも同様ではあるが、円月で円く差し出す両腕が縦長に伸びていれば問題ないが、楕円から円へと肘を曲げる角度が大きくなれば、その分抵抗は大きくなる。

S字プルも、上記の要件をいくつか欠いてはいるが、ひとつの解ではあると思う。これが楽な人は、迷わずS字にすれば良い。しかし、S字プルというのは、プル全体が外、内、外のスカルで成り立っている。これは、腕の内転から入って、外転し、再び内転して抜いていくという難しいもので、身体の姿勢も、歪んだり反ったりする人も多く見かける。そして、ストロークも多くなりがちである。プルの軌跡が長く、揚抗力の効率も良い泳法であるとは思うが、例えば、これから健康のために始めるという還暦スイマーに対して、わざわざ、このような難しい選択を奨める気にはなれない。

以上、「楽に泳ぐ方法」について述べてきたが、ここでの筆者の結論は、鉤腕泳法であり、円月泳法であった。
この両者については、どちらも、泳速を上げようとするならば、腕を前方に限りなく伸ばし、ローリング角も最小限に留めていく必要があるのだが、そうすると、円月泳法も鉤腕泳法も、同じような姿勢に収斂されていく。
その理想の形は、現代のトップスイマーの形に近似していく。もちろん、肩関節の柔軟性や筋力などに雲泥の差があるので理想でしかない。
要するに、「速く泳ぐため」の姿勢は、身体の資質に特異な特徴がなければ(誰でも肩関節を柔軟にできるわけではないといったこと)、その要件を満たす方法は、かなり一意に決まっていく傾向があるのだと思う。
そして、その反面、「楽に泳ぐ方法」については、個性に応じた実現の方法が、個性の数ほど多くあるだろうということだ。
それらの、選択肢として、筆者の考案した鉤腕、円月、招き猫、八の字などの泳法が参考になれば幸いである。

以上のとおり、これまでは、自由形を前提に書いてきたが、他の泳法においても基本的な要件は変わるものではない。それぞれについても、同様に検討してみる価値がありそうだ。

ともあれ、速く泳ぐためには、重心を上下左右にブレないようにして、真っ直ぐ進めることが重要である。しかし、より楽に、より面白くという観点を加えるならば、選択肢はもっと大胆に広がっていく。
「そこそこ速く」というのが、25mを25〜30秒程度で良いのだとすれば、やぎロールやイルカ泳ぎも同程度の速さである。
一度試してみられたらどうか。「こんな泳ぎがあっていいの?」というほど楽しくなること請け合いである。

f:id:mehme:20151231195419g:plainやぎイルカ泳ぎ

 

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32.1 「速く泳ぐ方法」と「楽に泳ぐ方法」の相違 その1

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1.はじめに

速く泳ぐ方法論は、ちまたに溢れている。
しかし、恐らく、その方法論は、誰にでも適用できるわけではないだろう。
膨大な数の競泳者の中から、努力と資質と天性によって選ばれた人たちだけが、最終的にオリンピックなどの競技に出場できるのだ。
例えば、かつて、2000年代初頭に活躍した、イアン・ソープというオーストラリアの選手がいた。彼の泳ぎは、誰でも真似ができるというものではない。つまり、身長196cmという体格と、柔軟性、筋力、持久力等々が揃っていなければ、彼の記録は達成できるものではない。
彼の泳ぎは、当時主流であったS字プルではなく、それらと比べるとゆっくりとしたストロークの直線的なプルを行うものであった。その泳ぎで、彼が金メダルを獲得した個人種目は、200mと400mであった。なぜか、100mや1500mでは勝てなかった。その理由は、彼の泳ぎのスタイルにあるようだ。
ゆっくりしたストロークは、彼の身長が高かったせいもあるだろう。しかし、ハイエルボーで直線プルを行う場合、ある程度までリカバリーしないと、身体の機構上、もう一方のプルを開始しにくいという理由が大きいと私は思う。それゆえ、彼は、短距離の100mで勝てなかったのではないだろうか。
また、直線プルは、最大抗力を生むプルではあるが、それだけエネルギーも消費する。それゆえ、長距離になると、体力の消耗が次第に効いてくる結果となったのだろう。
昨今のトップスイマーたちの多くは、I字プル又はストレートプルといわれるプルを行っているようだ。ソープ選手の泳ぎ方は、その嚆矢であったが、泳法は、時の流れにつれて変わってきているようだ。
しかし、物理法則そのものが変わるわけではない。法則をうまく活かす方法が、身体との関係で変わってきているにすぎない
この記事で、筆者が論じたいのは「エネルギー効率が良く、楽に泳ぐ方法」であるが、そのために、最初に、速く泳ぐ方法とはどんなものであるのかを確認しておき、その上で、を、これと対比する形で「楽に泳ぐ方法」を考察したい

ここでは、記述が煩瑣になるので、泳法規則に縛られない(つまり自由形)ことを前提としよう。


2.速く泳ぐ方法

これは、理論的には単純である。
次の3要件を満たす泳法を、工夫し、要件相互に調和をとって、実現することだ。

(1) 抵抗の最小となる基本姿勢をとること
基本法則で書いたとおり、水の抵抗を極力少なくするためには、「推進する方向に向かって、真っ直ぐ伸び、水面下に沈んでいる姿勢が一番良い。」
それゆえ、どのようなプルやキックを行うにせよ、真っ直ぐの身体を水面近くに、重心がぶれることなく保っていることが大切であり、これを崩すようなプルやキックはしないほうが良いということである。少なくとも、頭を先頭に上体を、丸太のように真っ直ぐ水平に保つことは最低要件であろう。身体が全面的に水上に出す事が可能であれば、水面下である必要はないが、造波抵抗に関しては水上に出さないほうが抵抗は少ない。

(2) 有する部品(手足)で持てる最大の推進力を生じさせること
最大の効果を有無方法は、上肢を使って、最大抗力を生む形状を作り、速く動かすことだ。
実現方法としては、前腕から手の平までを、進行方向に直角に保ち、後方に一直線に、速く、長く動かすことだ。(上腕は、余り考慮することはないだろう。なぜならば、上腕は、肩関節から肘までであり、どのようなプルを行っても、前腕と比較して抗力を生む効果はかなり小さいと考えられ、また、上腕の動きの違いによって、その効果が大きく変わるとも考えにくいからだ。)
下肢も推進効果を有無が、上肢ほど効果は生まないであろう。ただ、(1)を実現させるために下肢を使うのであれば、それは、もったいない使い方であるので、前進のために利用すべきである。

(3) 最大推進力を継続して生じさせること
上肢の動き(プル)の可動距離には限界がある。それゆえ、リカバリーを行わなければならない。リカバリーを行っている間は、もう一方の上肢で推進することになる。問題は、推力を常に最大に保っているかである。そして、競技であれば、決められた距離の間、それを保つ体力があるかということである。
そのためには、最大抗力を生む形状と動きを左右の腕で継続できるストロークの方法と回転数を、決められた距離の間、総合的に最大になるようにしなければならない。場合によっては、ピッチを上げたり、ローリングの角度を小さくする必要も出てくるだろう。

速く泳ぐ方法は、原理的には上記のとおりだが、その実現方法は、人の個性や資質によって随分異なる。
そもそも、「速い」ということは、競技でしか測れない。したがって、競技であれば、泳法や距離に規定がある。
例えば、冒頭に述べたように、ソープ選手は、自由形で、上記3要件を満たすハイエルボーのストレートプルの方法をとった。その結果、回転数は落ちるが、最大抗力を得て、中距離では敵なしという結果となった。当時、その他の選手はS字プルであり、その中から、スクリューのように、揚抗力の効率の良い泳ぎで、回転数を上げて100mを制した人がおり、また、1500mを制する体力を確保した人が他にいたということになる。
しかし、それは、2000年代初頭の、その時点での話である。
現在は、ストレートプル全盛の時代らしい。しかし、その泳ぎは、ソープ選手の泳ぎとは異なってきているようだ。

今後、どのような泳ぎになっていくにせよ、上記の3つの原則を、いかに、与えられた競技の枠で、特定の個人が、その資質の中で効率よく実現するかということに尽きる。そのためには、相応の犠牲を強いられることも辞さないということだ。そしてそれこそが、「楽に泳ぐ」ということと相反する要素となる。
実現方法については、多くの解説書があるので、ここで、あえて素人の筆者が説明することは僭越に過ぎる。上記3要件の観点で、それらの解説書を検討して欲しいと思う。

次は、本論の「楽に泳ぐ方法」についてであるが、長くなるので、次回に回そう。

 

次の記事を読む 32.2 「速く泳ぐ方法」と「楽に泳ぐ方法」の相違 その2

 

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チャックさん、ありがとう

チャックさんがブログ(キックなしでもクロールは泳げる!)の執筆を閉じられることになった。
突然で驚いた。

チャックさんのブログには、本当に目を開かれることが多く、毎回の記事を楽しみにしていたのに、それが閉じられるというのは、本当に、残念至極である。
しかし、思えば、視力のご無理に耐えて、これまで書いてくださっていたのには、本当にありがたく、頭が下がる。
いつか、また、再開されることを、ぜひ、期待したいものである。

コメントも受け付けておられないようなので、この場で感謝の意を表させていただきたい。
「チャックさん。本当に、ありがとうございました。
これからも、楽しい水泳で、健康を保って、いつまでもご活躍ください。

チャックさんからいただいた様々な知見は、今後も私の泳ぎの中にも活かしていきます。

繰り返し、本当に、これまで、ありがとうございました。」

 

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30. 片腕シリーズ 片腕伸し(のし、横泳ぎ)

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この泳ぎは、「やぎさんの伸し」の変化だ。

この記事は、片腕シリーズに属するので、一応別記事としておく。

「やぎさんの伸し」については、前記事として書いたが、再掲しておく。(読んだ方は読み飛ばしていただきたい。)

その上で、片腕だけの泳ぎに移ることにする。その方が、説明をしやすいからである。

1. やぎさんの伸し

これは、古式泳法の「伸し(ノシ)」の変化である。横になって泳ぐもので、その一形態が横泳ぎと呼ばれている。

さて、便宜上、左のコースロープを見ながら泳いでいるところを想定しよう。横になっているので、この場合、水面に近くあるのは、左手及び左足のほうである。

(1) 下肢の動作(煽り足)

「煽り足」は横泳ぎでおなじみとは思うが、古式泳法の「伸し(ノシと読む)」や「抜き手」などで多用されている。既に、記事「20. 古式泳法とのコラボ泳法 ドル抜き手やぎロール」で紹介したが、再掲しよう。煽り足は、次のように3拍子で行う。

(イ)両足の膝を曲げて、尻に引きつけ、

(ロ)前後(上の足が前)に大きく開脚して、

(ハ)伸ばしながら、閉じる。

脚が、かえる足のように横に開かないように注意すること。そのためには、内股気味にすると良い。

(イ)(ロ)では、水流の抵抗を受けるが、(ハ)では、大きく進む。

(2) 手足の動きと連携

煽り足を理解したら、やぎさんの伸しに移ろう。

横になって蹴伸びしたら、両手を拝むように合わせ、前方(泳ぐ方向)に両手を伸ばす。

(ア)上の手(左手)で身体に沿って巻きつけるように肩甲骨を動かして腿までプルを行う。顔が浮きやすいので、息継ぎは、この時に行うのが簡単であろう。すーっと前進したところで、次に、

(イ)右腕で真下に向かって深く半円形にプルし、その間に、左腕を水上でリカバーして前方に落とす。次に、

(ウ)両足首を尻に引きつけ、左足を前にして両足を前後に膝は曲げたまま開き、大きく閉じる。煽り足だ。この動きに合わせて、右腕を腹の方に片手拝みに引きつけて、煽り足と合わせて前方に突き出し、両手を合わせる。

この一連の動作を繰り返す。ゆっくりした三拍子だ。

プルのときは、顔がほぼ水面に出ているが、煽り足で勢いよく進むときには、身体全体が水中に没して沈みこむ方が泳速はあがると思われる。また、次のプルの時に行う息継ぎで浮上しやすくなる。

ただし、横に向いて水中に没している間は、鼻に水が入ってくるので、常時、鼻から息を少しずつ吐いている必要があるだろう。

横泳ぎの系統は、結構、泳速が速く、25mを煽り足は8回程度、30〜35秒程度で泳いでいる。

2. 片腕伸し

これは極めて簡単である。上記した「1.やぎさんの伸し」を基本とし、両腕のいずれかの腕を体側につけて泳ぐだけである。

左を向いて泳いでいることを想定すれば、左腕だけを使う場合と右腕だけをつかう場合があるが、どちらの場合でも、息継ぎは、プルのときに行う。

片腕となるので、三拍子が二拍子となるだけで、他はやぎさんの伸しと変わらない。

ただ、何にせよ、煽り足は、左右の幅をとるため、対抗泳者に気を使う必要がある。また、横を向いているため、後ろやコースロープに十分気が回らないこともある。それゆえ、コースを専有できないときには、片腕バタフライを奨める。片腕バタフライも横を向いてはいるが、幅は殆どとらないし、バランスの調節もしやすいからである。

 

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29. やぎさんの伸し

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古式泳法に「伸し(ノシ)」がある。

古式泳法では、煽り足を多用する。煽り足を横に用いる、すなわち、横を向いて、両足を前後に開く(上の足を前に開く)方法は、「伸し」で使われている。

いわゆる横泳ぎと呼ばれているのは、伸しの一形態のようだ。

伸しには、腕の使い方によって、色々な変化がある。

ここでは、それらを解説するのではなく、それらを参考にして、ここでは、まず、私が泳ぎやすいと思う手足の動作の連携を考えた「やぎさんの伸し」を紹介したい。

便宜上、左のコースロープを見ながら泳いでいるところを想定しよう。横になっているので、この場合、水面に近くあるのは、左手及び左足のほうである。

1. 下肢の動作(煽り足)

「煽り足」は横泳ぎでおなじみとは思うが、古式泳法の「伸し(ノシと読む)」や「抜き手」などで多用されている。既に、記事「20. 古式泳法とのコラボ泳法 ドル抜き手やぎロール」で紹介したが、再掲しよう。煽り足は、次のように3拍子で行う。

(1)両足の膝を曲げて、尻に引きつけ、

(2)前後(上の足が前)に大きく開脚して、

(3)伸ばしながら、閉じる。

脚が、かえる足のように横に開かないように注意すること。そのためには、内股気味にすると良い。

(1)(2)では、水流の抵抗を受けるが、(3)では、大きく進む。

2. 手足の動きと連携

煽り足を理解したら、やぎさんの伸しに移ろう。

横になって蹴伸びしたら、両手を拝むように合わせ、前方(泳ぐ方向)に両手を伸ばす。

(1)上の手(左手)で身体に沿って巻きつけるように肩甲骨を動かして腿までプルを行う。顔が浮きやすいので、息継ぎは、この時に行うのが簡単であろう。すーっと前進したところで、次に、

(2)右腕で真下に向かって深く半円形にプルし、その間に、左腕を水上でリカバーして前方に落とす。次に、

(3)両足首を尻に引きつけ、左足を前にして両足を前後に膝は曲げたまま開き、大きく閉じる。煽り足だ。この動きに合わせて、右腕を腹の方に片手拝みに引きつけて、煽り足と合わせて前方に突き出し、両手を合わせる。

この(1)〜(3)の一連の動作を繰り返す。ゆっくりした三拍子だ。

プルのときは、顔がほぼ水面に出ているが、煽り足で勢いよく進むときには、身体全体が水中に没して沈みこむ方が泳速はあがると思われる。また、次のプルの時に行う息継ぎで浮上しやすくなる。

ただし、横に向いて水中に没している間は、鼻に水が入ってくるので、常時、鼻から息を少しずつ吐いている必要があるだろう。

横泳ぎの系統も、ラクな割に、結構、泳速が速く、25mを煽り足は8回程度、30〜35秒程度で泳いでいる。

しかし、ジムのプールでは、対向泳者がいることが多く、煽り足を使うときは気を遣わねばならない。できれば、コースを占有できるときに試していただいたほうが良いかもしれない。

 

次の記事を読む 30. 片腕シリーズ 片腕伸し(のし、横泳ぎ)

 

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